平成18年・盗品等有償譲受けを繰り返して実刑となり不許可|一度は在留特別許可を得た後に再び違反した事例(不許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
平成18年に在留特別許可をしなかった25件(法務省入国管理局が平成20年12月公表)の第1事例は、一度在留特別許可を得た後に再び刑事事件を起こした事案です。東アジア出身の38歳男性。1990年に「4-1-16-3」(平成元年改正前の表記。現在の就学に相当)で入国後に不法残留となり、1998年に日本人女性と婚姻、翌年に在留特別許可(「日本人の配偶者等」)を得ます。しかし2001年に盗品等有償譲受け等で懲役2年6月執行猶予4年となり、別居判明で更新は不許可、再び不法残留に。別の日本人女性と再婚し実子ももうけましたが、2003年に同種の罪で懲役2年4月を受け服役、2005年に再婚した妻とも離婚しました(懲役は原典表記で、現行法では拘禁刑に相当します)。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)への当てはめです。平成18年10月は第一次ガイドラインが策定された月で、考慮要素が初めて対外的に示されました。本事例が策定の前後どちらの判断かは資料から特定できません。
- 消極要素・第2の6:財産犯の反復と実刑。実刑は入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑。全部執行猶予は除外)に関わります。不法残留の該当号は条文で確認が必要です。
- 消極要素・第2の5:不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定で、当時は積極にも消極にもなり得るとされていました。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ)の婚姻は、別居と離婚で失われています。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例では在留資格が別居と有罪判決で失われ、再婚も離婚に至り、天秤の一方に置ける事情が残りませんでした。同じ平成18年の許可第18事例は、不法入国で懲役2年6月執行猶予4年を受けた後に婚姻が成立し、信憑性が認められて「日本人の配偶者等」が許可されています。判決の存在それ自体ではなく、判決後に維持されている家族関係の有無が分かれ目と考えられます。
弁護士のコメント
第1に、刑事段階の目標です。結論を決めたのは2度目の実刑と読めます。仮に不起訴処分を獲得できていれば、実刑を前提とする退去強制事由該当性を生じさせずに済んだ余地がありました。1度目の判決の段階で在留への影響を共有できていたかも問われます。
第2に、当時と現在の違いです。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で在留特別許可に申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置でした。また令和6年改定で「本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性」が積極要素として明示され、子がいる事案では親の素行とは別に子の利益を立証する余地が生まれています。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
この資料は各年20件台の抜粋にとどまり、当時の判断のすべてを映しません。似た事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。起訴前に処分を止めることが、在留を守る最短の道になる場面があります。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
一度在留を認められた後の再違反は、次の判断で最も重く働きます。だからこそ最初の刑事事件の段階から在留への影響を見据えることが要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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