平成15年・短期滞在15日で入国して約8年不法残留、永住者の同国人男性と婚姻して出頭申告し在留特別許可|永住者の配偶者等1年(平成15年許可第22事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者が永住者である場合の典型的な処理を示す事例です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第22事例です。本人は東アジア出身の54歳女性で、1994年に「短期滞在15日」で入国した後、不法残留となりました。2002年に永住者の在留資格を持つ同国人の男性と婚姻し、同じ年に自ら出頭申告しています。夫婦間の子については記載がありません。結果は永住者の配偶者等(1年)です。入国から出頭までは約8年です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成15年の判断は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前のもので、当時は判断基準が公表されておらず、法務大臣の広範な裁量の下で個別に判断されていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(2):永住者は別表第二の在留資格です。永住者と法的に婚姻し共同生活を送っている関係は、この積極要素に直接当たります。
- 積極要素・第2の9:婚姻と同じ年に自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 消極要素・第2の5:約8年に及ぶ不法残留。
- 消極要素・第2の6:不法残留の状態にあったこと。婚姻期間は1年に満たない短さです。
結論を分けた一線はどこか
婚姻期間が短く、夫婦間の子の記載もない中で許可に至ったのは、配偶者が別表第二の永住者であることと、自主的な出頭という組合せであったと読めます。同じ年の第20事例は、特別永住者との婚姻で違反期間が約2年にとどまり、長女の出生もある事案でしたが、許可内容は同じ永住者の配偶者等(1年)でした。配偶者の在留資格が別表第二に属するかどうかが、まず判断の入口になっていると考えられます。
弁護士のコメント
2点を挙げます。
第1に、配偶者の在留資格の確認です。ガイドライン第2の2(2)が特に考慮する積極要素とするのは、永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者という別表第二の資格を有する者との家族関係です。同じ外国人配偶者でも、技術・人文知識・国際業務や留学、家族滞在といった別表第一の資格であれば、この要素に直接は当たりません。主張の組み立てが変わるため、最初に確認すべき点です。
第2に、現行運用との違いです。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定であり、約8年という期間は今日ではより重く見られる可能性があります。また令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)により申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情が法律上明示されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置でした。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成15年分は許可26件だけが公表され、不許可事例はありません。婚姻期間が短くとも許可された例が示されている一方、婚姻の実体が疑われた事案がどう扱われたのかは分かりません。事例集は抜粋であり、そこに似た例がないことは許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、有利な資料を集めて1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しています。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
配偶者が外国人の場合は、その在留資格がどの別表に属するかを最初に確かめてください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
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