平成17年・大学卒業と就職が決まったが在留期限までに変更申請をせず不法残留、直後の出頭申告で在留特別許可|人文知識・国際業務1年(許可第17事例)
2026/08/07
事例の概要
期限内に手続をしなかったことだけが問題となった事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第17事例で、東アジア出身の26歳男性。1998年に「就学1年」で入国し、更新を受けて在留。大学を卒業して会社に採用されましたが、在留期限までに在留資格の変更申請をせず不法残留となり、その直後に自ら出頭申告をしています。事例集には、期限内に申請していれば許可されていた内容であると記されています。結果は「人文知識・国際業務(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年の判断は、ガイドラインの公表前のものです(第一次は平成18年10月策定)。基準は示されておらず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭申告をしたこと、及び別表第一の在留資格(人文知識・国際業務)の該当性を有すること。
- 積極要素・その他:卒業と採用という基盤があり、違反が手続の遅れにとどまること。
- 消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文で確認する必要があります。
- 消極要素・第2の5:不法在留期間はごく短いものです。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 素行不良(第2の3)に当たる事情や刑事処分の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
平成17年は不許可事例の公表が始まった最初の年です。同年の不許可第13事例は、「人文知識・国際業務」で在留していた男性ですが、盗品等保管罪で懲役10月執行猶予3年となり、その後は更新申請もせず不法残留となって不許可でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。同じ「更新や変更をしなかった」事案でも、犯罪が加わるかどうかで扱いが大きく変わると読めます。
弁護士のコメント
第1に、期限管理と出頭の早さです。違反期間はごく短く、期限内の申請なら許可されていた内容と評価されています。期限を過ぎたと気付いた段階で、資格該当性を裏付ける資料を揃えて速やかに出頭することが、結果を左右する余地があります。
第2に、資格該当性の立証です。卒業を示す資料、採用に関する会社側の資料、職務の内容と学んだ内容の関係、報酬の条件が中心になります。刑事処分がない事案では、この立証が判断のほぼすべてを占めます。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。
在留特別許可は当時、職権発動による恩恵的措置でした。現在は令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続があり(入管法50条1項)、考慮事情も法律に明示されています(同条5項)。同じ事情でも現在の結論が同じとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
この事例集は各年20件前後の抜粋で、許可の全体を示すものではありません。自分の状況に近い例が載っていないとしても、それは可能性の判断とは別です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件にも対応してきました。中国籍の方の重大事件の経験も多数あります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
手続の遅れは取り返しがつく場合がありますが、放置すると事情が重くなります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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