舟渡国際法律事務所

平成15年・就学6月で入国後に約9年不法残留、日本人女性との婚姻直後に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第4事例)

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平成15年・就学6月で入国後に約9年不法残留、日本人女性との婚姻直後に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第4事例)

平成15年・就学6月で入国後に約9年不法残留、日本人女性との婚姻直後に出頭申告して在留特別許可|日本人の配偶者等1年(平成15年許可第4事例)

2026/08/07

事例の概要

留学や就学で来日し、資格を失ったまま年月が過ぎてしまう例は珍しくありません。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成15年の在留特別許可26件のうち第4事例です。本人は南アジア出身の29歳男性で、1993年に「就学6月」で入国した後、不法残留の状態になりました。2002年に日本人女性と婚姻し、安定した生活を送っていたところ、同年12月に自ら出頭申告しています。他の法令違反はありません。結果は日本人の配偶者等(1年)です。入国から出頭までは約9年で、その大部分が不法残留の期間に当たります。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成15年の判断は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)より前のもので、当時は判断基準が公表されず、法務大臣の広範な裁量の下で個別に判断されていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人と法的に婚姻し、共同生活を送って相互に扶助していること。「安定生活」の認定が置かれています。
  • 積極要素・第2の9:自ら地方の官署に出頭して不法滞在を申告したこと。婚姻の成立から短期間で出頭している点も、態度として評価されたと読めます。
  • 消極要素・第2の5:不法在留期間の長期化。約9年の在留のうち大部分が不法残留です。
  • 消極要素・第2の6:不法残留の状態にあったこと。夫婦間の子については記載がありません。

結論を分けた一線はどこか

婚姻期間は約1年に満たない短さです。それでも許可に至ったのは、婚姻の実体が認められたことと、自ら出頭したことが評価されたためと読めます。当時の運用では、不法滞在期間の長さは積極にも消極にもなり得るとされており、長期の滞在がそれ自体で否定的に働くとは限りませんでした。ここが現在との大きな違いです。

弁護士のコメント

2点を挙げます。

第1に、出頭申告の前にすべきことです。出頭それ自体は積極要素ですが、出頭後に手続は一気に進みます。同居の実態を示す住民票や賃貸借契約、家計の一体性を示す資料、交際から婚姻に至る経緯の説明は、出頭前に整えておくのが安全です。退去強制手続は違反調査、違反審査による認定、口頭審理による判定、異議申出の順に進みますから、認定の段階から裏付けを出しておくべきです。

第2に、現行運用です。不法在留期間の長期化は令和6年改定で明示的に消極要素とされ、また令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設されました(入管法50条1項)。約9年という期間を、当時と同じように評価してもらえるとは限りません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成15年分の公表は許可26件に限られ、不許可事例は含まれていません。抜粋である以上、そこに載っていない許可も当然に存在します。似た事情の例が見当たらないことを、可能性がないことと読み替える必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、なお違反認定処分そのものの取消しを求める訴訟を係争中です。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を、正面から問うものです。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

婚姻期間が短くても、実体を資料で示せれば道は残ります。出頭の前の準備が結果を左右します。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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