舟渡国際法律事務所

子と共に不法滞在している場合の在留特別許可|子の就学と「子の利益」がどこまで結果を左右するのか

お問い合わせはこちら

子と共に不法滞在している場合の在留特別許可|子の就学と「子の利益」がどこまで結果を左右するのか

子と共に不法滞在している場合の在留特別許可|子の就学と「子の利益」がどこまで結果を左右するのか

2026/08/06

「私たち夫婦のことは仕方がないと思っています。ただ、子どもは日本で生まれ、日本の小学校に通い、日本語しか話せません」。この類型のご相談で、ご両親が最初に口にされるのは、ほとんどの場合ご自身のことではなくお子様のことです。出入国在留管理庁が毎年公表している事例集には、家族全員が在留を認められた事例と、家族全員が退去を求められた事例の両方が並んでいます。両者を分けているものは何なのか。本記事では、平成26年から令和6年までの11年分の公表事例のうち、子と共に不法滞在している類型の全43件を突き合わせながら、実際に何が結論を動かしているのかを整理いたします。

本記事の要点

  • この類型の許可事例22件のうち20件は、家族全員又は母子で自ら入管に出頭した「出頭申告」による発覚です。摘発・逮捕による発覚で許可された事例は見当たりません。
  • 最も強く働く積極要素は、お子様が日本の小学校・中学校で相当期間教育を受けていることです。逆に「子は本邦の教育機関における在学歴なし」と明記された事例は不許可となっています。
  • 令和6年3月改定のガイドラインは「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」を積極要素として明示しました。参議院附帯決議を踏まえた改定であり、主張の根拠として正面から用いることができます。
  • 親の被退去強制歴が1回であれば、子の長期就学等の積極要素によって上回られた事例があります。他方、これが薬物事犯・身分の偽装・複数回の退去強制歴と重なると、子の事情を凌駕して不許可に至ります。
  • 許可される在留資格は「定住者(1年)」が中心です。もっとも近年は、親に「特定活動」、お子様に「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」等を与える組合せも現れています。

この類型はどのような事案を指すのか

一家全員、あるいは母子・父子が、そろって在留資格を持たない状態にある事案を指します。

出入国在留管理庁の事例集は、在留特別許可の事例を4つの区分で公表しています。配偶者が日本人の場合、配偶者が正規に在留する外国人の場合、子と共に不法滞在している場合、その他です。3番目の区分は平成26年から令和3年までは「外国人家族の場合」という名称で、令和4年分から「子と共に不法に滞在している外国人の場合」に変わりました。名称の変更は、判断の焦点が「外国人だけの家族である」という点から「子と共に不法滞在している」という点へ、すなわちお子様の立場へ移ったことを示すものと読めます。

なお、令和6年前半(改正法施行前)の事例集には、この区分の掲載事例が1件もありません。区分自体が置かれていないのです。掲載がないことは、その期間に許可がなかったことを意味しません。事例集は各期20件前後の抜粋にとどまるという性質を、この空欄が端的に示しています。

許可事例はどのような発覚経緯をたどっているのか

結論として、この類型では出頭申告が事実上の前提となっています。

平成26年から令和6年までの許可22件のうち、20件が出頭申告による発覚です。しかも、その多くに「家族全員で出頭申告したもの」「母子で出頭申告したもの」という特記が付されています。平成26年分の許可3件、平成27年分の許可3件、平成28年分・平成29年分・平成30年分・令和元年分・令和2年分・令和3年分の各許可事例のほとんどが、この記載を伴います。

現行ガイドライン(令和6年3月改定、同年6月10日運用開始)は、「不法滞在を申告するため自ら地方出入国在留管理官署に出頭したこと」を、その他の事情における積極要素として掲げています(第2の9)。加えて、不法在留期間の終期は入管庁が不法滞在の事実を認知した時点で区切られます(注3)。令和6年改定で不法在留期間の長期化が明示的に消極要素と位置づけられましたので、出頭が遅れる間は消極要素だけが積み上がる構造になっています。

出頭申告以外で許可された2件も、示唆に富みます。令和3年分の許可第2事例は職員探知による発覚でしたが、本邦出生のお子様3人(18歳・11歳・4歳)と在日約24年という事情の下で、家族4人とも「定住者(1年)」の許可を得ています。令和4年分の許可第1事例も職員探知でしたが、11歳・9歳・7歳の3人のお子様がそれぞれ在日約11年10月・約9年7月・約7年10月という長期にわたっており、家族4人とも「定住者(1年)」が許可されました。発覚経緯の不利を、お子様の定着性が補った形です。

