平成16年・日本人夫との別居後も夫との間の子を監護養育していた女性に在留特別許可|定住者1年が認められた事例(許可第28事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻関係が続かなくなった後も、子の養育を続けていた事案です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第28事例で、本人は東アジア出身の32歳女性。1991年に「興行3月」で入国した後、不法残留となりました。稼働先の日本人男性との間に子があり、その後、別の日本人男性と婚姻して2人の子と同居しています。夫からの暴力等により別居に至りましたが、夫との間の子を監護養育しています。結果は「定住者(1年)」でした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成16年当時は判断基準が公表されておらず、第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き直した読み方です。
- 積極要素・第2の2(1)(イ):日本人の実子を相当期間同居して監護養育していることに近い評価となり得ます。もっとも認知の有無や子の国籍は資料からは判明しません。
- 積極要素・第2の7:配偶者からの暴力を受けた状況は、人道上の配慮の必要性として考慮される事情です。
- 積極要素:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(令和6年改定で明示)。
- 消極要素・第2の5:入国から13年前後の不法在留期間。長期化を明示的な消極要素としたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法は、積極要素が消極要素を明らかに上回るかを見ます。本事例で評価されたのは、婚姻関係が別居に至った後も、現に子を監護養育し続けていたことと読めます。平成17年の不許可第3事例は、日本人男性と婚姻して日本国籍の子が生まれたものの、その後別居し、同居しているとの申立てに虚偽があって監護の実績も認められず不許可でした。婚姻の形ではなく、子の養育が現に続いているかどうかが分かれ目と考えられます。平成16年分は不許可事例の公表がありません。
弁護士のコメント
第1に、監護養育の実績の示し方です。同居の期間、学校や医療機関との関わり、生活費の負担、日々の世話の状況を、客観的な資料で積み上げる必要があります。別居後の期間についても、養育が継続していることを示せるかが要点になります。
第2に、配偶者からの暴力が関わる事案の配慮です。相談や保護の記録、保護命令の有無といった資料が意味を持ちます。事情を説明する場面では、本人のために動く通訳を確保することが大切です。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続が新設された現在(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行、入管法50条1項。考慮事情は同条5項)と同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成16年に公表されたのは許可28件のみで、不許可の側は示されていません。抜粋にとどまる資料を基準に、自分の事案の可否を決める必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。裁判員裁判の対象事件や広く報道された重大事件にも多数対応しています。
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結語
婚姻の形が変わっても、子の養育が続いているかどうかは独立に評価されます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
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