平成18年・婚姻していなくても胎児認知で日本国籍を得た子の監護養育で在留特別許可|出頭申告で定住者1年(許可第22事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻していない状態でも、子の監護養育が正面から評価された事例です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成18年の許可事例第22事例です。本人は東南アジア出身の25歳女性。2003年に稼働目的で不法入国し、日本人男性と交際して子が生まれます。子は当該男性の胎児認知により日本国籍を取得しています。婚姻には至りませんでしたが、生活費の支弁を受けて子を監護養育し、2005年に出頭申告をしました。結果は定住者(1年)です。婚姻がないため、許可された在留資格は日本人の配偶者等ではありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成18年10月に第一次ガイドラインが策定され、判断の要素が初めて公表されました。第3次出入国管理基本計画と規制改革・民間開放推進3か年計画(平成18年3月31日閣議決定)に基づくものです。同年の事例は公表の前後にまたがり、本事例がどちらかは判明しません。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(イ):日本国籍を有する実子を同居して監護養育していること。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 積極要素:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(令和6年改定で明示)。
- 第2の2(1)(ウ)には当たりません。婚姻がないためです。
- 消極要素・第2の5:2003年からの不法在留期間。第2の6:不法入国。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3に照らすと、本事例では日本国籍の子の監護養育と自ら出頭したことが、不法入国という消極要素を上回ったと読めます。同年の不許可第1事例は、1990年に入国して不法残留となり、1998年に日本人女性と婚姻して1999年に在特を受けた後、2001年に盗品等有償譲受け等で懲役2年6月執行猶予4年となり、別居も判明して更新が不許可となりました。別の日本人女性と再婚して実子ももうけましたが、2003年に再び同種の罪で懲役2年4月となり服役し、2005年にはその妻とも離婚しています(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。
弁護士のコメント
刑事処分はありません。第1に、出頭のタイミングです。胎児認知と出生で子の国籍が確定した段階の出頭が、評価に結びついたと読めます。第2に、資料です。胎児認知の届出と戸籍、生活費の支弁を示す記録、監護の実態が中心になります。婚姻がない事案では、これらの資料の厚みが結論を左右します。評価の枠組みは当時と現在で異なります。当時は職権発動による恩恵的措置でしたが、令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続(入管法50条1項)と考慮事情(同条5項)が定められ、令和6年改定では長期化が明示的な消極要素とされました。同じ結論になるとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成18年分の公表は許可25件(原典は事例7を欠番とし実際の掲載は24件)と不許可25件で、抜粋にとどまります。婚姻に至っていない事案について、公表資料に同じ形の許可例が見当たらないとしても、それは可能性の否定ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
在留資格を失った相談者について、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1回の申請で在留特別許可を獲得した事案があります。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下での資料収集も担いました。
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多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
婚姻がない事案では、許可される在留資格の種類も含めて見通しを立てる必要があります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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