舟渡国際法律事務所

平成16年・興行で入国後10年以上の不法残留、婚姻の年に入管法違反で執行猶予付有罪も在留特別許可(許可第10事例)

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平成16年・興行で入国後10年以上の不法残留、婚姻の年に入管法違反で執行猶予付有罪も在留特別許可(許可第10事例)

平成16年・興行で入国後10年以上の不法残留、婚姻の年に入管法違反で執行猶予付有罪も在留特別許可(許可第10事例)

2026/08/07

事例の概要

婚姻からまもない時期に刑事手続が重なった事案です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第10事例で、本人は東南アジア出身の29歳男性。1993年に「興行3月」で入国した後、不法残留となりました。2003年に日本人女性と交際が始まり、2004年に婚姻しています。同じ2004年に入管法違反で逮捕され、執行猶予付の有罪判決を受けました。結果は「日本人の配偶者等(1年)」でした。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成16年当時は在留特別許可の判断基準が公表されておらず、第一次ガイドラインの策定は平成18年10月です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に置き直した読み方です。

  • 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人との法律上の婚姻。ただし婚姻から処分までの期間は短く、共同生活の評価は資料からは詳らかではありません。
  • 消極要素・第2の5:入国から11年前後の不法在留期間。長期化を明示的な消極要素としたのは令和6年改定で、同じ事情を現在そのまま持ち込むことはできません。
  • 消極要素・第2の6:不法残留と、これによる有罪判決(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
  • 出頭申告(第2の9)には当たりません。端緒は逮捕です。第2の3の素行不良に当たる記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

第3の判断手法の下では、積極要素が消極要素を明らかに上回ることが必要です。本事例で積極に働いたのは、婚姻が成立し、罪名が不法残留にとどまっていたことと読めます。平成17年の不許可第1事例は、日本人と婚姻していた女性が風営法違反で罰金となり、供述から売春業務への従事が認められ、加えて夫と長期に別居していた事案で不許可でした。罪名の性質と婚姻の実態が結論を左右すると考えられます。平成16年分に不許可事例の公表がないため、同年内の比較はできません。

弁護士のコメント

第1に、刑事処分の内容です。全部執行猶予であれば入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑)には当たりません。仮に不起訴処分を獲得できていれば、消極要素を一つ減らせた余地はあったと考えられます。もっとも不法残留それ自体が退去強制事由ですから、手続は避けられません。

第2に、婚姻期間が短い事案の立証です。交際の開始から婚姻に至る経過、同居の実態、双方の親族の認識などを具体的に示すことが要点になります。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続が新設された現在(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行、入管法50条1項。考慮事情は同条5項)と同じ結論になるとは言えません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成16年は許可事例だけが公表され、不許可事例は示されていません。片側だけの資料で自分の見通しを決める必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

不法就労助長罪に問われて退去強制の危機に至った女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、さらに退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務を正面から問う訴訟を現に係争中です。

特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。起訴前の段階で処分を止めることが、在留資格を守る最短の道になる場面があります。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

婚姻して間もない時期に刑事手続が重なる事案では、刑事と入管の両面を同時に見る必要があります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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