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平成28年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を1件ずつ読む

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平成28年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を1件ずつ読む

平成28年の在留特別許可事例38件(許可19件・不許可19件)を1件ずつ読む

2026/08/06

在留期間の更新を忘れていただけの方が在留特別許可を得た一方で、自ら経営する店で外国人を働かせていた方が次々と不許可になっている。平成28年分の事例集を並べて読むと、行政が何を軽く見て何を重く見ているのかが、はっきりと浮かび上がります。出入国在留管理庁(当時の法務省入国管理局)が平成29年3月に公表したこの資料には、許可19件と不許可19件が掲載されています。本記事では38件を1件ずつ辿り、現行ガイドライン(令和6年3月改定)のどの評価要素に当たるのか、そして結論を分けた一線がどこにあったのかを整理します。ご家族の事案がどちらの側に位置するかを見極める手がかりとしてお読みください。

本記事の要点

  • 平成28年分の許可19件のうち14件は出頭申告による発覚でした。摘発・逮捕で発覚しながら許可された5件は、更新申請の失念、重い疾病・障害、日本国籍を失った経緯に本人の帰責性がないこと、人身取引被害という事情を伴っています。
  • 在留期間の更新許可申請を失念したという手続上の過誤は、この年の許可事例に3件現れ、うち2件は「日本人の配偶者等(3年)」「定住者(3年)」という比較的長い在留期間で許可されています。
  • 不法就労助長は不許可事例5件に現れ、この年最も多い不許可理由です。自己が経営する飲食店で外国人を働かせた事例、職業をあっせんした事例、留学の在留資格のまま店舗を経営していた事例が並びます。
  • 仮放免中に違法な店舗を経営して逮捕された事例が不許可となっており、仮放免や監理措置の条件を守ることが在留特別許可の判断に直結することを示しています。
  • 公表事例は各年38件前後の抜粋です。不法就労助長のように公表事例が不許可で埋まっている類型でも、許可の可能性は残ります。

平成28年の事例集はどのような構成か

平成28年分の事例集は、許可19件・不許可19件を4つの区分に分けて掲載しています。区分は、(1)配偶者が日本人の場合(許可5件・不許可5件)、(2)配偶者が正規に在留する外国人の場合(許可4件・不許可4件)、(3)外国人家族の場合(許可2件・不許可2件)、(4)その他(許可8件・不許可8件)です。

掲載項目は、発覚理由、違反態様、在日期間、違反期間、婚姻期間、夫婦間の子、刑事処分等、許可内容または在留希望の理由、特記事項です。氏名・国籍・地域は記載されておらず、匿名の類型として示されます。在日期間・違反期間・婚姻期間は、いずれも特別審理官による判定までの期間です。なお、原典には、難民認定手続の中で在留特別許可がされた事例およびされなかった事例は、入管法61条の2の6第4項・61条の2の2の規定により対象から除外されている旨の注記があります。

平成28年分の特色は3点あります。第1に、「その他」の区分が許可8件・不許可8件と最も厚く、在日期間が約64年3月、約51年7月、約39年4月、約37年6月といった長期在留の事例が並びます。第2に、在留期間の更新許可申請の失念が3件の許可事例に現れます。第3に、不法就労助長が不許可事例5件に現れ、この年の最大の不許可理由となっています。

配偶者が日本人の場合(許可5件・不許可5件)

この類型では、許可5件のいずれにも刑事処分がなく、4件が出頭申告による発覚でした。不許可5件のうち3件には「婚姻・同居の実態に疑義がもたれたもの」との記載があり、3件が刑事処分を伴っています。

在留特別許可がされた5件

第1事例 出頭申告による不法残留で、在日約5年9月、違反期間約3年9月、婚姻期間約1年10月、夫婦間の子はなく、刑事処分もありません。ガイドライン第2の2(1)(ウ)にいう、日本人と法的に婚姻して相当期間共同生活をし、婚姻が安定かつ成熟していると認められる場合に当たり、第2の9の自ら出頭したことが重なります。分水嶺は、子がいないという弱点を、約1年10月の婚姻と同居の実体が補ったところにあります。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。この類型の基本型として参照価値があります。

第2事例 出頭申告による不法残留で、在日約5年4月、違反期間約3年、婚姻期間約1年5月、未成年の子1人があり、刑事処分はありません。夫婦間に子があることが第2の2(1)(ウ)の「夫婦間に子があるなど」に直接当たり、違反期間も約3年にとどまります。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。第1事例と併せると、婚姻期間が1年半から2年程度でも、同居の実体が確認されれば許可され得ることが分かります。

