平成16年・不法残留で逮捕され執行猶予付有罪の後に在留特別許可|日本人男性と婚姻した女性が日本人の配偶者等1年を得た事例(許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
不法残留の状態で日本人と婚姻し、その後に逮捕された場合の見通しを示す事例です。平成16年に在留特別許可をした28件(法務省入国管理局が平成20年12月公表)のうちの第1事例です。本人は東アジア出身の40歳女性。1994年に「短期滞在15日」で入国後に不法残留となり、2003年に日本人男性と婚姻、入管法違反(不法残留)で逮捕され2004年に執行猶予付の有罪判決を受けました。結果は「日本人の配偶者等(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめた読み方です。平成16年当時は判断基準が非公表で(第一次ガイドラインは平成18年10月策定)、法務大臣の広範な裁量の下で個別に判断されていました。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人との法律上の婚姻。
- 消極要素・第2の5:入国から10年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定で、同じ事情を現在そのまま持ち込むことはできません。
- 消極要素・第2の6:不法残留(該当する号は事案ごとに条文に当たって確認する必要があります)。
- 出頭申告(第2の9)に当たりません(端緒は逮捕)。第2の3の素行不良の記載はなく、他の法令違反もないとされています。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。天秤を傾けたのは、日本人との婚姻が現に存在し、罪名が不法残留にとどまっていた点と読めます。平成17年の不許可第3事例は、日本人女性と婚姻し子も日本国籍でしたが、別居のうえ同居との申立てに虚偽があり不許可でした。婚姻の実態が裏づけられるかどうかが分かれ目と考えられます。平成16年分は許可事例のみの公表で、同じ年の反対の結論と対比できない点は資料の限界です。
弁護士のコメント
第1に、刑事処分の位置づけです。入管法違反での有罪ですが、全部執行猶予であれば入管法24条4号リには当たりません。もっとも不法残留それ自体が退去強制事由ですから、不起訴でも手続は避けられません。それでも消極要素を一つ減らせた余地はあったと考えられます。端緒が逮捕の本事例では、婚姻の実態を示す資料を違反審査の段階までに整えることが要点です。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
第2に、当時と現在の違いです。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で在留特別許可に申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法律上明示されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置であり、当時許可されたから現在も同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
この資料は各年20件台の抜粋で、平成16年分は許可事例のみで不許可事例の公表がありません。似た許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。起訴前の段階で処分を止めることが、在留資格を守る最短の道になる場面があります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
婚姻が現にあるのに端緒が逮捕であった場合、実態を示す資料をどこまで早く積めるかが要点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------