もっとも、出頭申告したからといって許可されるわけではありません。平成26年分の不許可2件、平成27年分の不許可2件、平成30年分の不許可第1事例、令和6年後半の不許可第1事例は、いずれも出頭申告でありながら不許可となっています。

子の就学はなぜ決定的な積極要素になるのか

ガイドラインが、これを名指しで「特に考慮する積極要素」に挙げているためです。

現行ガイドライン第2の2(3)は、家族関係のうち日本人・特別永住者や別表第二の在留資格者との関係に当たらないものについて、「本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けており、かつ、本国で初等中等教育を受けることが困難な事情があり、地域社会に溶け込んでいる者」と、その監護・養育者を積極要素として掲げています。日本人の配偶者もいない、永住者の親族もいない一家であっても、この一点で積極要素を確保できるという構造です。

事例の対比が最も鮮明なのは、令和2年分です。同年分の許可第1事例は、本邦出生で在留資格を取得していないお子様3人(14歳・12歳・8歳)を含む家族が全員で出頭申告し、家族4人とも「定住者(1年)」の許可を得ました。許可第2事例も、15歳・14歳・12歳のお子様3人を含む家族全員の出頭申告で、同じく家族4人とも「定住者(1年)」です。他方、同年分の不許可第1事例には、はっきりと「子は本邦の教育機関における在学歴なし」と記載されています。この事案のお子様は12歳ですが、家族の在日期間は約8月にとどまり、発覚は警察逮捕でした。年齢ではなく、日本の学校での教育の蓄積が問われていることが読み取れます。

本邦出生で在留資格を取得していない子は、年齢でどう評価が変わるのか

同じ「本邦出生後、在留資格未取得」でも、年齢と在日年数によって評価が大きく分かれます。

許可事例のお子様の年齢を並べると、平成26年分許可第2事例が10歳、同第3事例が14歳、平成27年分許可第2事例が16歳、平成28年分許可第1事例が9歳8月、同第2事例が15歳、平成29年分許可第1事例が10歳と5歳、平成30年分許可第1事例が11歳、同第2事例が12歳と10歳です。おおむね小学校中学年以上に達し、日本での就学歴が積み上がっている年代です。

これに対し、不許可事例のお子様は、平成26年分不許可第1事例が1歳、平成27年分不許可第1事例と第3事例が2歳、平成28年分不許可第1事例が1歳と0歳、同第2事例が1歳、平成29年分不許可第1事例が0歳、平成30年分不許可第1事例が2歳、令和元年分不許可第1事例が2歳と1歳、令和3年分不許可第1事例が2歳と、就学前の年齢に集中しています。

この差は、お子様の価値の差ではありません。ガイドライン第2の2(3)が要求する「本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けており」という要件を、就学前のお子様は事実として満たしようがない、というだけのことです。したがって乳幼児をお持ちのご家庭では、この要素に代わる積極要素、すなわち日本人・永住者との家族関係、人道上の配慮、地域社会との結び付き等を別途組み立てる必要があります。

令和6年後半の許可第1事例は、その一例として重要です。お子様はまだ2歳、日本での出生ですが在留資格を取得しておらず、母は在日約9年3月・違反約1年7月です。ここでは、お子様の父である内夫が「永住者」であるという家族関係が決め手となり、母に「特定活動(1年)」、お子様に「永住者の配偶者等(1年)」が許可されました。就学歴という積極要素が使えない場面で、別表第二の在留資格者との家族関係(第2の2(2))が代わりに機能した事例です。

令和6年3月改定で明示された「子の利益」は実務をどう変えるのか

主張の根拠が、事例の積み重ねという事実論から、ガイドラインの明文という規範論へ格上げされました。

令和6年3月改定のガイドラインは、「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」を積極要素として明示しました。これは、令和5年改正入管法の審議に際して付された参議院附帯決議14項が、子どもの利益、家族の結合、婚姻関係、無国籍性への十分な配慮を求めたことを踏まえた改定です。

