平成17年・家族4人が全員で在留特別許可|本邦で義務教育を終えた大学生と高校生の子の就学が評価され全員定住者1年(許可第19事例)
2026/08/07
事例の概要
一家全員が同じ結論を得た事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第19事例で、西南アジア出身の家族4人(父49歳・母44歳・子19歳・18歳)が対象です。父は1990年、母と子は1991年に「短期滞在60日」で入国し、その後いずれも不法残留となりました。2人の子は本邦で義務教育を修了し、それぞれ大学生と高校生になっています。発覚の端緒は事例集の記載からは判明しません。結果は家族4人とも「定住者(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の前で、判断基準は公表されず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、地域社会に溶け込んでいる子と、その監護養育者。子は義務教育を修了し進学しています。
- 積極要素:家族とともに生活する子の利益(令和6年改定で明示)。
- 積極要素・その他:家族全員の生活の基盤が本邦にあること。
- 消極要素・第2の5:15年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。刑事処分の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
平成17年は不許可事例の公表が始まった最初の年です。同年の不許可第23事例は、2005年に入国して「就学1年」となった女性ですが、同じ年にホステス就労に専従して摘発され、学業の継続を希望しながら在籍していた学校から退学処分を受けて不許可でした。就学という言葉が同じでも、実際に学校に通い続けてきた年数と、その積み重ねが地域での生活として現れているかどうかが違います。本事例では子2人の在学歴が家族全体を支えたと読めます。
弁護士のコメント
第1に、家族単位で臨むことの意味です。この類型の許可事例では、家族がそろって手続に臨んでいる例が目立ちます。家族の一部だけが在留を求める形になると、家族の結合という積極要素が弱くなりがちです。全員の生活状況を一つの資料群として整えることが要点になります。
第2に、子の在学に関する立証です。義務教育の修了、進学の状況、日本語と本国語の能力、本国での就学が困難な事情を具体的に示す必要があります。刑事処分がない事案では、積極要素の立証がそのまま結論に直結します。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。
当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。当時許可されたからといって現在も同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後の抜粋です。家族の構成や子の年齢が違うことは、結論を左右する前提にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
家族の事案では、一人ひとりの事情を全体像として示す準備が要点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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