平成17年・来日後に心臓の病気が判明し本邦で手術、本国での治療が困難な66歳女性に在留特別許可|特定活動(病気治療・1年)が認められた事例(許可第13事例)
2026/08/07
事例の概要
治療の必要性が在留の理由として認められた事例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第13事例で、東南アジア出身の66歳女性。2004年に永住者として在留する女性を訪ねる目的で「短期滞在90日」で入国し、その後不法残留となりました。滞在中に心臓の病気が判明し、本邦で手術を受けています。本国での治療が困難であるとされ、結果は「特定活動(病気治療・1年)」です。在留期間の長さや家族関係ではなく、医療上の必要性が正面から評価された事例といえます。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年の判断は、ガイドラインの公表前のものです(第一次は平成18年10月策定)。基準は示されておらず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の7(1):本邦での治療を必要としていること。本国での治療が困難という事情が併せて評価されています。
- 積極要素・その他:本邦に受け入れる縁者がいること。
- 消極要素・第2の5:1年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。刑事処分の記載はありません。
- 家族関係(第2の2)に当たる事情の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
不許可事例の公表はこの年から始まりました。同年の不許可第21事例は、日本人の夫がいる女性ですが、夫に糖尿病等があっても介護を要する病状とは認められず、経営していた店で不法就労者の雇用が判明して更新を受けられなかった事案で、不許可でした。医療上の事情は、その必要性の程度と、本国で対応できるかどうかで評価が変わると読めます。本事例では手術を受けた事実と本国での治療の困難さが揃っていました。
弁護士のコメント
第1に、医療に関する立証の作り方です。診断の内容、実施された治療の経過、今後必要となる治療の見込み、本国の医療体制で対応が難しい事情を、それぞれ資料で示す必要があります。症状の詳細を並べることが目的ではなく、本邦で治療を続けなければならない理由を示すことが要点です。
第2に、在留資格の見通しです。本事例では「特定活動」という形で許可されています。家族関係を軸にできない事案では、どの活動を前提に在留を求めるのかを、手続の早い段階で整理しておくことが有益です。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。
当時の在留特別許可は申請できるものではなく、職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も明示されています(同条5項)。当時の結論をそのまま今日に当てはめることはできません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後です。病気の種類や年齢が自分と同じ例が見当たらないとしても、それは判断の材料が尽きたということではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
治療を理由とする在留では、医療の記録と本国の事情を結び付けて説明できるかが要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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