第3事例 出頭申告による不法入国で、在日および違反期間はいずれも約14年6月、婚姻期間約1年3月、子はなく、刑事処分もありません。不法入国かつ約14年6月の長期の不法在留という重い消極要素(第2の6および第2の5)がありながら、婚姻の実体と自主出頭により「日本人の配偶者等(1年)」が許可されています。現在同じ事案を扱う場合は、長期間そのものを有利に述べるのではなく、その期間に築いた生活の中身を立証する必要があります。

第4事例 出頭申告による不法入国で、在日および違反期間はいずれも約9年4月、婚姻期間約1年、未成年の子1人があり、刑事処分はありません。許可は「日本人の配偶者等(1年)」でした。婚姻期間が約1年と短くとも、夫婦間の子の存在が第2の2(1)(ウ)の積極要素として働いています。

第5事例 この類型で唯一、当局摘発により発覚した許可事例です。不法残留で在日約15年、違反期間は約1年にとどまり、婚姻期間は約16年、未成年の子3人があり、刑事処分はありません。特記事項には、在留期間更新許可申請を失念したものと記されています。許可は「日本人の配偶者等(3年)」で、この類型で唯一3年の在留期間が付与されました。分水嶺は明快で、不法滞在に至った原因が手続の失念であり、それ以前に約16年の婚姻と3人の子との生活が積み上がっていたことです。摘発による発覚であっても、違反の実質的な悪質性が乏しければ手厚い許可があり得ることを示す、実務上きわめて有用な事例です。

在留特別許可がされなかった5件

第1事例 出頭申告による不法残留で、在日約3年4月、違反期間約1年3月、婚姻期間約7月、子はなく、刑事処分もありません。不許可の理由は、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたことと、技能実習先を逃亡したことの2点です。技能実習の在留資格は特定の実習先での活動を前提としますから、そこから逃亡した経緯は在留資格の基礎を自ら放棄したものとして第2の6の評価に直結します。自ら出頭したという積極要素だけでは、これを打ち返せませんでした。

第2事例 出頭申告による不法残留で、在日約11年4月、違反期間約8年4月、婚姻期間約1年、子はありません。刑事処分は売春防止法違反および風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反により懲役1年6月・執行猶予3年、罰金20万円の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。特記事項には、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたこと、仮放免中に違法エステ店を経営して逮捕されたことが記されています。売春に関わる行為は第2の3(エ)に明示された素行不良であり、加えて仮放免中の条件違反はガイドライン第2の3が消極要素として掲げるところです。分水嶺は、仮放免という猶予された立場を自ら損なったことにあります。仮放免や監理措置の条件を守ることは、在留特別許可の判断に直結します。

第3事例 当局摘発による不法就労助長で、在日約15年、婚姻期間は約10年に及び、刑事処分の記載はありません。特記事項には、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたこと、自己が経営する店において外国人を不法就労させたこと、被退去強制歴1回があることが記されています。婚姻期間約10年という長期でありながら不許可となっており、自己経営店での不法就労助長が第2の3(イ)の他の外国人の不法就労に関わる行為として重く評価されたことが読み取れます。刑事処分がなくても入管手続では重く扱われる点に注意が必要です。なお、雇い入れた外国人の在留資格や就労可能性について経営者がどこまで認識していたかという故意・過失の問題は、この類型で常に争点となり得ます。

第4事例 偽造在留カードの行使により警察に逮捕された事案で、在日約7年8月、婚姻期間約1年、刑事処分は入管法違反により懲役1年6月・執行猶予3年の判決でした。特記事項には、在留資格「人文知識・国際業務」で在留中に雇用先を退職し、アルバイト先の責任者に対し偽造在留カードを提示したこと、逮捕後に婚姻が成立したことが記されています。在留カード等の公的書類の偽変造・行使は第2の3(ウ)に明示された素行不良であり、婚姻が身柄拘束後に整えられたことで積極要素の側も薄いままでした。分水嶺は、公的書類の偽造への関与という一点です。

第5事例 刑罰法令違反により警察に逮捕された事案で、在日約7年5月、婚姻期間約1年9月、刑事処分は大麻取締法違反により懲役8月・執行猶予3年の判決、被退去強制歴1回があります。在留資格「日本人の配偶者等」で在留中に大麻取締法違反により有罪判決を受けたことが特記されています。刑期は懲役8月と比較的短く執行猶予も付いていますが、薬物法令違反と被退去強制歴という2つの消極要素が重なり不許可となりました。現行法では、薬物関係法令違反による有罪は執行猶予であっても入管法24条4号チの退去強制事由に当たります。したがって、この事案は「刑が軽かったから在留に影響しない」という理解が成り立たない典型例です。

配偶者が正規在留外国人の場合(許可4件・不許可4件)

この類型では、配偶者が永住者・定住者であることが、ガイドライン第2の2(2)の別表第二の在留資格者との家族関係として、日本人配偶者に準じて評価されます。許可4件はすべて出頭申告で、いずれも配偶者の在留資格が特記されています。不許可4件はすべて配偶者の在留資格の記載がありません。