改定前は、お子様の事情は「相当期間の就学」という限られた入口を通してしか主張しにくい面がありました。改定後は、就学歴の長短にかかわらず、日本で家族とともに生活するというお子様自身の利益が、独立の積極要素として正面から議論の対象になります。乳幼児のお子様がいる事案、就学を始めたばかりの事案では、この明文を軸に据えて主張を構成する意味があります。

同時に、同じ改定で不法在留期間の長期化が明示的な消極要素と位置づけられたことも直視すべきです。この類型では、お子様の就学歴を積み上げるほど親の不法在留期間も伸びるという緊張関係があります。もっとも改定は、その間に日本人や地域社会との関係を構築している場合には別途積極要素として考慮するという留保を残しています。長期滞在の年数そのものを語るのではなく、その年月の中に何が築かれたのかを語るべきだ、ということです。

親の被退去強制歴は子の事情を上回るのか

1回だけであれば上回られた事例があり、他の消極要素と重なると決定的になります。

上回られた側の事例として、平成26年分の許可第1事例は、母に被退去強制歴1回がありながら、家族3人で出頭申告し、12歳のお子様が在日約12年11月に及ぶという事情の下で、家族3人とも「定住者(1年)」の許可を得ています。平成27年分の許可第3事例も被退去強制歴1回、平成30年分の許可第1事例も母に被退去強制歴1回がありましたが、いずれも母子で出頭申告して許可されました。令和4年分の許可第2事例では、父母双方に退去強制歴があるにもかかわらず、父母に「特定活動(1年)」、お子様に「留学(6月又は1年)」が許可されています。

他方、決定的に働いた側の事例です。平成26年分の不許可第1事例は、家族全員で出頭申告したものの、父母ともに被退去強制歴1回があり、お子様は1歳でした。令和元年分の不許可第1事例は、覚醒剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年の判決を受け、加えて被退去強制歴1回がある事案です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。同年分の不許可第2事例は、被退去強制歴1回に加え、「日本人の配偶者等」で在留する外国人の実子であると身分を偽って在留していた事案でした。令和3年分の不許可第2事例は、8歳のお子様が在日約6年1月に及んでいましたが、本人に被退去強制歴があることが記載されています。

読み取れるのは、退去強制歴が「単独では覆り得るが、他の消極要素と結合すると覆らない」という重みづけです。したがって退去強制歴のある方の事案では、それが1回にとどまることを明確にし、その後の生活状況とお子様の定着を厚く立証することが要点になります。

親の薬物事犯・虚偽文書はどう評価されるのか

薬物事犯は、執行猶予であってもこの類型で許可に至った例が見当たりません。虚偽文書は、目的と経緯によって結論が分かれています。

薬物側は明確です。令和元年分の不許可第1事例(覚醒剤取締法違反・懲役1年6月・執行猶予3年)、令和3年分の不許可第1事例(同・懲役1年6月・執行猶予3年、お子様は2歳)、令和4年分の不許可第1事例(覚醒剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年の判決を受けた後、猶予期間中に覚醒剤を使用し懲役1年4月の判決。お子様は6歳と4歳で、いずれも在日約6年7月・約4年10月)が、いずれも不許可です。とりわけ令和4年分の事案は、お子様2人の在日年数が積み上がっていたにもかかわらず、猶予期間中の再犯という事実がすべてを覆しました。入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由としており、執行猶予でも該当します。この構造が、そのまま在留特別許可の判断にも影を落としています。

虚偽文書側は、対照が興味深いところです。令和3年分の許可第2事例は、18歳のお子様に不正に在留期間更新許可を受けさせる目的で、内容虚偽の在留期間更新許可申請書を作成・行使した事案です。虚偽文書の作成・行使は、他の外国人の在留資格の偽装に関わる行為としてガイドライン第2の3の消極要素に正面から当たります。それにもかかわらず、在日約24年、本邦出生のお子様3人(18歳・11歳・4歳)という事情の下で、家族4人とも「定住者(1年)」が許可されました。

これに対し、令和5年分の不許可第1事例は、お子様2人に不正に在留資格認定証明書の交付を受けさせる目的で、お子様に係る内容虚偽の出生証明書を提出した事案です。こちらは不許可でした。相違点として事例集から読み取れるのは、お子様2人が24歳と19歳で在日約6年8月・約3年1月の不法入国者であり、本人及びお子様に退去強制歴があったことです。同じ「子のための虚偽文書」でも、お子様が本邦で生まれ育った未成年であるか、成人して短期間しか日本にいないかで、評価が分かれています。

