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令和3年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を全件解説

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令和3年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を全件解説

令和3年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を全件解説

2026/08/06

令和3年の在留特別許可の事例集には、他の年にはあまり見られない事案が含まれています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で帰国便が確保できず、結果として不法残留となった方に対する許可です。加えて、脳疾患の後遺症で出国そのものが困難な方、日本人里親のもとで育っている子、病気の母を介護する方といった、人道上の配慮が正面から問題となった事例が並びます。他方で、同じ不法就労助長という違反態様でありながら、一方は許可され他方は不許可となった対照的な事例も含まれています。本記事では、出入国在留管理庁が公表した令和3年分の許可19件と不許可19件のすべてを1件ずつ辿り、結論を分けた事情を現行ガイドライン(令和6年3月改定)の評価要素に当てはめて整理します。

本記事の要点

  • 令和3年分の事例集は許可19件・不許可19件の合計38件で、配偶者が日本人の場合が各5件、配偶者が正規在留外国人の場合が各4件、外国人家族の場合が各2件、その他が各8件という構成です。
  • 許可19件のうち17件が自主的な出頭申告による発覚でした。逮捕又は職員探知で発覚しながら許可された2件は、日本国籍の連れ子の存在、あるいは18歳の子を含む家族全員の長期の本邦生活という別の強い事情を伴っています。
  • 同じ不法就労助長でも、日本人配偶者と日本国籍の未成年の連れ子がある事案は許可され、家族関係の記載がない事案や自己の経営する店で不法就労させた事案は不許可となっています。積極要素の厚みが結論を分けています。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で出国便が確保できなかった事案には「短期滞在(90日)」が、脳疾患の後遺症で出国が困難な事案には「特定活動(6月)」が許可されており、人道上の配慮が具体的な在留資格の形で実現しています。
  • 公表事例は各年20件前後の抜粋にとどまるため、同じ類型の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。

なお、本記事で引用する「懲役」の表記は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します。

令和3年の事例集はどのような構成か

出典は、出入国在留管理庁が令和4年5月に公表した「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について(令和3年)」です。掲載件数と区分は次のとおりです。

  • A類型 配偶者が日本人の場合 許可5件・不許可5件
  • B類型 配偶者が正規に在留する外国人の場合 許可4件・不許可4件
  • C類型 外国人家族の場合 許可2件・不許可2件
  • D類型 その他 許可8件・不許可8件

令和3年は、新型コロナウイルス感染症の影響で国際的な往来が大きく制限された時期に当たります。事例集にも、その影響が直接現れた事案が1件含まれています。以下、区分ごとに全件を見ていきます。

A類型 配偶者が日本人の場合(許可5件・不許可5件)

この区分では、許可5件のうち4件が刑事処分のない出頭申告事案です。他方、不許可5件のうち4件に刑事処分があり、罪名は道路交通法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、売春防止法違反、不法就労助長を含む入管法違反と多岐にわたります。

許可された5件

第1事例 出頭申告による不法残留の事案です。在日約2年3月、違反期間約2年2月、婚姻期間約1年10月で未成年の子が1人あり、刑事処分はありません。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。ガイドライン第2の2(1)(ウ)の安定かつ成熟した婚姻に加え、第2の9の自主出頭が積極要素として働き、消極要素は第2の5の不法在留期間にとどまります。婚姻から相当期間が経過し子もあることで、婚姻が便宜的なものでないことが生活の側から裏づけられた形です。

第2事例 在日約2年1月、違反期間約2年、婚姻期間約2年で子はなく、刑事処分もない出頭申告の事案です。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。子がない場合でも、婚姻期間が2年に及び、婚姻期間と違反期間がほぼ重なることで、在留資格を失った後も夫婦としての生活が継続していたと認められたと理解できます。婚姻の実体は、同居の期間、家計の共同、親族との交際といった事実の積み上げで示すほかありません。

第3事例 出頭申告による不法入国の事案です。在日約7年3月、違反期間も同じ約7年3月、婚姻期間は約8年7月と在日期間より長く、未成年の子が1人あります。刑事処分はなく、許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。不法入国は不法残留より違反態様が重く評価されますが、来日前から婚姻関係が成立しており、7年を超えて婚姻生活と子の養育が継続してきたことが、これを明らかに上回ったと考えられます。婚姻の時期と入国の時期の前後関係は、婚姻の真摯さを示す重要な事実です。

第4事例 在日約11年9月、違反期間も同じ約11年9月、婚姻期間約3年9月で子はなく、刑事処分もない出頭申告による不法入国の事案です。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。11年9月に及ぶ不法在留は第2の5の強い消極要素ですが、3年9月の婚姻の実体と自主出頭が評価されています。長期の不法在留がある事案では、期間の長さを有利な事情として持ち出すのではなく、その期間に築いた家族関係・就労・地域社会との関わりという中身を積極要素の側へ組み替える構成が要になります。