在留特別許可がされた4件

第1事例 出頭申告による不法残留で、在日約4年11月、違反期間約2年11月、配偶者は永住者、婚姻期間約1年、子はなく、刑事処分もありません。永住者との婚姻関係(第2の2(2))と自主出頭(第2の9)が、約2年11月の不法在留という第2の5の消極要素を上回りました。許可は「永住者の配偶者等(1年)」でした。子がいない場合の基本型です。

第2事例 出頭申告による不法残留で、在日約5年5月、違反期間約3年5月、配偶者は定住者、婚姻期間約1年1月、未成年の子1人があり、子も定住者の在留資格を有しています。刑事処分はありません。夫婦間に子があり、その子が正規の在留資格を有していることは、家族全体の本邦定着性を示す事情として第2の2(2)に直結します。許可は「定住者(1年)」でした。

第3事例 出頭申告による不法残留で、在日約7年7月、違反期間約6年7月、配偶者は永住者、婚姻期間約11月、未成年の子1人があり、子は「永住者の配偶者等」の在留資格を有しています。刑事処分はありません。婚姻期間が約11月と1年に満たないにもかかわらず許可されており、夫婦間の子が正規の在留資格を有していることが積極要素として強く働いたと解されます。許可は「永住者の配偶者等(1年)」でした。婚姻期間の短さを子の存在と在留資格で補った例です。

第4事例 出頭申告による不法入国で、在日および違反期間はいずれも約17年11月、配偶者は永住者、婚姻期間約10月、夫婦間の子はありませんが、配偶者に日本国籍を有する実子1人があることが特記されています。刑事処分はありません。許可は「永住者の配偶者等(1年)」でした。約17年11月の不法在留かつ不法入国という重い消極要素がありながら、配偶者の側にある日本国籍の子との生活関係が家族全体の定着性を示す事情として働いています。第2の2(2)の評価において家族の範囲を狭く捉えるべきではないことを示す事例です。

在留特別許可がされなかった4件

第1事例 出頭申告による不法残留で、在日約13年7月、違反期間約13年4月、婚姻期間約7月、子はなく、刑事処分もありません。不許可の理由は、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたことに尽きます。約13年4月という長期の不法在留が第2の5の消極要素として存在する一方、積極要素の側で頼るべき婚姻関係が認定されませんでした。刑事処分がないため、争うべき舞台は違反審査における同居実体の立証に限られていました。

第2事例 出頭申告による不法入国で、在日および違反期間はいずれも約5年4月、婚姻期間約3年、子はなく、刑事処分もありません。不許可の理由は、被退去強制歴1回があることです。婚姻期間が約3年あり、この類型の許可事例(約10月から約1年1月)より長いにもかかわらず不許可となっています。分水嶺は、退去強制歴という過去の事実を打ち返すだけの積極要素が揃っていたかどうかです。被退去強制歴がある場合には、婚姻期間の長さだけでなく、同居・扶助の実体を具体的な資料で示す必要があります。

第3事例 警察逮捕により発覚した不法入国で、在日および違反期間はいずれも約12年6月、婚姻期間約1月、刑事処分は入管法違反により懲役2年6月・執行猶予3年の判決でした。逮捕後に婚姻が成立したことが特記されています。婚姻期間約1月という記載は、婚姻が身柄拘束後に整えられたことを端的に示しており、婚姻の真摯性についての評価を著しく困難にします。分水嶺は、婚姻が発覚の前に成立していたかどうかです。

第4事例 職員探知により発覚した不法就労助長で、在日約8年7月、婚姻期間は約9年5月に及び、刑事処分の記載はありません。特記事項には、不法就労活動をさせる行為に関し外国人に職業をあっせんしたこと、被退去強制歴2回があることが記されています。婚姻期間約9年5月という長期でありながら不許可となっており、職業のあっせんという第2の3(イ)の類型と、被退去強制歴2回という第2の6の消極要素が決定的でした。自ら雇うのではなく人を紹介する行為も、同じ枠で評価されることを示す事例です。

子と共に不法滞在の場合(許可2件・不許可2件)

この類型は、原典では「外国人家族の場合」と題され、本人(申請人)の違反態様・在日期間に加え、配偶者と子の在留状況、判定時における子の年齢が示されています。平成28年分は許可2件・不許可2件と最も件数が少ないものの、対照は明快です。

在留特別許可がされた2件

第1事例 家族全員で出頭申告した不法残留の事案で、本人は在日約18年9月、違反期間約18年6月、配偶者は不法入国(在日約16年5月、違反期間約16年5月)、子は本邦出生後に在留資格を取得しないまま9歳8月に達していました。家族3人とも「定住者(1年)」が許可されています。子が本邦で生まれ約9年8月にわたり成育していることは、ガイドライン第2の2(3)にいう本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国で教育を受けることが困難な事情がある子に該当し得ます。約18年6月の不法在留という重い消極要素を、子の成育と家族全員での出頭が上回った例です。

