平成17年・婚姻に至らないまま認知された子を監護養育し出頭申告して母子に在留特別許可|母は定住者1年、子は日本人の配偶者等1年(許可第16事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻がないまま日本人の子を育ててきた母子の事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第16事例で、東南アジア出身の女性(原典の記載は24歳)と7歳の子が対象です。1995年に「興行3月」で入国し、1回の更新の後に不法残留となりました。日本人男性との間に子が生まれましたが婚姻には至らず、2002年に認知がされています。母が子を監護養育し、自ら出頭申告をしました。結果は母が「定住者(1年)」、子が「日本人の配偶者等(1年)」です。なお第4部の事例はOCRによる読取りを含むため、年齢や年号は幅をもって読む必要があります。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の前で、判断基準は公表されず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ア):子は認知により日本国籍を有する日本人の実子に当たります。
- 積極要素・第2の2(1)(イ):母は、その実子を相当期間同居して監護養育しています。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭申告をしたこと。
- 消極要素・第2の5:10年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。刑事処分の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
不許可事例の公表はこの年から始まりました。同年の不許可第3事例は、日本人女性と婚姻して出頭申告をし、日本国籍の子も生まれた男性ですが、2004年から別居して同居の虚偽の申立てがあり、監護の実績も認められないとして不許可でした。婚姻があっても監護の実績がなければ許可されず、認知と監護の実績があれば婚姻がなくても許可される。子との関係は形式より実質で見られていると読めます。
弁護士のコメント
第1に、認知の重要性です。認知によって法律上の親子関係が生じ、子は日本国籍を取得し得る立場になります。婚姻に至らない事案では、認知の届出が済んでいるかどうかが評価の分かれ目になり得ます。届出が難しい状況にある場合は、その障害を取り除く交渉から始める必要があります。
第2に、監護の実績の立証です。同居の状況、生活費の負担、保育や就学の記録などが中心です。刑事処分がない事案では、積極要素の立証に力を集めることになります。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。
当時は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されました(同条5項)。当時許可されたからといって現在も同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋です。自分と同じ家族の形が見当たらないとしても、それが判断の全体像ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可の後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
認知と監護は、子の将来と親の在留の双方に直結します。早い段階での整理が要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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