平成15年・「4-1-6」で入国後インドシナ定住難民として在留、入院中に在留期限が経過した男性に在留特別許可|定住者1年(平成15年許可第24事例)
2026/08/07
事例の概要
手続をとれない状況で在留期限が過ぎた事例です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第24事例です。本人は東南アジア出身の53歳男性で、1969年に「4-1-6」で入国しました。これは平成元年改正前の在留資格の表記です。その後はインドシナ定住難民として在留します。精神の状態が不安定となり入院している間に在留期限が経過し、不法残留となっています。結果は定住者(1年)です。入国から許可までは30年を超え、大部分は正規の在留でした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成15年当時、在留特別許可の判断基準は公表されておらず、法務大臣の広範な裁量の下で個別に判断されていました。第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の4:インドシナ難民として本邦に在留してきた経緯。現行ガイドラインが明示する類型です。
- 積極要素・第2の7(1):本邦での治療を必要とする状態にあること。入院中であった事実がこれに当たります。
- 積極要素・その他:30年を超える在留の大部分が正規で、生活基盤が日本にあること。
- 消極要素・第2の6と第2の5:不法残留とその期間。入院中に生じたもので、期間は限られます。
結論を分けた一線はどこか
決め手は、難民として受け入れられた経緯と、在留期限が過ぎた原因が入院という本人に帰責し難い事情であったことの組合せと読めます。同じ年の第3事例も、インドシナ定住難民が身柄拘束中に在留期限を過ぎた事案で、定住者(1年)でした。難民として入国した経緯は、その後の形式的な違反を相当程度まで吸収し得る要素と考えられます。
弁護士のコメント
2点を挙げます。
第1に、帰責性の議論です。入管実務では、退去強制事由の判断に故意・過失は要件でないとする運用が長く踏襲されてきました。本件のように入院により手続をとれなかった場合、この運用の当否は正面から問われるべき論点です。松村大介弁護士は、不法就労助長の事案で責任主義の射程を問う訴訟を係争中です。断定的な結論を述べる段階にはありません。
第2に、資料の揃え方です。入院の期間と病状、手続が困難であった状況、退院後の療養の見込みを、医療機関の書面で具体的に示す必要があります。難民としての受入れの経緯を示す資料も併せて提出すべきです。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
許可26件が公表された一方、不許可事例は公表されていません。難民として受け入れられた後に違反状態が生じ、不許可となった例があるのかは分かりません。事例集は抜粋であり、似た事情の例が見当たらないことは許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知を憲法的観点からの交渉で成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
国際的な刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応してきました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
手続をとれない状況で違反状態に陥った場合、その事情の立証を省略しないことが要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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