舟渡国際法律事務所

平成15年・本邦出生で在留54年、覚せい剤取締法違反の実刑を受けた男性に在留特別許可|刑期中の在留期限切れでも日本人の配偶者等1年(平成15年許可第21事例)

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平成15年・本邦出生で在留54年、覚せい剤取締法違反の実刑を受けた男性に在留特別許可|刑期中の在留期限切れでも日本人の配偶者等1年(平成15年許可第21事例)

平成15年・本邦出生で在留54年、覚せい剤取締法違反の実刑を受けた男性に在留特別許可|刑期中の在留期限切れでも日本人の配偶者等1年(平成15年許可第21事例)

2026/08/07

事例の概要

薬物事件で実刑でも許可された例です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第21事例です。本人は東アジア出身の男性で、昭和24年に本邦で出生し、在留は54年です。父は外国人、母は日本人ですが、本人は日本国籍を有していません。覚せい剤取締法違反により懲役2年8月に処せられ、刑の執行中に在留期限が切れて不法残留となりました(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。前妻との間の長男と長女は特別永住者で、姉も在留しています。結果は日本人の配偶者等(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成15年は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前で、判断基準は公表されておらず、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)への当てはめです。

  • 積極要素・第2の2(1)(ア):日本人の母の実子であること。許可された資格が日本人の配偶者等である点も整合します。
  • 積極要素・第2の2(2):特別永住者である長男・長女との家族関係。
  • 消極要素・第2の6と第2の5:覚せい剤取締法違反による有罪(実刑)と、刑の執行中に生じた不法残留。

結論を分けた一線はどこか

天秤を傾けたのは、54年の生活の全部が日本にあること、日本人の母の実子であること、子2人が特別永住者であることの重なりであったと読めます。もっとも、現行法の下で同じ結論が当然に導かれるとは言えません。令和5年改正入管法50条1項ただし書により、1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者は、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限り許可されます。本件はこの枠組みに入ります。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、刑事段階での不起訴です。薬物関係法令違反による有罪は入管法24条4号チに該当し、執行猶予でも退去強制事由となります。全部執行猶予を除外する4号リとは構造が異なります。この類型では執行猶予の獲得を最終目標にできず、起訴前段階での不起訴処分の獲得を目標に組み立てる必要があります。本件も、不起訴を得ていれば退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があったと考えられます。

第2に、ただし書該当事案の立証です。生活基盤が日本にしかないこと、実子の監護養育の必要性、家族の在留資格を人道上の配慮の観点から積み上げます。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素とされたのも令和6年改定です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成15年分は許可26件のみの公表です。薬物事件で実刑を受けても許可された例がある一方、不許可の事案は示されておらず、当時の限界は分かりません。事例集は抜粋で、似た例がないことは許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した実績があります。裁判員裁判対象事件や報道された重大事件にも多数対応しています。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局との交渉により婚姻・認知を成立させ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

薬物事件では、執行猶予でも退去強制事由となります。刑事段階の目標設定が結論を左右します。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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