第5事例 警察逮捕により発覚した不法就労助長の事案です。在日約17年8月、婚姻期間約1年10月で夫婦間の子はなく、刑事処分は入管法違反(不法就労助長)により罰金30万円の判決でした。特記事項に「日本国籍を有する未成年の連れ子あり」とあり、許可は「日本人の配偶者等(1年)」です。不法就労助長は、他の外国人の不法就労に関わる行為としてガイドライン第2の3(1)(イ)の素行不良に当たる強い消極要素ですが、日本国籍を有する未成年の連れ子を相当期間監護養育していることは第2の2(1)(イ)の積極要素であり、刑事処分が罰金にとどまったことと相まって、積極要素が明らかに上回ると判断されたと理解できます。この事例は、不法就労助長の類型でも許可の余地があることを行政自身が示した先例として、実務上の価値が高いものです。

許可されなかった5件

第1事例 出頭申告で刑事処分もない事案でありながら不許可となりました。在日約2年8月、違反期間約2年7月、婚姻期間約2年1月で子はなく、特記事項に「婚姻・同居の実態が認められなかったもの」と記載されています。ガイドライン第2の2(1)(ウ)は偽装婚を明示的に除外していますので、婚姻の実体が否定されれば家族関係の積極要素はそもそも立ち上がりません。許可群の第2事例が同じく婚姻2年・子なしで許可されていることとの対比が示すのは、婚姻期間の数字ではなく実体の立証が結論を決めるという事実です。刑事処分のない事案ですから、違反審査の段階までに同居と生計の共同を客観的資料で示せていたかが分水嶺でした。

第2事例 警察逮捕による不法残留の事案です。在日約7年5月、違反期間約1年3月、婚姻期間約2月で、刑事処分は道路交通法違反により懲役8月の判決、加えて無免許危険運転致傷と道路交通法違反による執行猶予の前科がありました。実刑判決である点、同種前科の後に再び同種の違反に及んでいる点が重く、婚姻期間2月では積極要素として機能しません。交通事犯であっても、実刑に至れば入管法24条4号リの退去強制事由に該当し得ます。前科がある方の再度の事件では、量刑の見通しが大きく変わることを前提に、起訴前の段階から対応を組む必要があります。

第3事例 警察逮捕による薬物法令違反及び不法残留の事案です。在日約8年6月、違反期間約11月、婚姻期間約3年8月で、刑事処分は麻薬及び向精神薬取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年、特記事項に「配偶者と離婚協議中」とあります。薬物関係法令違反による有罪は、執行猶予でも入管法24条4号チの退去強制事由となる類型であり、ガイドライン上も強い消極要素です。加えて、離婚協議中という事情は婚姻関係の破綻を示すものであり、3年8月の婚姻期間があっても第2の2(1)(ウ)の安定・成熟した婚姻という評価に届きません。消極要素の重さと積極要素の消失が重なった事案です。

第4事例 警察逮捕による売春周旋及び不法残留の事案です。在日約23年10月、違反期間約8月、婚姻期間約2年2月で、刑事処分は売春防止法違反により懲役2年・執行猶予3年、賭博による罰金の前科がありました。他人に売春を行わせる行為は第2の3(1)(エ)に明示された素行不良であり、自ら売春を行う場合よりも反社会性が高く評価されます。23年10月という長期の在日と2年2月の婚姻では覆せていません。

第5事例 警察逮捕による不法就労助長及び不法残留の事案です。在日約6年3月、違反期間約5年3月、婚姻期間約2年5月で、刑事処分は入管法違反(不法残留、不法就労助長)及び風俗営業法違反により懲役2年6月・執行猶予4年及び罰金30万円の判決、特記事項に「自己が経営する店において、外国人を不法就労させたもの」とあります。許可群の第5事例(不法就労助長・罰金30万円・日本国籍の連れ子あり)との対比が、この類型の分水嶺を明瞭に示しています。すなわち、刑事処分が罰金にとどまるか執行猶予付きの判決に至るか、自己の経営する店で組織的に不法就労させたか、そして日本国籍の子を監護養育しているかという3点です。この類型では、雇用した外国人の在留資格と就労可否についてどこまで確認していたのか、確認を尽くしたのに欺かれたのではないかという故意・過失の問題が正面から立ち上がります。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする長年の実務の当否は、現在も争われている論点です。

B類型 配偶者が正規に在留する外国人の場合(許可4件・不許可4件)

配偶者が永住者・定住者等の別表第二の在留資格を有する場合、ガイドライン第2の2(2)により日本人配偶者に準じて評価されます。令和3年分は、許可4件がすべて刑事処分のない出頭申告事案、不許可4件が婚姻実体の疑義又は刑事処分を伴う事案という対照です。

