舟渡国際法律事務所

平成15年・成田で不法入国して約9年、日本人女性と婚姻した翌年に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第11事例)

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平成15年・成田で不法入国して約9年、日本人女性と婚姻した翌年に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第11事例)

平成15年・成田で不法入国して約9年、日本人女性と婚姻した翌年に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第11事例)

2026/08/07

事例の概要

不法入国という入口の重さと、その後に築いた家族関係のどちらが勝るのか。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第11事例です。本人は東南アジア出身の28歳男性で、1994年に成田から不法入国しました。2001年に日本人女性と婚姻し、翌2002年に自ら出頭申告しています。夫婦間の子については事例集に記載がありません。結果は日本人の配偶者等(1年)です。入国から許可までは約9年で、その全部が不法な在留の期間に当たります。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成15年は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前で、判断基準は公表されず、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き換えた整理です。

  • 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人と法的に婚姻し、共同生活を送っていること。
  • 積極要素・第2の9:婚姻の翌年に自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
  • 消極要素・第2の6:不法入国。入国そのものが違法であった点は、不法残留の事案よりも重く見られやすい事情です。
  • 消極要素・第2の5:約9年に及ぶ不法な在留期間。

結論を分けた一線はどこか

不法入国という重い消極要素があるにもかかわらず許可に至ったのは、婚姻の実体が認められ、かつ自ら出頭したという態度が積極に評価されたためと読めます。同じ年の第8事例も不法入国の事案ですが、発覚の端緒は摘発でした。それでも許可されたのは、養子縁組を含む家族形成の実体があったからで、端緒が摘発である場合には、より明確な家族関係の裏づけが求められる構図と考えられます。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、出頭の前に何を用意するかです。出頭申告は積極要素として働きますが、出頭後は違反調査から違反審査、口頭審理へと手続が進みます。婚姻の実体を示す資料、同居の客観的な裏づけ、生計の状況は、認定の段階までに提出しておくのが安全です。注4により、令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。

第2に、現行運用との差です。不法在留期間の長期化は令和6年改定で明示的に消極要素とされました。さらに令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情が法律上明示されました(同条5項)。当時の職権発動による恩恵的措置とは前提が異なり、約9年という期間を同じように評価してもらえるとは限りません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成15年分に収められているのは許可26件のみで、不許可事例はありません。事例集は各年の抜粋であって、許可の全部を並べたものではありません。似た事情の許可例が見つからないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、なお違反認定処分そのものの取消しを求める訴訟を係争中です。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を、正面から問うものです。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

不法入国の事案では、その後に築いた家族関係の実体をどこまで示せるかが分かれ目になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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