第2事例 家族全員で出頭申告した不法残留の事案で、本人は在日約13年9月、違反期間約13年6月、配偶者は不法残留(在日約11年4月、違反期間約11年1月)、子も不法残留(在日約11年4月、違反期間約11年1月)で15歳でした。家族3人とも「定住者(1年)」が許可されています。子が15歳に達し、約11年4月にわたり本邦で成育していることは、第2の2(3)の要件に強く当てはまります。第1事例と併せると、この類型で許可を得た2件はいずれも、家族全員での出頭と、子の長期にわたる本邦での成育という2つの要素を備えていることが分かります。

在留特別許可がされなかった2件

第1事例 当局摘発による不法残留で、在日約7年1月、違反期間約10月、子は本邦出生後に在留資格を取得しないまま1歳と0歳の2人でした。不許可の理由は、窃盗による前科1件があること、外国籍の恋人(在留資格「定住者」)との婚姻手続に及ばなかったことです。許可事例2件と比べると、摘発により第2の9の出頭という積極要素を欠き、子が1歳と0歳で第2の2(3)の就学に関する積極要素が成立せず、さらに前科という第2の6の消極要素が加わっています。分水嶺は、子の成育の厚みと、家族関係を法的に整えていたかどうかの双方です。

第2事例 呼出状による出頭という端緒の不法残留で、在日約7年5月、違反期間約1年11月、子は本邦出生後に在留資格を取得しないまま1歳でした。不許可の理由は、日本人との偽装結婚後に不法残留したことです。呼出状に応じて出頭したことは、自発的な出頭申告とは評価が異なります。加えて、偽装結婚は第2の2(1)(ウ)の積極要素から明文で除外されており、在留資格の基礎に虚偽があった事実は消えません。子が1歳であることから第2の2(3)の積極要素も立たず、積極要素の側が乏しいままでした。

その他の類型(許可8件・不許可8件)

この区分には、日本国籍の離脱、重い疾病・障害、長期在留、親子関係不存在審判、人身取引被害といった多様な事案が入ります。許可8件のうち3件は在留期間の更新許可申請の失念に起因し、不許可8件のうち4件は不法就労助長または偽装滞在の幇助に関わります。

在留特別許可がされた8件

第1事例 出頭申告による不法残留で、在日約64年3月、違反期間約6年4月、在留希望の理由は本邦に生活基盤があることです。自らの意思で日本国籍を離脱したこと、在留期間更新許可申請を失念したことが特記されています。許可は「日本人の配偶者等(3年)」でした。約64年という在留期間は、この年の事例集で最長です。日本国籍を離脱したこと自体は本人の意思によるものですが、その後に在留手続を失念したという過誤の性質は軽く、生活基盤の厚みが第2の7の人道上の配慮に接続します。手続の失念という原因であれば3年という手厚い許可があり得ることを示します。

第2事例 出頭申告による不法残留で、在日約5年10月、違反期間約2年7月、在留希望の理由は日本国籍を有する実子の監護養育であり、実際に日本国籍を有する実子を監護養育していることが特記されています。許可は「定住者(1年)」でした。これはガイドライン第2の2(1)(イ)の中核に当たる事案で、婚姻関係を経由せずとも、日本国籍の子との親子関係が現に機能していれば救済され得ることを示します。この類型は現行運用でも最も安定した積極要素の一つです。

第3事例 出頭申告による不法残留で、在日約51年7月、違反期間約10月、在留希望の理由は本邦で病気治療を受けたいというものです。入院中に在留期間更新許可申請を失念したこと、重度の意識障害があり退院が見込まれないことが特記されています。許可は「定住者(3年)」でした。難病等により本邦での治療を必要としているという第2の7(1)の人道上の配慮に直接当たり、更新申請の失念という原因の軽さと相まって、3年の在留期間が付与されています。入院中に手続ができなかった経緯を、診療記録によって具体的に示すことが立証の要になります。

第4事例 出頭申告による不法残留で、在日約37年6月、違反期間約31年1月、在留希望の理由は本邦に生活基盤があることで、本邦在留期間が37年間に及ぶことが特記されています。許可は「定住者(1年)」でした。約31年1月という極めて長期の不法在留がありながら許可されており、平成28年時点では長期の生活基盤そのものが積極的に評価されていたことがうかがえます。もっとも、令和6年改定ガイドラインは不法在留期間の長期化を明確な消極要素と位置づけましたので、現在は同じ主張の立て方はできません。その期間の就労の継続、納税の状況、地域社会との関係を具体的に立証する必要があります。

