報酬を受ける活動の許可|入管法44条の5第1項の要件と申請
2026/08/12
退去強制令書発付前の監理措置のもとで生活しておられる方の中には、生活費をどのように工面すればよいか悩んでいらっしゃる方も多いかと思います。入管法は、一定の要件のもとで、許可を受ければ報酬を受ける活動、すなわち就労を行うことを認めています。本記事では、その要件と申請の流れについてご説明いたします。
本記事の要点
- 退令発付前の監理措置においては、生計維持のため必要相当な場合に限り、許可を受けて就労が可能です。
- 許可の根拠は入管法44条の5第1項であり、退令発付後の監理措置にはこの許可制度は適用されません。
- 就労可能な在留資格を有する場合には、報酬活動許可の申請自体が不要とされています。
- 許可を受けずに就労した場合、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象となり得ます。
どのような場合に許可を受けられるのか
退去強制令書発付前の監理措置においては、被監理者が報酬を受ける活動を行うことは、原則として認められていません。もっとも、生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、主任審査官の許可を受けて就労することが可能とされています(法44条の5第1項)。「必要で相当」という要件は、単に働きたいという希望だけでなく、収入・資産の状況や監理人による援助の見込みなど、生計の実情を踏まえて個別に判断されるものと考えられます。なお、就労可能な在留資格を有する方については、この許可申請自体が不要とされています。
申請はどこに行うのか
報酬を受ける活動の許可申請は、事務を担当する地方出入国在留管理官署において行います。申請は窓口での提出に限られており、郵送による申請は認められていません。申請にあたっては、許可申請書のほか、労働条件を明示する文書、就業予定機関の所在地等の証明資料、収入・資産を示す資料、監理人による援助額を示す資料など、複数の書類を整える必要があります。就業予定先が具体的に定まっていることが前提となる手続といえます。
許可を受けずに就労するとどうなるのか
許可を受けずに就労した場合には、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金という罰則の対象となり得ます。加えて、不法就労をしたことは監理措置決定の裁量的取消事由にも当たり、監理人にとっても届出義務が生じる事情となります。生活費の確保という切実な必要があるからこそ、許可を受けるための手続を丁寧に進めることが、結果として在留の安定につながります。
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おわりに
生活費をどう確保するかは、監理措置のもとで暮らす多くの方にとって切実な問題です。制度が定める要件と手続を正しく理解し、必要な許可を得たうえで行動することが大切です。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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