「収容しないことを相当と認める」とは何か|44条の2第6項の考慮要素
2026/08/12
「主任審査官が収容しないことを相当と認める、と言われても、具体的に何を見て判断されるのか分からない」という声をよく耳にします。この文言は入管法44条の2第6項に定められた退令前の監理措置の要件であり、抽象的であるがゆえに理解が難しい部分です。本記事では、この考慮要素について整理してご説明いたします。
本記事の要点
- 「収容しないことを相当と認める」は44条の2第6項に定められた要件である
- 逃亡・証拠隠滅のおそれの程度が考慮要素の一つである
- 収容により受ける不利益の程度も考慮要素とされている
- 考慮要素が抽象的であることには、制度上の課題も指摘されている
「収容しないことを相当と認める」とは、どのような判断か
入管法44条の2第6項は、監理人となるべき者を選定できることに加え、逃亡・証拠隠滅のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、主任審査官が収容しないことを相当と認めることを、退令前の監理措置の要件として定めています。ここでの「相当と認める」という表現は、主任審査官に一定の判断の幅を認めるものであり、個々の事案の具体的な事情によって結論が左右される仕組みになっています。
考慮要素として、どのような事情が挙げられているのか
条文上明示されている考慮要素は、逃亡・証拠隠滅のおそれの程度と、収容により受ける不利益の程度その他の事情です。逃亡・証拠隠滅のおそれについては、監理人となるべき者の存在や監理体制の実効性が意味を持ちうる要素と考えられます。また、収容により受ける不利益の程度については、本人やご家族の生活状況など個別の事情が関係してきます。いずれも抽象的な規定であるため、具体的にどのような資料を示すかが実務上重要になります。
抽象的な要件には、どのような課題が指摘されているのか
このような考慮要素の抽象性については、制度に対する批判の一つとして、収容の必要性が明確な要件として定められていないという指摘があります。関東弁護士会連合会などは、収容決定に対する司法審査がなく、退令収容に期間の上限がない点も含め、改正後も是正されていない課題として挙げています。もっとも、こうした制度全体の評価とは別に、個々の事案では条文に定められた考慮要素に即して、丁寧に事情を説明していくことが求められます。
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おわりに
「収容しないことを相当と認める」という要件は抽象的であるがゆえに、個々の事案でどのような事情を、どのように示すかが結論を左右します。ご自身の状況を条文の考慮要素に即して整理することが第一歩になります。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
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舟渡国際法律事務所
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