第5事例 当局摘発による不法残留で、在日約2年3月、違反期間約1年3月、在留希望の理由は脳出血で重度の障害があることと日本人の実子との同居です。在留資格「短期滞在」で入国した後まもなく脳出血で倒れ、後遺症による歩行障害、高次脳機能障害による認知症、精神症状が顕著な状態となり、本邦において実子家族の介護を受けることが人道上の観点から相当であるとされたことが特記されています。許可は「特定活動(1年)」でした。摘発による発覚でありながら許可されており、第2の7(1)の人道上の配慮が決定的に働いた事案です。診断書と介護の受入体制を示す資料が要になります。

第6事例 当局摘発による不法残留で、在日および違反期間はいずれも約27年1月、在留希望の理由は家族との同居継続です。父は未成年の実子(在留資格「定住者」)を有すること、子は戸籍上の日本人父との親子関係不存在審判の確定により遡って日本国籍を喪失したことが特記されています。許可は父子とも「定住者(1年)」でした。国籍喪失の原因が本人の行為ではなく審判の効果であるという点で、帰責性の不存在が明確な事案です。摘発による発覚であっても、身分関係の由来に遡る主張が結論を動かし得ることを示します。

第7事例 警察逮捕により発覚した不法残留で、在日および違反期間はいずれも約2月、人身取引被害者として公的機関に保護され、国際機関の支援を受けて早期の帰国を希望したことが特記されています。許可は「特定活動(1月)」でした。人身取引の被害者は、令和5年改正法50条1項3号に「人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき」として法律上明記された類型であり、現在は根拠がより明確になっています。帰国を前提とする短期の在留許可という形をとることが多い点も、この類型の特徴です。

第8事例 警察逮捕により発覚した不法残留で、在日約39年4月、違反期間は約3月、在留希望の理由は本邦に生活基盤があることです。日本人の実子として長期間本邦に在留していたところ、失念により在留期間の更新を怠り、自ら警察に出頭して逮捕されたこと(刑事処分はなし)が特記されています。許可は「日本人の配偶者等(3年)」でした。発覚の端緒は形式上「警察逮捕」ですが、実質は自ら申告した事案であり、第2の9の趣旨に沿う評価がされたと解されます。日本人の実子であることは第2の2(1)(ア)の中核であり、違反期間が約3月と短いことも判断を軽くしています。逮捕という記載があっても、その経緯によって評価が変わることを示す重要な事例です。

在留特別許可がされなかった8件

第1事例 当局摘発による不法残留で、在日約2年3月、違反期間約1年3月、在留希望の理由は日本人の婚約者と婚姻したいというものです。技能実習先を逃亡したこと、日本人の婚約者との同居事実はなかったことが特記されています。婚姻の予定があるだけでは第2の2の積極要素は成立せず、同居の実体を欠いていました。加えて技能実習先からの逃亡が在留資格の基礎を自ら失った経緯として評価されています。分水嶺は、同居の実体があったかどうかです。

第2事例 当局摘発による不法入国で、在日および違反期間はいずれも約19年3月、在留希望の理由は外国籍の婚約者(在留資格「定住者」)と婚姻したいというものです。他人名義の旅券で不法入国し、偽装日系人として在留していたことが特記されています。他人名義の旅券の使用は第2の3(ウ)の公的書類の不正使用に、身分の偽装は第2の3(イ)の在留資格の偽装に関わる行為に接続します。約19年3月の在留も、その基礎が虚偽である限り積極要素になりません。

第3事例 当局摘発による偽装滞在の幇助で、在日約12年8月、刑事処分の記載はなく、在留希望の理由は会社経営を継続したいことと外国籍の恋人(在留資格「留学」)と婚姻したいことです。外国人に不正に在留期間更新許可を受けさせるため、自己が経営する会社に在職しているという内容虚偽の在職証明書等を発行したことが特記されています。他の外国人の在留資格の偽装に関わる行為は第2の3(イ)に明示された素行不良であり、出入国在留管理行政の根幹に関わる違反と評価されます。刑事処分がないにもかかわらず不許可となっている点が重要で、刑事処分の有無だけで入管手続の見通しを立てることはできません。

第4事例 偽造在留カードの提供により警察に逮捕された事案で、在日約15年6月、刑事処分は入管法違反により懲役2年・執行猶予3年の判決、被退去強制歴1回があり、在留希望の理由は元配偶者(在留資格「永住者」)と復縁したいというものです。偽造在留カードを他人に提供する行為は第2の3(ウ)の中核であり、被退去強制歴1回も加わりました。復縁の希望は、現に婚姻関係が存在しない以上、第2の2の積極要素にはなりません。分水嶺は、公的書類の偽造への関与という一点です。