許可された4件

第1事例 在日約4年4月、違反期間約3年5月、婚姻期間約4年1月で子はなく、配偶者は「永住者」、刑事処分なしの出頭申告事案です。許可は「永住者の配偶者等(1年)」でした。婚姻期間が在日期間とほぼ重なり、在留資格を失った後も婚姻生活が継続していることが示されています。子がない場合でも、配偶者の在留資格が安定していて婚姻の実体が確認されれば、許可の方向で検討され得ることが分かります。

第2事例 在日約10年3月、違反期間約7年3月、婚姻期間約3年5月で子はなく、配偶者は「定住者」、刑事処分なしの出頭申告事案です。特記事項に「配偶者には日本国籍を有する未成年の実子あり」とあり、許可は「定住者(1年)」でした。本人と子との間に血縁がなくても、日本国籍の未成年の子を含む家庭に配偶者として加わり生活を共にしていることは、家族関係の積極要素として評価されます。令和6年改定で明示された「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」の趣旨にも合致します。7年3月の不法在留を覆したのは、この家族の構成でした。

第3事例 在日約6年3月、違反期間約5年3月、婚姻期間約2年2月で未成年の子が1人あり、配偶者は「永住者」、刑事処分なしの出頭申告事案です。許可は「永住者の配偶者等(1年)」でした。5年3月の不法在留に対し、永住者との婚姻と未成年の子の存在が明らかに上回ると判断されています。子の年齢や就学の状況は事例集には記載されていませんが、子の存在自体が婚姻の実体を裏づける事実として機能しています。

第4事例 在日約8年4月、違反期間約1年10月、婚姻期間約1年5月で未成年の子が1人あり、配偶者は「定住者」、刑事処分なしの出頭申告事案です。許可は「定住者(1年)」でした。違反期間が1年10月と比較的短く、婚姻期間と子の存在が積極要素として働いています。違反状態に気づいた段階で早期に出頭申告することが、違反期間の伸びを止め、結論を有利にする方向で働きます。

許可されなかった4件

第1事例 出頭申告で刑事処分もない事案ですが不許可となりました。在日約4年4月、違反期間約4年3月、婚姻期間約1年9月で子はなく、配偶者は「永住者」、特記事項に「婚姻・同居の実態が認められなかったもの」及び「被退去強制歴あり」とあります。婚姻の実体が否定されれば第2の2(2)の積極要素は立ち上がらず、被退去強制歴という強い消極要素だけが残ります。自主出頭という積極要素があっても、これを覆すには足りませんでした。

第2事例 警察逮捕による不法残留の事案です。在日約10年10月、違反期間約1年8月、婚姻期間約9年11月で子はなく、配偶者は「永住者」、刑事処分は窃盗未遂により懲役1年の実刑判決、特記事項に「配偶者に婚姻継続の意思なし」及び窃盗未遂による執行猶予の前科があります。婚姻期間が9年11月に及ぶという厚い積極要素がありながら不許可となった理由は、配偶者側に婚姻継続の意思がないため婚姻関係の安定という評価が成り立たないこと、そして同種前科の後の実刑判決という消極要素の重さです。婚姻期間の長さは、それ自体で結論を導くものではありません。

第3事例 警察逮捕による刑罰法令違反及び不法残留の事案です。在日約6年8月、違反期間約4月、婚姻期間約7月で子はなく、配偶者は「永住者」、刑事処分は詐欺により懲役2年6月・執行猶予4年の判決でした。違反期間が4月と短いという有利な事情がありながら不許可となっており、財産犯による有罪判決の重さと、婚姻期間7月という積極要素の薄さが結論を決めています。執行猶予付きの判決であっても、入管手続では第2の6の退去強制理由となった事実の反社会性として評価されます。

第4事例 警察逮捕による薬物法令違反の事案です。在日約1年8月、婚姻期間約2年7月で未成年の子が1人あり、配偶者及び子は「定住者」、刑事処分は覚醒剤取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年、窃盗による執行猶予の前科があります。子の存在と2年7月の婚姻という積極要素がありながら不許可となりました。薬物関係法令違反は執行猶予でも入管法24条4号チの退去強制事由となる類型であり、前科の累積も重なっています。この事案は、刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。もっとも、実際にどこまで争えたかは証拠関係によります。

C類型 外国人家族の場合(許可2件・不許可2件)

家族が揃って不法滞在の状態にある場合、判断の中心は子の本邦における生活の定着です。令和3年分は、許可2件がいずれも子が10歳を超えて本邦で生活してきた事案、不許可2件が親の薬物事犯又は被退去強制歴を伴う事案という対照です。

