平成16年・就学で入国後10年前後の不法残留、定住者の同国人配偶者と子1人で出頭申告し在留特別許可(許可第18事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者と子がいる状態で自ら出頭した型です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第18事例で、本人は東アジア出身の38歳男性。1993年に「就学6月」で入国した後、不法残留となりました。2002年に「定住者」で在留する同国人の女性と婚姻し、夫婦間に子が1人います。2003年に自ら出頭申告し、結果は「定住者(1年)」でした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成16年当時は在留特別許可の判断基準が公表されておらず、第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き直した読み方にとどまります。
- 積極要素・第2の2(2):配偶者が別表第二の「定住者」で、夫婦間に子があること。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭申告したこと。家族とともに生活する子の利益の保護の必要性も、令和6年改定で明示されました。
- 消極要素・第2の5:入国から10年前後の不法在留期間。明示的な消極要素とされたのは令和6年改定であり、当時の扱いとは異なります。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法は、積極要素が消極要素を明らかに上回るかを見ます。本事例では、別表第二の在留資格を持つ配偶者、夫婦間の子、自らの出頭という三つが揃っています。平成17年の不許可第22事例は、同国人の配偶者が「留学」で在留していた男性の事案ですが、配偶者と別居してエステ店に住み込んで働き、売春に関わる業務への従事で有罪となって不許可でした。配偶者の在留資格の種類だけでなく、同居と扶助が続いているかが分かれ目と考えられます。平成16年分に不許可の公表はありません。
弁護士のコメント
第1に、配偶者の在留資格が別表第二であることの意味です。永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者との家族関係は、現行ガイドラインでも特に考慮する積極要素です。他方、別表第一の在留資格の配偶者はこの要素に直接当たらない構造ですから、最初に確認しておくべき点になります。
第2に、出頭申告の準備です。婚姻関係の資料、子の出生と養育の記録、家計の状況を揃えたうえで出頭する方が、違反審査から異議申出までの各段階で主張を積み上げやすくなります。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続が新設された現在(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行、入管法50条1項。考慮事情は同条5項)と同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成16年分は許可された28件を選んで示したもので、不許可の側は公表されていません。自分の事情に近い記載がないことに意味を持たせすぎない方がよいところです。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。
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舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
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結語
配偶者の在留資格の種類と、同居や扶助が続いているかの両方が見られます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
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