舟渡国際法律事務所

平成15年・夫は昭和47年に船で不法入国、妻は短期滞在から不法残留した夫婦がそろって出頭申告し在留特別許可|夫婦ともに定住者1年(平成15年許可第19事例)

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平成15年・夫は昭和47年に船で不法入国、妻は短期滞在から不法残留した夫婦がそろって出頭申告し在留特別許可|夫婦ともに定住者1年(平成15年許可第19事例)

平成15年・夫は昭和47年に船で不法入国、妻は短期滞在から不法残留した夫婦がそろって出頭申告し在留特別許可|夫婦ともに定住者1年(平成15年許可第19事例)

2026/08/07

事例の概要

家族全員がそろって出頭した事案です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第19事例です。本人は東アジア出身の夫婦で、夫は50歳、妻は41歳です。夫は1972年に船で不法入国し、妻は1990年に「短期滞在90日」で入国した後に不法残留となりました。1997年に本邦で婚姻し、同じ年に長女が出生しています。夫は定職に就いて安定した収入を得ていました。2001年に出頭申告し、夫婦ともに定住者(1年)の許可を受けています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成15年は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前で、判断基準は公表されておらず、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)への当てはめです。

  • 積極要素・第2の9:夫婦がそろって自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
  • 積極要素:本邦で家族とともに生活するという子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定によります。
  • 積極要素・その他:夫が定職に就き安定した収入を得ていたこと。地域での生活基盤を示す事情です。
  • 消極要素・第2の6と第2の5:夫の不法入国と、1972年から約29年に及ぶ不法な在留期間。妻についても約11年です。

結論を分けた一線はどこか

30年に近い不法在留を覆したのは、夫婦での出頭申告と、婚姻および長女の存在、そして安定した就労という生活の実体であったと読めます。当時の運用では、不法滞在期間の長さは積極にも消極にもなり得るとされており、長く日本にいたこと自体が生活基盤の裏づけとして働く余地がありました。ここが現在との最も大きな違いです。長女の在留資格について事例集に記載はありません。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、家族全員で出頭する場合の準備です。誰か一人だけが先に手続に入ると、残る家族の立場が不安定になります。全員の事情を同時に示すためには、婚姻と出生に関する書類、住居と就労の履歴、収入と納税の状況、地域での関係を示す資料を、家族単位でまとめておくのが有効です。出頭の前に整えておくべき作業です。

第2に、現行運用との距離です。不法在留期間の長期化は令和6年改定で明示的に消極要素と位置づけられました。約29年という期間は、今日ではきわめて重く働く可能性があります。加えて令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情が法律上明示されました(同条5項)。当時と同じ結論を期待できる保証はありません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成15年分の公表は許可26件で、不許可事例は伴っていません。30年近い不法在留で許可された例が示されている一方、同程度の期間で許可されなかった例は公表されていないため、当時の判断の幅は推測にとどまります。事例集は抜粋であり、似た例がないことは許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、なお違反認定処分そのものの取消しを求める訴訟を係争中です。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問うものです。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、取調べへの徹底した対応と不当な取調べへの抗議により、全件不起訴処分を獲得しています。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

家族の事案は、家族単位で資料をまとめることから始まります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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