平成18年・家族滞在での店舗経営が資格外活動とされ不許可|風営法違反の罰金と指導後の継続が問われた事例(不許可第7事例)
2026/08/07
事例の概要
家族と同居するための在留資格で店を経営していた場合はどうなるか。平成18年に在留特別許可をしなかった25件(法務省入国管理局が平成20年12月公表)の第7事例です。東アジア出身の40歳女性。1996年、留学中の同国人の夫と同居するため「家族滞在1年」で入国。夫はその後「人文知識・国際業務」に変更して稼働し、子も来日して3人で同居していました。本人は2004年6月から2005年11月まで個室マッサージ店を経営し、2005年12月に風営法違反で罰金30万円となりました。専ら収入を伴う事業の運営であり、警察の指導後も継続したと指摘されています。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)への当てはめです。平成18年10月は第一次ガイドラインが策定された月で、この年を境に評価要素が外から見えるようになりました。本事例が策定の前後どちらかは資料から特定できません。
- 消極要素・第2の6:与えられた在留資格の活動を超えた収益活動。該当号は条文で確認が必要です。指導後も継続した点は、違反の程度を重く見る事情です。
- 積極要素・第2の2(2)が特に考慮するのは、別表第二の在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等)を持つ者との家族関係です。夫の資格は別表第一で、この積極要素には直接当たりません。
- 消極要素・第2の5の不法在留期間はありません。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。同じ平成18年の許可第17事例は、不法残留の男性が「永住者」の同国人女性と同居・婚姻し、同居事実と婚姻の信憑性が認められて「永住者の配偶者等(1年)」が許可された事案です。家族が日本にいることではなく、その家族がどの資格を持ち、本人の活動が資格の枠内にあったかが一線と読めます。
弁護士のコメント
第1に、罰金と資格外活動の関係です。罰金刑は入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑)には当たりません。それでも不許可となったのは、有罪の重さではなく活動内容の評価だったと読めます。仮に風営法違反で不起訴処分を獲得できていれば、素行面の消極要素を一つ減らせた余地はありましたが、資格外活動の点は別に判断されます。
第2に、認識と当時との違いです。どこまでが許された活動かの認識は、評価で争点になり得ます。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用は、松村弁護士が現に係争中の論点です。あわせて、令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置です。令和6年改定では子の利益の保護の必要性も明示され、子と同居する家族の事情は現在なら別の角度から主張できます。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表事例は各年20件台にすぎません。資格外活動の類型に許可例が見当たらないことは、許可の望みがないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務を問い直すべく、責任主義の射程を争う訴訟を継続しています。この事件では在留特別許可を獲得したうえで、違反認定処分の取消しを求めています。
観光目的で来日した相談者が在留資格を失った事案では、当局の過去の許可事例を分析し、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
働き方を変えるときは、在留資格の枠を先に確認することが要点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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