平成16年・難民認定申請を2回とも認められなかった男性が日系人の配偶者と婚姻し在留特別許可|定住者1年(許可第14事例)
2026/08/07
事例の概要
難民として認められなかった方が、家族関係を理由に在留を認められた事案です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第14事例で、本人は西アジア出身の30歳男性。1994年に「短期滞在90日」で入国しています。難民認定を2回申請しましたが、いずれも認定されませんでした。2001年に、「日本人の配偶者等」で正規に在留する日系人の女性と婚姻しています。結果は「定住者(1年)」でした。発覚の端緒については資料に記載がありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成16年は判断基準が非公表の時期であり、第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き直した読み方です。
- 積極要素・第2の2(2):配偶者が「日本人の配偶者等」で在留しており、別表第二の在留資格者との家族関係に当たります。
- 消極要素・第2の5:入国から7年以上に及ぶ不法在留期間。長期化を明示的な消極要素としたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
- 第2の7(2)(本国情勢に照らして帰国困難な状況が客観的に明らかであること)に当たるとの評価はうかがえません。難民認定申請が繰り返されたことも、それ自体が積極要素とはされていません。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法は、積極要素が消極要素を明らかに上回るかを見ます。本事例では、難民としての主張が認められなかった一方で、別表第二の在留資格を持つ配偶者との家族関係が正面から評価されたと読めます。平成17年の不許可第5事例は、退去強制の後に他人名義の旅券で再び不法入国し、日本人女性と婚姻して出頭したものの、同居の事実がないとされて不許可でした。婚姻が現に成立し、生活が伴っているかどうかが分かれ目と考えられます。平成16年分は不許可事例の公表がありません。
弁護士のコメント
第1に、難民認定手続と在留特別許可の関係です。認定されなかった経緯があっても、家族関係を理由とする判断は別に行われます。もっとも、本国情勢による帰国困難を主張する場合は、第2の7(2)に沿った客観的な資料が求められますから、家族関係の立証と切り分けて準備する必要があります。
第2に、配偶者の在留資格の確認です。本事例の配偶者は別表第二であり、積極要素に直接当たります。同居の実態と扶助の状況を示す資料が中心になります。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続が新設された現在(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行、入管法50条1項。考慮事情は同条5項)と同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成16年分の公表は許可28件のみで、不許可事例と読み比べることができません。抜粋であるという前提を置いたうえで参照するのが正しい使い方です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
不法就労助長罪に問われて退去強制の危機に至った女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、さらに退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務を正面から問う訴訟を現に係争中です。
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結語
難民認定の主張と家族関係の主張は、それぞれ別の資料で組み立てる必要があります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
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