退令発付前の無許可就労の罰則|3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
2026/08/12
監理措置が決定され、社会内での生活が認められている方の中には、生活費の工面のために働きたいとお考えの方も多いかと思います。しかし、退去強制令書発付前の監理措置においては、就労は無制限に認められるものではなく、許可を受けずに働いた場合には重い罰則が定められています。本記事では、その内容と制度上の位置づけについてご説明いたします。
本記事の要点
- 退令発付前の監理措置中に許可を受けずに働いた場合、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象となり得ます。
- 就労は、生計維持のため必要かつ相当と認められる場合に限り、許可を受けて可能とされています。
- 無許可就労は監理人の届出事由にも当たり、監理人には7日以内の届出義務が生じます。
- 不法就労をしたことは、監理措置決定の裁量的取消事由にも当たり得ます。
なぜ無許可の就労がこれほど重く処罰されるのか
退去強制令書発付前の監理措置においては、被監理者が報酬を受ける活動、すなわち就労を行うことは、原則として認められていません。生計を維持するために必要で相当と認められる場合に限り、主任審査官の許可を受けて就労が可能となります(法44条の5第1項)。この許可を受けずに就労した場合には、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金という罰則が定められています。逃亡に対する罰則(1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金)と比べても重い法定刑が置かれており、就労の許可制が制度上重視されていることがうかがえます。生活の必要に迫られる場面であっても、許可を得ないまま働くことは避けるべきです。
監理人にはどのような影響があるのか
被監理者が無許可で就労し、または事業を運営した場合、これは監理人の届出事由に当たります。監理人は、こうした事由が生じたことを知った場合、7日以内に主任審査官へ届け出る義務を負っています。監理人が被監理者の生活状況を把握し、指導監督に努めることが求められている以上、無許可就労は監理人にとっても看過できない事情です。届出を怠れば、監理人自身が10万円以下の過料の対象となるほか、選定の取消しにつながる事情ともなり得ます。
監理措置の取消しにもつながりうる
不法就労をしたことは、監理措置決定の裁量的取消事由の一つとして定められています。取消しがなされれば、収容という状態に置かれる可能性が生じます。生活費の不足という切実な事情があったとしても、許可を得ないまま就労することは、身柄の安定そのものを揺るがしかねません。就労を希望する場合には、必要な許可を受けたうえで行うことが、在留を安定させるうえで重要です。
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松村大介弁護士が初動から終結まで全工程を直接担当し、若手弁護士や事務員による代行は行っておりません。外国人事件専属の中国語通訳も常駐しておりますので、言語の壁により事実関係が正確に伝わらないという事態を避けることができます。
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おわりに
生活のために働かざるを得ない事情があることは、決して珍しいことではありません。もっとも、その必要性ゆえに無許可のまま就労することは、かえって在留の安定を損なう結果を招きかねません。許可制度の趣旨を理解したうえで、適切な手続を踏むことが大切です。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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