平成17年・麻薬事件で懲役4年の実刑となり日本国籍の子がいても不許可(平成17年不許可第17事例)
2026/08/07
事例の概要
日本国籍の子がいても、薬物事件による長期の実刑と家庭の状況が重なると結論は動きません。平成17年の不許可25件の第17事例です(法務省入国管理局が平成20年12月公表)。本人は東アジア出身の39歳女性。1994年に日本人の夫と婚姻し、1995年に「日本人の配偶者等」で入国、更新も受け、1998年に日本国籍の子が生まれました。2001年に麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕され、2002年に同法違反と関税法違反で懲役4年の実刑判決を受けました(懲役は原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。服役中に在留期限が経過し、不法残留となりました。夫も器物損壊で2回服役し、出所後に同居予定はないとされます。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前で、基準は公表されず、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。当てはめは現行ガイドライン(令和6年3月改定)によります。
- 積極要素・第2の2(1)(ア)(イ):日本国籍の実子の存在。ただし服役により同居監護は途切れています。
- 消極要素・第2の6:入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予でも該当します。4年の実刑は同条4号リにも当たります。
- 現行法では入管法50条1項ただし書の「特別の事情」がある場合に限られる立場です。
結論を分けた一線はどこか
同じ平成17年の許可第16事例は、不法残留の女性が日本人男性との子を出産し、婚姻には至らないまま認知を受けて子を監護養育し、出頭申告した事案です。母は定住者(1年)、子は日本人の配偶者等(1年)を得ました。子の存在という積極要素は本事例にもありました。分けたのは、その子を現に監護できる状態にあったかどうかであったと読めます。
弁護士のコメント
第1に、刑事段階です。麻薬に関する法令違反による有罪は、執行猶予でも入管法24条4号チに当たります。関税法違反が併せて問われる事案では、輸入の認識や共謀の有無が主要な争点です。起訴前にこれらを徹底して争い、不起訴処分を獲得できていれば、この号による退去強制事由を生じさせずに済んだ余地があります。
また、当時と現在では運用が違います。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年3月改定です。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置でした。本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性が積極要素として明示されたのも令和6年改定で、当時評価されなかった子に関する事情には、今なら別の評価が及ぶ余地があります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成17年に不許可事例の公表が始まり、線の引かれ方が読めるようになりました。ただし公表されるのは各年25件前後の抜粋です。似た許可例がないことは許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例に不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した実績があります。薬物事件では、認識と所持の態様をどこまで丹念に検証できるかが結論を左右します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局との交渉により婚姻と認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
薬物と輸入が絡む事案では、認識と共謀を起訴前から争うことが要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------