許可された2件

第1事例 家族全員で出頭申告した事案です。本人は在日約19年・違反期間約1年10月、配偶者は在日約13年・違反期間約1年8月、子は12歳が2人でいずれも在日約12年2月・違反期間約1年2月でした。許可は家族4人とも「定住者(1年)」です。違反期間が1年前後にとどまり、それ以前は正規の在留資格で生活していたこと、子2人が本邦で12年を過ごし初等中等教育を受けてきたこと(第2の2(3))、そして家族全員での自主出頭(第2の9)が積極要素として重なっています。子が本国での教育を受けることが困難であることを、就学状況・言語能力・生活実態の面から具体的に立証することが要になります。

第2事例 職員探知により発覚した虚偽文書作成及び行使の事案です。本人は在日約24年で、子は3人あり、第1子は本邦出生で在留資格を取り消され18歳、第2子は本邦出生で不法残留、在日約11年・違反期間約3年7月の11歳、第3子は本邦出生で不法残留、在日約4年11月・違反期間約1年6月の4歳でした。特記事項によれば、第1子に不正に在留期間の更新許可を受けさせる目的で、内容が虚偽の在留期間更新許可申請書を作成し行使したものです。許可は家族4人とも「定住者(1年)」でした。虚偽文書の作成・行使は出入国在留管理行政の根幹に関わる違反であり、ガイドライン第2の3(1)の素行不良として重い消極要素です。それでも許可に至ったのは、24年に及ぶ本邦での生活と、本邦で出生した子3人(うち2人は本邦の教育機関で教育を受けてきた年齢)の存在という家族の定着性が明らかに上回ると判断されたためと理解できます。動機が自己の利益ではなく子の在留の継続にあったことも、事実の評価に影響した可能性があります。この事例は、素行不良の類型に当たっても結論が一律ではないことを示す重要な先例です。

許可されなかった2件

第1事例 警察逮捕による薬物法令違反及び不法残留の事案です。本人は在日約3年7月・違反期間約9月、子は2歳で在日約2年7月・違反期間約5月でした。特記事項によれば、本人は覚醒剤取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年の判決を受けています。子が2歳で就学前であるため第2の2(3)の積極要素が働きにくく、在日期間も3年7月と短いため定着性を支える事実が乏しく、他方で薬物法令違反という強い消極要素があります。この事案も、刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性がありますが、証拠関係次第であり結果を遡って断定することはできません。

第2事例 警察逮捕による不法残留の事案です。本人は在日約6年1月・違反期間も約6年1月、子は8歳で在日約6年1月・違反期間約6年1月、特記事項に「本人は、被退去強制歴あり」とあります。子が8歳で本邦の教育機関に通っている可能性のある年齢である点は積極要素になり得ますが、在日期間の全部が不法在留であること、被退去強制歴があることが重く評価されています。刑事処分の記載がない事案ですので、争うべきは違反審査段階での立証です。子の就学状況、日本語と本国語の能力、地域社会との関わり、本国での教育を受けることの困難さを具体的な資料で示す作業が、この段階で求められていました。

D類型 その他(許可8件・不許可8件)

その他の区分は、配偶者や子との関係以外の事情で在留を求める事案の集まりです。令和3年分の許可8件はすべて出頭申告であり、人道上の配慮(ガイドライン第2の7)と本人の帰責性の乏しさが中心の主題になっています。不許可8件は、素行不良の類型と薬物事犯がほぼ全てを占めます。

許可された8件

第1事例 出頭申告による不法残留の事案です。在日約2年2月、違反期間約2年1月、刑事処分なし、在留希望理由は病気療養で、特記事項に「脳疾患等による後遺症のため、出国が困難であると認められるもの」とあります。許可は「特定活動(6月)」でした。第2の7(1)の治療の必要性のほか、そもそも身体の状態から出国そのものが困難であるという事情が正面から評価された事案です。許可期間が6月と短いのは、状態の推移に応じて更新の場面で改めて審査する趣旨と読めます。この類型では、診断書に加えて、搭乗の可否や移動に伴う危険について医師の具体的な所見を得ることが要になります。

第2事例 在日約1年、違反期間約10月の出頭申告事案で、在留希望理由は日本人里親との本邦での生活、特記事項に「実の親が所在不明となっており、日本人里親の監護・養育を受けているもの」とあります。許可は「特定活動(1年)」でした。子の側に違反状態の帰責性が全くないことが明らかであり、監護養育者との生活の継続が第2の7の人道上の配慮として評価されています。里親との生活の実態、児童相談所その他の関係機関の関与、就学の状況を客観的資料で示すことが必要です。

