平成17年・定住者への変更が立証不十分で不許可となった後、祖父の日本国籍が判明して在留特別許可|本人と子2人に定住者1年(許可第24事例)
2026/08/07
事例の概要
身分関係の裏付けが後から出てきた事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第24事例で、南米出身の31歳女性。1992年に「短期滞在90日」で入国し、日系三世に扶養される子として「定住者」への変更を申請しましたが、立証が不十分として不許可となり不法残留です。入管法違反で逮捕されましたが不起訴です。その後、祖父が日本国籍であったことが判明し、本人が日系三世であることが明らかになりました。結果は「定住者(1年)」で、本邦で出生して不法残留となっていた子2人も、その後「定住者(1年)」の在留特別許可を受けています。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年の判断は、ガイドラインの公表前のものです(第一次は平成18年10月策定)。基準は示されておらず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ア)に関わる事情:日系三世として日本人の血統に連なる身分が裏付けられたこと。
- 積極要素:家族とともに生活する子の利益(令和6年改定で明示)。本邦出生の子2人がいます。
- 消極要素・第2の5:13年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。刑事処分は不起訴です。
結論を分けた一線はどこか
平成17年は不許可事例の公表が始まった最初の年です。同年の不許可第20事例は、日系三世の妻の配偶者として「定住者」で在留していた男性ですが、妻が日系人であることを偽装していたと判明して妻は退去強制となり、本人についても偽装として在留資格が取り消されて不許可でした。身分関係が真実か偽装かが分かれ目です。本事例では、当初は立証が足りなかっただけで、事実としては日系三世であったことが後に確認されています。
弁護士のコメント
第1に、身分関係の立証の難しさです。国籍国の記録が古く、表記の違いで同一性を示しにくい場合があります。本事例は、立証の不足がそのまま不許可につながり、後に事実が判明して結果が変わった例です。最初の申請の段階で、戸籍、出生・婚姻の記録、写真や関係者の陳述まで含めて組み立てる価値があります。
第2に、不起訴の意味です。入管法違反で逮捕されながら不起訴となっており、有罪判決はありません。入管法24条4号リは有罪判決を前提とする号ですから、この点で消極要素は増えませんでした。刑事と入管の両方を見据えた初動が求められます。
当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。当時許可されたからといって現在も同じとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋です。一度不許可となった経緯があっても、その後に立証が変われば結論が変わり得ることを本事例は示しています。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
立証が足りないことと、事実がないことは違います。資料の集め方が結論を変えます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------