平成17年・ホステス就労で摘発され収容された直後に特別永住者男性と婚姻届、在留特別許可|収容前からの同居実態が評価され永住者の配偶者等1年(許可第9事例)
2026/08/07
事例の概要
摘発されて収容された後に婚姻届を出した事案の一例です。平成17年に在留特別許可をした25件のうち第9事例で、東アジア出身の32歳女性。2003年に「短期滞在90日」で入国し、その後不法残留となりました。2004年から特別永住者の男性と同居し、2005年にホステスとしての就労で摘発されて収容されています。婚姻届を出したのは収容の直後ですが、収容前からの同居の実態が確認され、婚姻は真摯と認められました。結果は「永住者の配偶者等(1年)」です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年の判断は、ガイドラインの公表前のものです(第一次は平成18年10月策定)。基準は示されておらず、法務大臣の広範な裁量に委ねられていました。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ):特別永住者との法的な婚姻。第2の2(1)は日本人と特別永住者を並べて扱います。
- 積極要素・その他:収容前から続いていた共同生活の実態。
- 消極要素・第2の5:2年前後の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留と、在留資格に基づかない就労。刑事処分の記載はありません。
- 出頭申告(第2の9)には当たりません。端緒は摘発です。
結論を分けた一線はどこか
この年から不許可事例も公表されるようになりました。同年の不許可第1事例は、日本人の現夫がいる女性ですが、2003年から合理的な理由なく長期に別居しており、風営法違反で罰金50万円を受け、供述からは売春に関わる業務に従事していたと認定されて不許可でした。婚姻という形が同じでも、共同生活の実態と素行の評価が結論を分けたと読めます。
弁護士のコメント
第1に、収容直後の届出をどう見せるかです。届出の時期が遅い事案では、それ以前の同居を示す資料が判断の中心になります。住居に関する資料、生活費の流れ、双方の親族や近隣の方の陳述が典型です。摘発による収容から手続が始まる場合、準備の時間は限られます。
第2に、初動対応です。摘発の場でどのような説明をしたかは、その後の違反調査・違反審査の記録に残ります。依頼者本人のために動く通訳を確保し、事実と異なる内容が調書に残らないようにすることが、後の主張の土台になります。
在留特別許可は当時、職権発動による恩恵的措置でした。現在は令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続があり(入管法50条1項)、考慮事情も法律に明示されています(同条5項)。同じ事情でも現在の結論が同じとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に並ぶのは各年20件前後にとどまります。摘発から始まった事案の許可例が少なく見えるとしても、そこで結論が決まるものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可の後も違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機に至った女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を正面から問う訴訟を係争中です。この事案では在留特別許可を獲得したうえで、なお違反認定処分そのものの取消しを争っています。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
収容されてからの婚姻でも、それ以前の生活を示せるかどうかで評価は変わります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------