第5事例 不法就労助長により警察に逮捕された事案で、在日約4年10月、刑事処分は入管法違反により懲役1年6月・執行猶予3年、罰金100万円の判決、在留希望の理由は雇用されている会社で引き続き働き会社に貢献したいというものです。在留資格「人文知識・国際業務」で在留中に飲食店を経営し、外国人に不法就労させたことが特記されています。自己経営店での不法就労助長は第2の3(イ)に明示された素行不良であり、罰金100万円という金額も違反の規模を示しています。ここでも、雇い入れた外国人の在留資格や就労可能性について経営者がどこまで認識していたかという故意・過失の問題が争点となり得ます。刑事段階でこの点を徹底して争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎になります。

第6事例 資格外活動および不法就労助長により警察に逮捕された事案で、在日約4年2月、違反期間約1年4月、刑事処分の記載はなく、在留希望の理由は母国では大学に編入できないことから本邦の大学で勉強を続けたいというものです。在留資格「留学」で在留中に飲食店経営者として収入を伴う事業を運営する活動に従事して資格外活動を行ったこと、自己が経営する飲食店において外国人に不法就労させたことが特記されています。留学の在留資格で事業を経営すること自体が在留資格該当性を失わせ、さらに不法就労助長が重なりました。刑事処分がなくても不許可となっている点は、第3事例と同様です。

第7事例 薬物法令違反により警察に逮捕された事案で、在日約6年1月、刑事処分は覚せい剤取締法違反により懲役1年6月・執行猶予3年の判決、在留希望の理由は本邦に生活基盤があることです。日本人と婚姻した母親の連れ子として15歳の時に来日し、在留資格「定住者」で在留中に有罪判決を受けたことが特記されています。15歳から本邦で生活してきたという経緯は第2の2(3)に接続し得る積極要素ですが、薬物法令違反の消極要素が上回りました。執行猶予が付いていても結論は変わっていません。現行法では、薬物関係法令違反による有罪は執行猶予であっても入管法24条4号チの退去強制事由に当たりますので、この構造は現在ではより明確です。

第8事例 不法就労助長により警察に逮捕された事案で、在日約15年6月、刑事処分の記載はなく、在留希望の理由は飲食店を経営したいことと日本人の恋人と婚姻したいことです。自己が経営する飲食店において外国人に不法就労させたことが特記されています。約15年6月の在留がありながら、婚姻はまだ成立しておらず第2の2の積極要素が立たない一方、自己経営店での不法就労助長が第2の3(イ)の消極要素として働きました。刑事処分の記載がないにもかかわらず不許可となっており、この年の不法就労助長5件のうち4件が刑事処分の記載なしで不許可となっていることは、入管手続における評価の重さを示しています。

この年の事例から読み取れる分水嶺

平成28年分の38件から読み取れる分水嶺は、次の4点です。

第1に、不法滞在に至った原因の性質です。この年の許可事例では、在留期間の更新許可申請を失念したという手続上の過誤が3件(配偶者が日本人の第5事例、その他の第1事例・第3事例)に現れ、うち2件は3年の在留期間で許可されています。加えて、その他の許可第8事例も更新の失念に起因し、「日本人の配偶者等(3年)」が許可されています。他方、不許可事例では、技能実習先からの逃亡(配偶者が日本人の第1事例、その他の第1事例)、偽装日系人としての在留(その他の第2事例)、偽装結婚(外国人家族の第2事例)、留学の在留資格での事業経営(その他の第6事例)が並びます。同じ不法滞在でも、そこに至った原因が過失によるものか、意図的に在留資格の基礎を偽ったものかで、評価は大きく分かれています。

第2に、不法就労助長の重さです。この年の不許可事例には不法就労助長が5件現れます。配偶者が日本人の第3事例(自己経営店、刑事処分の記載なし)、正規在留外国人の第4事例(職業のあっせん、刑事処分の記載なし)、その他の第5事例(懲役1年6月・執行猶予3年、罰金100万円)、その他の第6事例(資格外活動と併合、刑事処分の記載なし)、その他の第8事例(自己経営店、刑事処分の記載なし)です。5件のうち4件は刑事処分の記載がないにもかかわらず不許可となっており、婚姻期間が約10年(配偶者が日本人の第3事例)、約9年5月(正規在留外国人の第4事例)に及ぶ事例も含まれます。この類型は、家族関係の厚みでも覆りにくい消極要素として作用しています。

第3に、家族関係の実質です。不許可事例に頻出する「婚姻・同居の実態に疑義がもたれたもの」(配偶者が日本人の第1事例・第2事例・第3事例、正規在留外国人の第1事例)と、「同居事実はなかったもの」(その他の第1事例)という記載は、いずれも生活の実体が認定されなかったことを意味します。逮捕後に婚姻が成立した事例(配偶者が日本人の第4事例、正規在留外国人の第3事例)も揃って不許可です。他方、許可事例では、婚姻期間が約11月と1年に満たない事例(正規在留外国人の第3事例)や、夫婦間に子がない事例(正規在留外国人の第4事例)でも、子の在留資格や配偶者側の家族関係によって許可されています。期間や書類ではなく、関係が現に機能しているかどうかが判断されています。