第3事例 在日約5年、違反期間約4年9月の出頭申告事案で、在留希望理由は日本人実子の監護養育、特記事項に「日本国籍を有する実子を監護・養育しているもの」とあります。許可は「定住者(1年)」でした。第2の2(1)(イ)の日本人の実子を相当期間同居監護養育していることが積極要素の中核です。婚姻関係がなくても、実子との親子関係と監護の実態があればこの要素は成立します。認知の有無、同居の状況、養育費や生活費の負担、保育や就学への関与といった事実を具体的に示すことが要です。

第4事例 在日約4年3月、違反期間約4年1月の出頭申告事案で、在留希望理由は家族との同居継続、特記事項に「戸籍上の日本人父との親子関係不存在審判確定により、遡って日本国籍を喪失したもの」とあります。許可は「定住者(1年)」でした。日本国籍を失った経緯に本人の帰責性が全くなく、それまで日本人として生活してきた基盤がそのまま残っているという構造です。審判の確定という自らの意思と無関係の出来事によって在留資格のない状態に置かれた方については、行政も救済の方向で判断してきています。審判書と戸籍の記載、それまでの生活の継続性を示す資料が中心の証拠になります。

第5事例 在日約8年10月、違反期間約1年8月の出頭申告事案で、在留希望理由は本邦に生活基盤があること、特記事項に「日系3世」及び「在留期間更新許可申請を失念したもの」とあります。許可は「定住者(1年)」でした。違反の原因が手続の失念という過誤にとどまり、日系3世として本来「定住者」の在留資格該当性を有していたことが総合的に評価されています。第2の9は別表第二の在留資格該当性を積極要素として挙げており、この事例はその典型です。更新申請の失念に気づいた時点で速やかに出頭申告することが結論を左右します。

第6事例 在日約2年5月、違反期間約1月の出頭申告事案で、在留希望理由は「帰国便が確保できるまで、本邦に滞在したい」、特記事項に「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で出国便が確保できなかったもの」とあります。許可は「短期滞在(90日)」でした。本人に帰国の意思があり、違反状態は自らの選択によるものではなく、渡航手段が確保できないという外部の事情によって生じたものです。第2の7の人道上の配慮及び第2の9のその他の事情として、帰国のための在留を認めた判断と理解できます。違反期間が1月にとどまるのは、事情が生じた後に速やかに出頭申告したことの表れであり、この迅速さ自体が結論を支えています。感染症、災害、政変、航空便の停止といった外部の事情で帰国できない場合には、その事情を裏づける資料(航空会社の運航状況、大使館の案内、予約と取消しの記録等)を揃えて早期に相談することが大切です。

第7事例 出頭申告による不法入国の事案です。在日約10年11月、違反期間も同じ約10年11月、刑事処分なし、在留希望理由は本邦に生活基盤があること、特記事項に「母の連れ子として、幼少時に入国し、本邦の教育機関で教育を受けているもの」とあります。許可は「定住者(1年)」でした。幼少時に親に連れられて入国した方には、不法入国という違反態様について自らの意思決定が存在しません。加えて、本邦の教育機関での相当期間の教育(第2の2(3))と地域社会への溶け込みが積極要素として働きます。在学証明、通知表、担任や友人の陳述、日本語と本国語の能力に関する資料が要になります。

第8事例 在日約30年4月、違反期間も同じ約30年4月の出頭申告による不法入国の事案です。刑事処分なし、在留希望理由は本邦に生活基盤があること、特記事項に「幼少時に母に連れられ入国したもの」及び「病気により単独での日常生活が困難な母を介護するもの」とあります。許可は「定住者(1年)」でした。30年に及ぶ不法在留という極めて強い消極要素があっても、入国時に自らの意思決定がなかったこと、そして介護を要する親族の看護という第2の7(1)の事情が明らかに上回ると判断されています。介護の必要性は、医師の診断書と介護の実態に関する具体的な記録によって示す必要があります。

許可されなかった8件

第1事例 警察逮捕による不法残留の事案です。在日約8年2月、違反期間約1年7月、刑事処分は窃盗により懲役10月の判決で、窃盗の前科が2件あります。在留希望理由は、成人した同国人の実子が日本にいることでした。実刑判決に加えて同種前科が2件重なっており、成人した子の存在は監護養育を要する関係にないため第2の2の積極要素として弱く働きます。積極要素の薄さと消極要素の累積が結論を決めた事案です。

第2事例 警察逮捕による不法入国の事案です。在日約16年4月、違反期間も約16年4月、刑事処分はなく、特記事項に「被退去強制歴あり」とあります。在留希望理由は本邦に生活基盤があることでした。刑事処分がないにもかかわらず不許可となった理由は、16年に及ぶ不法在留(第2の5)と被退去強制歴の重さです。生活基盤があるという主張は、それだけでは積極要素として評価されません。この事案で争う余地があったのは、16年の間に築いた具体的な関係、すなわち就労と納税の状況、地域社会との関わり、支援者の存在といった中身を証拠によって積極要素の側へ組み替える作業でした。