許可される在留資格と在留期間は何か

中心は「定住者(1年)」です。もっとも近年は組合せが多様になっています。

平成26年分から令和3年分までの許可事例では、家族全員が「定住者(1年)」となる形が定型でした。例外として平成27年分の許可第1事例は、在日約18年9月・違反約9月の母と本邦出生のお子様2人につき、母子とも「定住者(3年)」の許可を得ています。違反期間が短く在日期間が長い事案では、より長い在留期間が与えられ得るということです。逆に平成30年分の許可第2事例は「定住者(6月)」と短く、期間の幅は事案により相当に開きます。

近年は、親と子で異なる在留資格を与える処理が目立ちます。平成30年分の許可第1事例は母が「定住者(1年)」、お子様が「日本人の配偶者等(1年)」。令和元年分の許可第1事例は父が「経営・管理(1年)」、母とお子様3人が「家族滞在(1年)」。同年分の許可第2事例は母が「定住者(1年)」、お子様3人が「日本人の配偶者等(1年)」で、お子様は日本人の父から認知を受けているものの日本国籍取得の届出をしていなかったという事情が付記されています。令和4年分の許可第2事例は父母が「特定活動(1年)」、お子様が「留学(6月又は1年)」。令和5年分の許可第1事例は父が「特定活動(1年)」、お子様が「定住者(1年)」で、内妻が「永住者」でした。

ここから分かるのは、この類型では「家族の中で誰が最も強い積極要素を持っているか」に応じて資格が振り分けられるということです。お子様が日本人の父から認知を受けているのであれば、お子様の側に「日本人の配偶者等」を求め、親はその監護養育者として在留を求める。就労実績があるのであれば、親の側に就労資格を求める。申請の設計そのものが結果を左右します。

この類型で許可を得るために何を準備すべきか

事例集の記載を裏返すと、立証すべき事実がそのまま浮かび上がります。以下は一般的な整理であり、実際に必要な資料は事案によって異なりますので、個別の判断は弁護士にご確認ください。

  • お子様の就学に関する資料。在学証明書、成績通知、出席状況、担任の先生の所見、部活動や学校行事への参加を示す記録、卒業した学校の証明。「相当期間教育を受けている」という要件は、年数だけでなく学校生活の内実によって支えられます。
  • お子様の言語能力に関する資料。日本語での会話・読み書きの水準と、母語(本国の言語)の習得程度の双方を示すもの。母語での就学が困難であることは、この類型の中核的な立証事項です。
  • 本国で初等中等教育を受けることが困難であることを示す資料。本国の学校制度、編入の可否、教育言語、本国に受け入れる親族がいないこと、本国の学校が求める書類を整えられないこと等。
  • 地域社会に溶け込んでいることを示す資料。町内会・自治会、地域行事、スポーツクラブ、宗教施設、支援者の陳述書。学校の保護者や近隣の方の陳述は、当局の内部資料にはない生活の実像を伝えます。
  • 出頭申告に関する準備。出頭の時期、出頭時に提出する疎明資料、収容の可能性への備え。婚姻や認知が未了であれば、出頭の前に整えるべきものがないかを検討します。
  • 親の側の事情に関する資料。納税と社会保険の状況、就労の継続性、家計の安定、身元を保証する方の存在。退去強制歴がある場合は、それが1回にとどまることと、その後の生活状況を示す資料。
  • お子様自身の意思に関する資料。年齢に応じて、お子様の陳述書や作文。令和6年改定が「子の利益」を明示した以上、お子様自身の声を記録に残す意味は従前より大きくなっています。

刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば結果は変わったのか

この類型の不許可事例のうち、刑事処分が理由として明記されているものについては、その可能性が残されていたと考えられます。

入管法24条は退去強制事由を号ごとに書き分けています。同条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を挙げますが、全部執行猶予の場合は除かれます。他方、同条4号チは薬物関係法令違反により有罪の言渡しを受けた者を挙げ、こちらは執行猶予でも該当します。「執行猶予が付いたから日本に居られる」という説明は、号ごとの構造を踏まえていない可能性があります。