第4に、人道上の配慮の強さです。許可事例には、重度の意識障害で退院が見込まれない事例(その他の第3事例)、脳出血の後遺症による歩行障害・高次脳機能障害による認知症・精神症状があり実子家族の介護を要する事例(その他の第5事例)、親子関係不存在審判の確定により遡って日本国籍を喪失した事例(その他の第6事例)、人身取引被害の事例(その他の第7事例)が並びます。いずれも、摘発または逮捕による発覚でありながら許可されており、第2の7の人道上の配慮が出頭という積極要素の欠如を補い得ることを示しています。

なお、仮放免中に違法エステ店を経営して逮捕された事例(配偶者が日本人の第2事例)が不許可となっていることも見落とせません。仮放免や監理措置は、退去強制手続の途中で身柄の拘束を解かれた状態にすぎず、その条件を守ることは在留特別許可の判断に直結します。

刑事段階で不起訴を獲得できていれば結果は変わったか

平成28年分の不許可19件のうち、刑事処分欄に記載があるものは7件です。配偶者が日本人の第2事例(売春防止法違反等で懲役1年6月・執行猶予3年、罰金20万円)、同第4事例(入管法違反で懲役1年6月・執行猶予3年)、同第5事例(大麻取締法違反で懲役8月・執行猶予3年)、正規在留外国人の第3事例(入管法違反で懲役2年6月・執行猶予3年)、その他の第4事例(入管法違反で懲役2年・執行猶予3年)、同第5事例(入管法違反で懲役1年6月・執行猶予3年、罰金100万円)、同第7事例(覚せい剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年)です。加えて、外国人家族の不許可第1事例は刑事処分欄の記載がないものの、窃盗による前科1件が特記されています。

これらの事案は、刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。もっとも、実際にどこまで争えたかは証拠関係によって決まるものであり、結果を遡って断定することはできません。

現行法の構造を確認しておきます。入管法24条4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由としますが、全部執行猶予の場合は除かれます。平成28年分の刑事処分を伴う不許可7件は、いずれも執行猶予付きの判決です。したがって、同号のみを見れば、これらは退去強制事由に当たりません。それにもかかわらず7件すべてが不許可となっているという事実は、極めて重要です。すなわち、退去強制事由の有無と在留特別許可の可否は別の問題であり、執行猶予を得て24条4号リの適用を免れたとしても、有罪判決の存在自体がガイドライン第2の3・第2の6の消極要素として評価されるということです。

さらに、大麻取締法違反による有罪(配偶者が日本人の第5事例)と覚せい剤取締法違反による有罪(その他の第7事例)は、4号チに当たる薬物関係法令違反として、執行猶予であっても現行法では退去強制事由となります。「執行猶予が付いたから日本に居られる」という説明は、罪名によっては成り立ちません。この構造を踏まえれば、弁護活動は執行猶予の獲得ではなく、起訴前の段階での不起訴処分の獲得を最優先目標として組み立てる必要があります。

故意・過失の検討が特に重要なのは、この年最も多い不法就労助長の類型です。配偶者が日本人の不許可第3事例、正規在留外国人の不許可第4事例、その他の不許可第5事例・第6事例・第8事例がこれに当たります。不法就労助長は、雇い入れた外国人の在留資格や就労可能性について経営者がどこまで認識していたかが問題となる類型であり、認識の有無を刑事段階から徹底して争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎になります。その他の不許可第3事例(内容虚偽の在職証明書の発行)や第2事例(偽装日系人としての在留)についても、虚偽の認識の有無が評価の前提です。入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用が長年踏襲されてきましたが、この運用の当否は、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすかという問題として、現在も争われている論点です。当事務所も、不法就労助長の事案でこの点を正面から問う訴訟を進めています。

違反審査の段階から何を争うべきか

退去強制手続は、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査(認定)、特別審理官による口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出という順に進みます。在留特別許可は最後の異議申出段階の判断ですが、実質的な勝負は違反審査の段階で決しています。

平成28年分の許可事例を見ると、判定の前に資料が整っていたことが結論を支えていることがよく分かります。「在留期間更新許可申請を失念したもの」(配偶者が日本人の第5事例、その他の第1事例)、「入院中に在留期間更新許可申請を失念したもの。重度の意識障害があり,退院が見込まれないもの」(その他の第3事例)、「本邦において実子家族の介護を受けることが人道上の観点から相当であるもの」(その他の第5事例)、「戸籍上の日本人父との親子関係不存在審判確定により,遡って日本国籍を喪失したもの」(その他の第6事例)という認定は、いずれも診断書、審判書、家族の陳述といった資料の裏づけを前提とします。

