平成16年・在日12年前後の家族4人が全員で出頭申告し在留特別許可|大学1年と高校3年の子の就学が評価された事例(許可第25事例)
2026/08/07
事例の概要
子が進学の段階まで日本で育っていた家族の事案です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第25事例で、対象は西アジア出身の夫婦と長女、次女です。夫婦は1990年と1991年に「短期滞在90日」で入国し、その後、不法残留となりました。2002年に家族全員で出頭申告しています。夫は定職に就いており、長女は大学1年、次女は高校3年で就学していました。結果は一家全員「定住者(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成16年当時、判断の基準は公表されておらず、第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き直した読み方です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けた子と、その監護養育者。次女は高校3年、長女は既に大学に進学しています。
- 積極要素・第2の9:家族全員での出頭申告。定職と生活の安定も、地域社会との関係として評価の余地があります。
- 消極要素・第2の5:12年前後の不法在留期間。令和6年改定で明示的な消極要素とされた点は、当時との違いです。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法は、積極要素が消極要素を明らかに上回るかを見ます。本事例では、子2人が日本で教育を受け続け、家族が揃って出頭したことが決め手になったと読めます。平成17年の不許可第16事例は、「留学」で在留していた男性が万引きで執行猶予付の有罪となり、単位不足で退学が決まっていた事案で不許可でした。学業が現に続いているか、そして他の違反がないかで評価が分かれると考えられます。平成16年分は許可事例のみが公表され、同年内の対比はできません。
弁護士のコメント
第1に、家族全員で出頭する意味です。家族の一部だけが手続に乗ると、残った家族の在留が不安定なまま残ります。全員で出頭した事案が許可事例の多くを占めるのは、家族の一体性を示せることが評価につながるためと考えられます。
第2に、子が成人に近い場合の立証です。初等中等教育の履歴に加えて、進学先での在学状況、本国語の能力、本国での就学や就労が困難である事情を示す必要があります。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続が新設された現在(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行、入管法50条1項。考慮事情は同条5項)と同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成16年分は許可された28件だけが公表され、不許可の事例は示されていません。片側だけの資料を全体像と考えないことが大切です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
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多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
家族の一体性を示せるかどうかが、家族単位の事案では大きな要素になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
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