「中国で稼げる仕事」の紹介で逮捕されたら|特殊詐欺「話務員」募集と職業安定法違反のリスク
2026/08/09
最近、日本国内に住む知人に対して「中国で高収入の仕事がある」などと持ちかけ、実際には特殊詐欺グループの電話係(話務員、いわゆる「かけ子」)として働かせる目的で勧誘したとして、職業安定法違反の疑いで検挙される事案が報道されています。本人は「知人を紹介しただけ」「詐欺の実行には関わっていない」と考えていても、勧誘の態様や紹介先の実態次第では、重い刑事責任を問われる可能性があります。同じような状況に置かれているご本人・ご家族の方へ、初動対応の要点をご説明いたします。
本記事の要点
- 知人を有害な業務(特殊詐欺の実行部隊等)に就かせる目的での勧誘・あっせんは、職業安定法違反に問われる可能性があります。
- 紹介先の実態が詐欺集団であった場合、詐欺罪の共犯(幇助・共同正犯)として立件される危険もあります。
- 起訴されて拘禁刑(執行猶予なし)が科されれば、入管法24条4号リにより退去強制事由に該当し得ます。
- 起訴前の段階で不起訴処分を得られるかどうかが、在留資格を維持できるかを大きく左右します。
- 黙秘権の行使・早期の弁護人選任・信頼できる通訳の確保が、初動対応の3本柱です。
1. 想定される刑事手続の流れ
逮捕されると、通常48時間以内に検察官へ送致され、検察官はさらに24時間以内に裁判所へ勾留請求を行うかどうかを判断します。合わせて逮捕から72時間以内が、身柄拘束を巡る最初の重要な分岐点です。勾留が認められると原則10日間、延長でさらに10日間、最大20日間にわたり身柄を拘束されたまま捜査が続き、その後に起訴・不起訴の判断がなされます。「知人の紹介にすぎない」という弁解も、この72時間の間にどのように主張・立証されるかによって、その後の展開が大きく変わってきます。
2. 外国人事件特有のリスク(強制送還)
職業安定法違反自体が直ちに退去強制事由となるわけではありませんが、紹介先の実態が特殊詐欺集団であったと認定され、詐欺罪の共犯として起訴・処罰された場合には話が変わってきます。詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑であり、実刑または執行猶予なしの拘禁刑が科されれば、入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。ただし執行猶予が付された場合を除く。)に該当し、退去強制事由となり得ます。また、在留資格の更新・変更の場面でも、素行要件(ガイドライン第4項)の審査で不利益に評価されるおそれがあります。「紹介しただけで、自分は詐欺をしていない」という弁解が刑事手続でどこまで認められるかは、退去強制事由該当性にも直結する重大な分岐点です。
3. 不起訴処分の重要性
上記のとおり、執行猶予付きの判決であっても、罪名や量刑によっては強制送還の危機を免れない場合があります。したがって、外国人事件の弁護活動は、公判で執行猶予を得ることを最終目標とするのではなく、起訴前の段階で不起訴処分を獲得することを最優先の目標として組み立てる必要があります。具体的には、勧誘の際にどのような認識(故意)であったかを客観的な証拠(メッセージのやり取り等)に基づき整理し、検察官面談を通じて主張立証を尽くすこと、紹介先の実態について自らも被害者的立場にあったことを示す事情があれば丁寧に主張することなどが、不起訴処分獲得に向けた弁護活動の柱となります。
4. 初動対応で押さえておきたい3つのポイント
第一に、取調べにおいて、事実と異なる供述や、あいまいな記憶に基づく供述に安易に応じないことです(黙秘権の行使)。第二に、できる限り早期に弁護人を選任することです。当番弁護士制度を利用すれば、逮捕直後でも一度は無料で弁護士と接見できます。第三に、経験ある通訳を確保することです。捜査機関が用意する通訳は必ずしも法律用語に精通しているとは限らず、供述調書の細かなニュアンスの違いが、後の公判や入管手続に影響することがあります。
5. 当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所は東京都豊島区に所在し、松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に豊富な実績を有しています。
特殊詐欺に関連する事案では、特殊詐欺の出し子行為に関わったとされた20代女性について、指示役からの欺罔的状況等を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事例(事例B-1)や、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、不当な取調べに抗議しながら主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例(事例B-2)がございます。
また、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された事案において、徹底した証拠分析により無罪判決を獲得した事例(事例A-1)もあり、厳しい立場に置かれた依頼者のために最後まで争う姿勢を大切にしています。
万一、刑事手続の結果として退去強制の手続に進んでしまった場合にも対応いたします。当事務所では、婚姻・認知の手続が未了であった依頼者について、入管当局との交渉と過去の許可事例の分析を通じて、難関とされる在留特別許可を一度で獲得した実績(事例D-1)がございます。加えて、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した依頼者を救済すべく、退去強制事由の判断に故意・過失の要件を及ぼすべきとする訴訟に係争中です(事例D-2)。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士とともにワンストップで対応が可能です。
6. 結語
知人を紹介しただけのつもりでも、後になって重い刑事責任・在留資格への影響を問われる場合があります。ご自身やご家族が同様の状況に置かれた際は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談いただくことが、その後の選択肢を広く残すことにつながります。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
連絡先
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
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