逆に不許可事例では、「婚姻・同居の実態に疑義がもたれたもの」「同居事実はなかったもの」という認定が並びます。これらは違反調査・違反審査の段階で入国警備官・入国審査官が積み上げた事実認定であり、いったん固まれば後の段階で覆すのは容易ではありません。

したがって実際的な対応は、住民票・賃貸借契約・家計や送金の記録・写真・親族や近隣の陳述書・子の在学証明・母子健康手帳・納税証明・診断書・審判書といった資料を、違反審査の段階までに整えて提出しておくことです。疾病や障害が関わる場合は診断書と介護・治療の受入体制を示す資料が、身分関係が問題となる場合は審判書や本国の公的書類が要になります。更新申請を失念した場合には、その経緯(入院、家族の事情等)を客観資料で裏づけることが、違反の悪質性が乏しいことの立証につながります。

あわせて、認定・判定に対する不服を留保せずに従うと争点が事実上封じられますので、口頭審理の請求と異議申出を適切に行う必要があります。とりわけ、現行ガイドラインの注4が退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しないとしている点には注意を要します。平成28年分の不許可事例に、逮捕後に婚姻が成立した事例が2件(配偶者が日本人の第4事例、正規在留外国人の第3事例)含まれていることは、時機に遅れた立証がどれほど不利に働くかを示しています。

さらに、仮放免中の条件違反が不許可の直接の理由となった事例(配偶者が日本人の第2事例)があることも忘れてはなりません。仮放免や監理措置の許可条件は必ず確認し、就労や住居の制限を厳守する必要があります。

公表事例に同じ類型がなくても諦める必要はない

平成28年分は許可19件・不許可19件の抜粋にすぎません。同年に実際に在留特別許可がされた件数はこれをはるかに上回っており、公表されているのはごく一部です。したがって、不許可事例に自分と似た事情が載っていることは直ちに結論を意味しませんし、逆に許可事例に自分と同じ類型が見当たらないことも、許可の可能性がないことを意味しません。

むしろ、公表事例には積極的な使い道があります。これらは行政自身が「許可相当」と判断した記録ですから、同種の事情がある事案について異なる取扱いをすることは、合理的な理由のない差別として憲法14条1項の問題を生じさせます。平成28年分でいえば、更新申請を失念した方(配偶者が日本人の許可第5事例、その他の許可第1事例・第3事例・第8事例)、重い疾病や障害により本邦での治療・介護を要する方(その他の許可第3事例・第5事例)、親子関係不存在審判により日本国籍を失った方(その他の許可第6事例)、家族全員で出頭し子が長く本邦で育っている方(外国人家族の許可第1事例・第2事例)は、いずれも先例として引く価値があります。とりわけ、摘発や逮捕による発覚でありながら許可された事例が5件掲載されていることは、発覚の端緒が不利であっても道が閉ざされるわけではないことを示しています。

そして、公表事例の傾向を超えられる場合もあります。平成28年分で最も厳しい類型は不法就労助長であり、5件すべてが不許可です。しかし当事務所が担当した不法就労助長の事案では、入管庁の公表事例では不許可が並ぶこの類型でありながら、在留特別許可を獲得しています(許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています)。公表事例の傾向は出発点であって結論ではなく、理論構成と立証の工夫によってその傾向を超えられる場合があります。もっとも容易な道ではなく、結果をお約束できるものでもありません。どの許可事例をどう引き、どの不許可事例との差異をどう論ずるかという設計が、成否を左右します。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しています。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

平成28年分の事例集が最も厳しい結果を示しているのは不法就労助長の類型ですが、当事務所は、まさにこの類型で在留特別許可を獲得しています。不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案において、退去強制事由には故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めており、この事件では、入管庁の公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型でありながら、在留特別許可を獲得しました(在留特別許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています)。本記事の不許可事例5件と同じ類型です。

また、観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了であるとして当局から一旦受理されなかったところ、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させました。入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行い、国籍国が発行する公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析することによって、1度の申請で在留特別許可を獲得しています。

刑事段階では、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により全件について不起訴処分を獲得した実績があります。取調べ段階でどのような供述が残るかは、後の入管手続における事実認定を大きく左右します。

当事務所の基本方針は、不起訴処分の獲得を最優先に据えることです。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至ります。平成28年分の不許可事例7件がいずれも執行猶予付き判決であったことは、この方針の裏づけとなる事実です。そのため起訴前の段階から見通しを立て、刑事処分の内容そのものを動かすことを目指します。

松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士による代行は行いません。あわせて、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しています。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

結語

平成28年分の38件が示しているのは、執行猶予付きの判決を得ても在留特別許可には届かない場面が多いこと、そして不法滞在に至った原因が過失であるか意図的な偽装であるかで評価が大きく分かれることです。だからこそ、刑事事件が始まった段階で、その後の入管手続を見据えた弁護方針を立てておくことが大切です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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