舟渡国際法律事務所

平成18年・幼少期に来日した定住者が覚せい剤取締法違反で不許可|少年院への入退院を繰り返し実刑となった事例(不許可第2事例)

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平成18年・幼少期に来日した定住者が覚せい剤取締法違反で不許可|少年院への入退院を繰り返し実刑となった事例(不許可第2事例)

平成18年・幼少期に来日した定住者が覚せい剤取締法違反で不許可|少年院への入退院を繰り返し実刑となった事例(不許可第2事例)

2026/08/07

事例の概要

幼いころに来日して日本で育った人でも、薬物事件が重なれば在留は維持できないのか。平成18年に在留特別許可をしなかった25件(法務省入国管理局が平成20年12月公表)の第2事例です。南米出身の22歳男性。1992年に日系二世の父母とともに「短期滞在90日」で入国し、日系三世として「定住者」へ変更、小学校に編入しました。ところが14歳頃から覚せい剤取締法違反等で少年院への入退院を繰り返し、2004年には同法違反で懲役1年4月を受けています(懲役は原典表記で、現行法では拘禁刑に相当します)。覚せい剤使用の常習性が指摘されました。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)への当てはめです。平成18年10月に第一次ガイドラインが策定され、考慮する要素が初めて外に示されました。本事例が策定の前後どちらの判断かは資料から分かりません。

  • 消極要素・第2の6:入管法24条4号チ(薬物関係法令違反による有罪。執行猶予でも該当)に当たり、実刑の点では同4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑)も問題になります。
  • 消極要素・第2の3:常習性が指摘された素行。
  • 積極要素:小学校からの就学と家族との生活は第2の2(3)の趣旨に沿います。正規在留者のため第2の5の不法在留期間はなく、長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定です。

結論を分けた一線はどこか

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。同じ平成18年の許可第16事例は、不法残留の家族4名について、入国以来の家族生活と子の在学(高校1年・中学1年)が評価され、全員に「定住者(1年)」が許可されました。本事例の本人も少年期から日本で育っていますが、薬物事件の反復と実刑が天秤を大きく傾けたと読めます。日本で育った期間の長さだけでは覆らないと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、薬物事件の構造です。入管法24条4号チは執行猶予でも退去強制事由となるため、在留を守る道は実質的に不起訴処分の獲得に絞られます。仮に不起訴を得られていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ余地がありました。薬物の認識に争う点があれば刑事段階で徹底して争うべきで、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用については、松村弁護士が現に係争中です。

第2に、当時と現在の違いです。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で在留特別許可に申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置でした。また令和6年改定で「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」が積極要素として明示され、幼少期から日本で育った成育歴を子の利益の観点から主張する余地は、現在の方が広がっています。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表された事例は各年20件台の抜粋で、当時の判断の全体像ではありません。薬物事件で許可された公表例が乏しいことは、許可の可能性がないという結論を導きません。当事務所が担当した不法就労助長の事案も、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。薬物事件は在留への影響が特に重く、認識の有無を最初から争う姿勢が必要になります。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局の過去の許可事例を分析し、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

薬物事件は執行猶予でも退去強制事由となるため、起訴前の段階が分岐点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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