平成17年・離婚が判明して更新不許可となり15年前後の不法残留、別の日本人男性と再婚して在留特別許可|逮捕も起訴猶予で日本人の配偶者等1年(許可第21事例)
2026/08/07
事例の概要
在留資格の前提が崩れた後、長い年月を経て再婚した例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第21事例で、東アジア出身の39歳女性。1989年に「4-1-4」(平成元年改正前の在留資格の表記です)で入国し、日本人との婚姻により「4-1-16-1」に変更しました。離婚が判明して更新が不許可となり、1990年から不法残留です。その後、別の日本人男性と再婚しました。入管法違反で逮捕されましたが起訴猶予で、同居の実態が確認され婚姻は真摯と認められました。結果は「日本人の配偶者等(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年の判断は、ガイドラインの公表前のものです(第一次は平成18年10月策定)。基準は示されておらず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人との法的な婚姻。同居の実態が確認されています。
- 消極要素・第2の5:15年前後の不法在留期間。当時は積極にも消極にもなり得るとされ、明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。刑事処分は起訴猶予です。
- 出頭申告(第2の9)には当たりません。端緒は逮捕です。
- 素行不良(第2の3)に当たる事情の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
不許可事例の公表はこの年から始まりました。同年の不許可第22事例は、「家族滞在」の男性ですが、同国人の妻と別居して店に住み込みで稼働し、売春防止法違反で懲役1年2月執行猶予3年及び罰金20万円となって不許可です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。婚姻があっても、別居と素行の問題が重なれば結論は変わります。本事例では再婚後の同居が確認されていました。
弁護士のコメント
第1に、起訴猶予の意味です。入管法違反について起訴猶予、すなわち不起訴処分を得ており、有罪判決はありません。24条4号リの問題が生じないため、消極要素は不法残留にとどまりました。逮捕の段階で早く弁護人を選任し不起訴を目標に据えることが、その後の入管手続にも影響します。
第2に、長い不法在留期間の評価です。現行ガイドラインでは長期化が明示的に消極要素とされましたから、同じ事情でも評価は変わり得ます。他方、その間に築いた地域社会との関係は別途積極要素として考慮される留保があり、地域での生活を示す資料を用意する意義があります。
当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。当時の結論をそのまま今日に当てはめることはできません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表は各年20件前後の抜粋です。長期の不法残留を経た許可例が少なく見えても、可能性が閉じたわけではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性については、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
長く不安定な状態が続いた事案でも、現在の生活の実態から立て直す道はあります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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