舟渡国際法律事務所

平成17年・認知も婚姻もない実質的な家庭関係と小学6年の子の就学で母子に在留特別許可|18年前後の不法残留でも母子とも定住者1年(許可第18事例)

お問い合わせはこちら

平成17年・認知も婚姻もない実質的な家庭関係と小学6年の子の就学で母子に在留特別許可|18年前後の不法残留でも母子とも定住者1年(許可第18事例)

平成17年・認知も婚姻もない実質的な家庭関係と小学6年の子の就学で母子に在留特別許可|18年前後の不法残留でも母子とも定住者1年(許可第18事例)

2026/08/07

事例の概要

法律上の関係が整わないまま家庭を築いた母子の事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第18事例で、東南アジア出身の母(41歳)と子(12歳)です。母は1987年に「4-1-9」(平成元年改正前の在留資格の表記で、原典は現在の「興行」に当たるとします)で入国し、その後不法残留です。1989年頃から日本人男性と同居し、1993年に子が生まれましたが、子も不法残留でした。その男性は既婚で離婚も認知もしていませんが、実質的な家庭関係があったとされます。子は小学6年で、出頭申告をしています。結果は母子とも「定住者(1年)」です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当時は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)より前で、基準は公表されず、判断は法務大臣の広範な裁量の下にありました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、地域社会に溶け込んでいる子と、その監護養育者。
  • 積極要素:家族とともに生活する子の利益(令和6年改定で明示)と、自ら出頭申告をしたこと(第2の9)。
  • 消極要素・第2の5:18年前後の長い不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定で、この事例が最も影響を受ける点です。
  • 消極要素:認知がないため子は日本国籍を有さず、第2の2(1)の家族関係には当たりません。

結論を分けた一線はどこか

平成17年から不許可事例も公表されています。同年の不許可第2事例は、13歳で入国して「定住者」となり学校に通った男性ですが、高校時に万引きが2回あり、強盗致傷で懲役2年8月の実刑となって在監中に不法残留となり不許可です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。就学歴があっても消極要素が重ければ結論は変わります。本事例では子の就学と家庭関係が積み上がっていました。

弁護士のコメント

第1に、認知がない場合の組み立てです。法律上の父子関係がないと第2の2(1)には乗りませんから、子自身の就学と地域との関わり(第2の2(3))を軸に据えます。学校の記録、地域での活動、本国での就学が困難な事情が要点です。

第2に、出頭のタイミングです。子の就学期間が長くなるほど積極要素は積み上がりますが、不法在留期間も伸びます。現行ガイドラインでは長期化が明示的に消極要素とされ、時期の判断は難しくなっています。令書発付後の事情変更は原則として考慮されません(注4)。

当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。当時許可されたからといって現在も同じとは言えません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表は各年20件前後です。家族の形が事例集の記載と違っても、それで見通しは決まりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

不法就労助長罪に問われ退去強制の危機に至った女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を正面から問う訴訟を係争中です。この事案では在留特別許可を獲得したうえで、なお違反認定処分そのものの取消しを争っています。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

法律上の関係が整わない事案でも、子の生活の実態から組み立てる道があります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。