平成30年分の不許可第2事例(窃盗により懲役1年6月・執行猶予3年)、令和元年分の不許可第1事例、令和3年分の不許可第1事例、令和4年分の不許可第1事例は、いずれも有罪判決が不許可理由として記載されています。刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、有罪の言渡しを前提とする退去強制事由の該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があった、と考えられます。とりわけこの類型では、親の刑事処分が家族全員の在留を巻き込みます。弁護活動の到達点は執行猶予判決ではなく不起訴処分に置くべきであり、その差は起訴前の数週間で決まります。

違反審査の段階から何を争うべきか

在留特別許可は法務大臣への異議申出に対する判断の中で検討されますが、そこで初めて動き始めるのでは遅すぎます。

退去強制手続は、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査と認定、特別審理官の口頭審理と判定、法務大臣への異議申出という順序で進みます。認定に不服があれば口頭審理を請求し、判定に不服があれば異議を申し出る道がありますが、不服がないと述べてしまえば争点は事実上封じられます。そして、退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されません(ガイドライン注4)。

この類型で特に注意を要するのは、家族の手続が別々に進むという点です。令和6年後半の不許可第1事例は、家族全員が不法残留の状態にありながら、本邦での事業継続を理由に在留を希望したところ、事業の実態が認められないとして不許可になりました。在日約13年3月、お子様2人は本邦出生で在日約7年11月・約5年3月です。就学というこの類型で最も強い積極要素が主張の中心に据えられていたかは、事例集の記載からは判明しません。もっとも、何を在留希望の理由として述べるかによって審査の焦点が動くことは、この記載から読み取れます。違反審査の段階で、家族それぞれについて何を主軸に据えるかを設計しておく必要があります。

令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)により、在留特別許可には申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情が法律上明示されました(同条5項)。従前の職権発動による恩恵的措置から、申請権を前提とする手続へと構造が変わった以上、積極要素の立証を申請者側が主導する場面が増えています。

公表事例に自分と同じ類型が見当たらないとき

「事例集を読みましたが、私たちのような家族は不許可ばかりです」。この類型のご相談で、たいへん多く伺う言葉です。

もっとも、公表事例は網羅的なものではありません。この類型の掲載件数は各年1件から3件程度にとどまり、令和6年前半には区分自体が置かれていません。実際の許可件数のごく一部を抜粋したものにすぎず、同じ類型の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。現に、当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しています。公表事例の傾向は出発点であって、結論ではありません。

他方、公表事例は行政自身が「許可相当」と判断した先例でもあります。同種の事情を有する事案について許可の実績があるにもかかわらず、本件についてのみ異なる取扱いをすることは、法の下の平等を定める憲法14条1項との関係で問題があるという主張が可能です。この類型では、お子様の年齢・在日年数・就学歴・家族の出頭態様が数値で公表されていますから、対照は比較的組み立てやすい部分です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。

お子様の在留に関わる解決事例をご紹介いたします。観光目的で来日された相談者が日本人女性との間にお子様を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了であったため当局から一旦は受理を拒まれたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を見据えた被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況の下でも有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析することにより、1回の申請で在留特別許可を獲得しております。また、不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に直面された女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、その上でなお違反認定処分そのものの取消しを争う訴訟を係争中です。刑事事件では、特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案で、取調べへの対応を徹底し、不当な取調べに抗議を積み重ねることにより、全件について不起訴処分を獲得いたしました。

当事務所の方針を申し添えます。第1に、不起訴処分の獲得を最優先目標とすることです。多くの罪名では執行猶予判決を得ても結果として退去強制となりますので、起訴前の段階に力を集中させます。第2に、松村弁護士が全工程を直接担当することです。初回の接見から公判の結審まで、事務員や若手弁護士による代行を行いません。第3に、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐していることです。捜査機関が指定する通訳人とは別に、依頼者本人のために動く通訳が、供述の訳出を初動から検証いたします。第4に、提携する行政書士と連携し、刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更まで一貫してお支えできる体制を整えていることです。

結語

この類型では、ご家族のどなたが最初にどの窓口へ向かうか、そしてお子様の日本での歩みをどれだけ具体的に記録として示せるかが、数か月後の判断を静かに決めていきます。お子様の学校生活は、時間が経てば思い出になりますが、記録として残さなければ主張にはなりません。ご家族だけで結論を出される前に、どうか一度ご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。