第3事例 警察逮捕による不法就労助長の事案です。在日約6年1月、刑事処分は入管法違反(不法就労助長)により罰金20万円の略式命令、特記事項に「事業活動に関し、複数の外国人に不法就労活動をさせたもの」とあります。在留希望理由は稼働の継続でした。この事例は、A類型許可第5事例(不法就労助長・罰金30万円・許可)との対比で読むべきものです。刑事処分の重さはむしろ本件の方が軽いにもかかわらず不許可となっているのは、家族関係の積極要素が存在せず、在留希望理由が稼働の継続という経済的な理由にとどまることによります。他の外国人の不法就労に関わる行為は第2の3(1)(イ)の重い消極要素ですから、これを上回る積極要素がなければ結論は厳しくなります。

第4事例 警察逮捕による不法就労助長及び売春周旋の事案です。在日約12年11月、刑事処分は売春防止法違反及び入管法違反(不法就労助長)により懲役3年・執行猶予5年の判決、特記事項に「事業活動に関し、複数の外国人に不法就労活動をさせたもの」とあります。在留希望理由は、成人した同国人の子が日本にいることでした。売春周旋と不法就労助長という第2の3(1)の素行不良が二重に重なり、量刑も懲役3年・執行猶予5年に及びます。成人した子の存在では覆せません。

第5事例 当局の摘発により発覚した不法残留及び偽造在留カード行使の事案です。在日約9年、違反期間約4年、刑事処分はなく、特記事項に「不法残留中、勤務先での面接時に偽造在留カードを提示し、その後同所で就労を継続していたもの」とあります。在留希望理由は稼働の継続でした。刑事処分がなくても不許可となっている点が重要です。在留カード等の公的書類の偽変造・行使はガイドライン第2の3(1)(ウ)に明示された素行不良であり、刑事手続で処分を免れても入管手続では消極要素として残ります。この類型では、当該カードが偽造であることの認識、入手の経緯、使用の目的が主要な争点であり、刑事段階での認定がそのまま入管手続に持ち込まれます。

第6事例 警察逮捕による不法残留及び偽造在留カード所持の事案です。在日約8年3月、違反期間約5年3月、刑事処分は入管法違反(不法残留、偽造在留カード所持)により懲役2年6月・執行猶予3年の判決、特記事項に「行使の目的で偽造在留カードを所持していたもの」とあります。在留希望理由は、日本人の恋人がいる日本で生活したいというものでした。恋人の存在は法的な婚姻関係に至っていないため第2の2の積極要素として機能しにくく、偽造在留カードという強い消極要素に対抗できていません。婚姻の意思がある場合には、その手続を早期に進め、関係の実体を客観的に示すことが必要になります。

第7事例 警察逮捕による薬物法令違反及び不法残留の事案です。在日約6年6月、違反期間約4月、刑事処分は覚醒剤取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年、特記事項に「日系3世」及び覚醒剤取締法違反により有罪判決を受けたことが記載されています。在留希望理由は、永住者の同国人の恋人がいる日本で生活したいというものでした。日系3世として本来は「定住者」の在留資格該当性を有し得る立場でありながら、薬物関係法令違反による有罪という入管法24条4号チの退去強制事由が生じています。この事案は、刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性がありますが、証拠関係によるものであり結果を遡って断定することはできません。

第8事例 警察逮捕による薬物法令違反の事案です。在日約11年4月、刑事処分は覚醒剤取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年、特記事項に覚醒剤取締法違反により有罪判決を受けたことが記載されています。在留希望理由は、稼働を継続し日本社会に貢献したいというものでした。第2の3の積極要素としての「本邦への貢献」は、社会・経済・文化の各分野において不可欠な役割を担っていると認められる場合を指すものであり、貢献したいという意思の表明とは評価の次元が異なります。11年4月の在日という基盤も、薬物法令違反という消極要素を覆すには足りませんでした。

この年の事例から読み取れる分水嶺

令和3年分の38件からは、次の線が読み取れます。

第1に、発覚の端緒です。許可19件のうち17件が出頭申告でした。逮捕又は職員探知で発覚しながら許可された2件は、A類型第5事例(日本国籍の未成年の連れ子あり・罰金30万円)とC類型第2事例(24年の在日と本邦出生の子3人)であり、いずれも別の強い積極要素を伴っています。他方、不許可19件のうち出頭申告は2件にとどまります。

第2に、刑事処分の内容です。不許可19件のうち14件に有罪判決又は略式命令があり、実刑は3件(道路交通法違反、窃盗未遂、窃盗)です。他方、許可19件で刑事処分があったのは1件(不法就労助長による罰金30万円)のみでした。罰金にとどまるか執行猶予付きの判決に至るかは、入管手続の評価を大きく左右します。

