平成16年・離婚で在留資格を失った後に別の日本人男性と再婚、夫の逮捕に伴い自らも逮捕されたが起訴猶予で在留特別許可(許可第6事例)
2026/08/07
事例の概要
正規の在留資格を得ていた方が、離婚をきっかけに不法残留となった型です。平成16年に在留特別許可をした28件のうちの第6事例で、本人は東アジア出身の47歳女性。1991年に「短期滞在90日」で入国し、婚姻により「日本人の配偶者等」となりましたが、離婚後に不法残留となりました。2004年に別の日本人男性と再婚し、夫の逮捕に伴って本人も逮捕され、起訴猶予となっています。逮捕の理由の詳細は資料からは判明しません。結果は「日本人の配偶者等(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成16年当時、判断の基準は非公表で(第一次ガイドラインは平成18年10月策定)、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめた読み方です。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ):再婚により日本人の配偶者であること。
- 積極要素:刑事処分が起訴猶予にとどまり、刑罰を受けていないこと。
- 消極要素・第2の5:離婚後に生じた不法在留期間。長期化を明示的な消極要素としたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は条文に当たって確認する必要があります)。
- 出頭申告(第2の9)には当たりません。端緒は逮捕です。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法は積極要素が消極要素を明らかに上回るかを見ます。本事例では再婚が成立し、刑事処分も不起訴にとどまった点が積極に働いたと読めます。平成17年の不許可第7事例は、日本人男性と婚姻して別居した後、その婚姻を解消しないまま別の日本人男性と婚姻届を出した事案で、婚姻が破綻していると認定され不許可でした。婚姻関係の整理が法的に完結しているかどうかが分かれ目と考えられます。もっとも平成16年分は許可事例のみの公表で、この対比は平成17年分に借りるほかありません。
弁護士のコメント
第1に、離婚後の在留資格の扱いです。「日本人の配偶者等」で在留していた方が離婚すると、在留資格の基礎が失われます。速やかに変更や更新の申請を検討し、届出も含めて手当てをしておけば、不法残留の期間そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。
第2に、起訴猶予の意味です。起訴猶予は不起訴処分の一種で、刑罰による退去強制事由を生じさせません。他方、不法残留それ自体は退去強制事由で、刑事処分の軽重にかかわらず手続は進みます。当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法律上明示されています(同条5項)。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表された事例は、その年に許可された全件ではありません。平成16年は許可事例だけが選ばれ、不許可の側は示されていません。自分の事情に近い許可例が見つからないことに大きな意味はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。起訴前の段階で処分を止めることが、在留資格を守る最短の道になる場面があります。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があります。中国籍の方の重大事件にも多数対応してきました。言語と文化の壁がある事件で、通訳を含む体制を整えて臨みます。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
離婚の直後に何をするかで、その後の在留の見通しが大きく変わります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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