第3に、同じ違反態様でも結論が分かれることです。不法就労助長は、許可群に1件(A類型の許可第5事例)、不許可群に3件(A類型の不許可第5事例、D類型の不許可第3事例及び第4事例)現れます。刑事処分の重さだけでは説明がつかず、日本国籍の子を監護養育しているか、自己の経営する店で組織的に不法就労させたか、在留希望理由が家族関係か経済的理由かという点が結論を分けています。この点は、公表事例を読む際にもっとも注意すべきところです。

第4に、婚姻や同居の実体です。A類型不許可第1事例とB類型不許可第1事例は、いずれも出頭申告で刑事処分もない事案でありながら、「婚姻・同居の実態が認められなかったもの」の記載により不許可となっています。婚姻期間の数字は、実体の立証を代替しません。

第5に、人道上の配慮が具体的な在留資格として実現していることです。脳疾患の後遺症による出国困難には「特定活動(6月)」、新型コロナウイルス感染症の影響による出国便の確保困難には「短期滞在(90日)」、日本人里親のもとでの養育には「特定活動(1年)」、介護を要する母の看護には「定住者(1年)」がそれぞれ許可されています。人道上の配慮は抽象的な同情ではなく、診断書・関係機関の記録・運航状況の資料といった客観的な裏づけを得たときに機能します。

第6に、本人の帰責性の乏しさが繰り返し評価されていることです。親子関係不存在審判の確定による日本国籍の喪失、幼少時に親に連れられての入国、実の親の所在不明、更新申請の失念、感染症による出国便の不確保は、いずれも本人が自らの選択で違反状態を招いたものではありません。この構造を丁寧に示すことが、許可の方向への重要な足がかりになります。

刑事段階で不起訴を獲得できていれば結果は変わったか

令和3年分の不許可事例を並べると、刑事処分の内容が結論に直結していることが分かります。B類型不許可第4事例(覚醒剤取締法違反・懲役1年6月・執行猶予3年)、C類型不許可第1事例(覚醒剤取締法違反・懲役1年6月・執行猶予3年)、D類型不許可第7事例・第8事例(いずれも覚醒剤取締法違反・懲役1年6月・執行猶予3年)は、いずれも執行猶予付きの判決でありながら不許可となっています。

これは、入管法24条各号の構造によるものです。同条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由としますが、全部執行猶予の場合は除かれます。他方、4号チに当たる薬物関係法令違反による有罪は、執行猶予でも退去強制事由となります。したがって「執行猶予が付いたから日本に居られる」という説明は、罪名によっては成り立ちません。薬物事犯では、判決の内容が執行猶予付きであっても在留は失われ得るということです。

これらの事案は、刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。もっとも、実際にどこまで争えたかは証拠関係によるものであり、結果を遡って断定することはできません。だからこそ、弁護活動は起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先目標として組み立てる必要があります。執行猶予の獲得を最終目標に据えると、刑事裁判では成功したように見えて、在留の場面で失うものが大きくなりかねません。

不法就労助長の類型については、さらに一歩踏み込んだ検討が要ります。A類型許可第5事例は罰金30万円で許可され、D類型不許可第3事例は罰金20万円で不許可となっています。刑事処分の軽重だけでは結論が説明できないということは、刑事段階の目標を「罰金で済ませること」に置くだけでは足りないことを意味します。雇用した外国人の在留資格と就労可否についてどこまで確認していたのか、確認を尽くしたのに欺かれたのではないかという故意・過失の問題を刑事段階から徹底して争い、その主張と証拠を入管手続に引き継ぐ設計が必要です。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする長年の実務の当否は、現在も争われている論点です。

刑事処分のない不許可事例についても、別の角度からの検討が要ります。A類型不許可第1事例(婚姻・同居の実態なし)、B類型不許可第1事例(同・被退去強制歴あり)、C類型不許可第2事例(被退去強制歴あり)、D類型不許可第2事例(16年の不法在留・被退去強制歴)、D類型不許可第5事例(偽造在留カード行使・刑事処分なし)は、いずれも刑事処分ではなく、違反審査段階における事実の認定と立証の在り方が結論を決めています。

違反審査の段階から何を争うべきか

退去強制手続は、入国警備官の違反調査、入国審査官の違反審査(認定)、特別審理官の口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出という順に進みます。在留特別許可は最後の異議申出段階の判断ですが、実質的な勝負はそれより前の段階で決まっています。

令和3年分の特記事項を並べると、この点が明瞭です。「婚姻・同居の実態が認められなかったもの」「被退去強制歴あり」「自己が経営する店において、外国人を不法就労させたもの」「行使の目的で偽造在留カードを所持していたもの」という記載は、いずれも違反調査・違反審査の段階で積み上げられた事実であり、後の段階で覆すのは容易ではありません。逆に許可事例では、「家族全員で出頭申告したもの」「脳疾患等による後遺症のため、出国が困難であると認められるもの」「日本人里親の監護・養育を受けているもの」「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で出国便が確保できなかったもの」という認定が結論を支えています。

実際に取るべき手順は次のとおりです。まず、違反審査の段階までに積極要素を裏づける資料を揃えて提出します。婚姻・同居の実体であれば住民票、賃貸借契約、家計や送金の記録、写真、親族や近隣の陳述書。子の定着性であれば在学証明、通知表、担任や友人の陳述、日本語と本国語の能力に関する資料。人道上の配慮であれば診断書、治療計画、搭乗の可否に関する医師の所見、関係機関の保護記録、航空便の運航状況に関する資料。次に、退去強制事由該当性そのものを争う余地があるかを検討します。不法就労助長や偽造在留カードのように認識が問題となる類型では、この段階で認識の有無を主張しておくことが後の展開の基礎になります。

そして、認定・判定に対する不服を留保せずに従うと、争点が事実上封じられます。口頭審理の請求と異議申出を適切に行う必要があります。現行ガイドラインの注4は、退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されないとしています。令書が出てから婚姻届や認知を整えても間に合わない場合があるということですから、発付前の段階での主張と立証が決定的です。手続中の仮放免や監理措置の条件に違反することも消極要素となりますので、生活の在り方についても弁護人と確認しておくことが大切です。

公表事例に同じ類型がなくても諦める必要はない

令和3年分の事例集は、許可19件・不許可19件の抜粋です。同年の実際の許可件数はこれをはるかに上回っており、公表されているのはごく一部にすぎません。したがって、不許可事例に自分と似た事情が載っていることは直ちに結論を意味せず、逆に許可事例に自分と同じ類型が見当たらないことも、許可の可能性がないことを意味しません。

公表事例の意義は別のところにあります。これらは行政自身が「許可相当」と判断した先例ですから、同種の事情について異なる取扱いをすることは、合理的な理由のない差別的取扱いとして憲法14条1項違反の疑いを生じさせます。令和3年分でいえば、新型コロナウイルス感染症の影響による出国便の確保困難(D類型第6事例)、脳疾患の後遺症による出国困難(同第1事例)、日本人里親による養育(同第2事例)、親子関係不存在審判の確定による日本国籍の喪失(同第4事例)、介護を要する母の看護(同第8事例)、そして虚偽文書の作成・行使という素行不良の類型でありながら家族の定着性で許可されたC類型第2事例は、いずれも同種事情の事案で引くことのできる先例です。

そして、公表事例の傾向を超えられる場合もあります。当事務所が担当した不法就労助長の事案では、入管庁の公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら、在留特別許可を獲得しています(許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています)。令和3年分でも、不法就労助長はD類型不許可第3事例・第4事例、A類型不許可第5事例と不許可側に並んでいますが、A類型許可第5事例では同じ類型で許可されています。公表事例の傾向は出発点であって結論ではないということが、この年の対照からもよく分かります。もっとも容易な道ではなく、結果をお約束できるものでもありません。どの許可事例をどう引き、どの不許可事例との差異をどう論ずるかという設計が重要になります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しています。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

令和3年分の事例が示すとおり、同じ違反態様でも結論は一律ではありません。不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に至った女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、そのうえで「退去強制事由には故意・過失が不要」とする従来の実務の当否を問う訴訟を現に係属させています。故意・過失という刑事法の出発点を行政処分の場面でどこまで及ぼすべきかは、責任主義の射程に関わる論点です。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦受理されなかったところ、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1度の申請で在留特別許可を獲得しています。

刑事段階では、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により全件について不起訴処分を獲得しました。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を得た実績もあります。

当事務所の基本方針は、不起訴処分の獲得を最優先に据えることです。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至ります。そのため起訴前の段階から入管手続までの見通しを立て、刑事処分の内容そのものを動かすことを目指します。

松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士による代行は行いません。あわせて、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しています。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

結語

令和3年分の38件が示すのは、違反態様や罪名という表面の分類ではなく、その事案に何が積み上がっているかで結論が決まるという事実です。帰国便が確保できない、後遺症で移動できない、幼少時に連れられて来た、更新の手続を失念した。こうした事情は、放置すれば単なる不法滞在として処理されますが、資料を揃えて主張すれば人道上の配慮として評価され得ます。逮捕された直後、あるいは入管に出頭する前の段階で、何を積極要素として立証できるかを弁護人と検討しておくことが大切です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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