平成18年・永住者の妻との婚姻後に逮捕されても在留特別許可|起訴猶予で永住者の配偶者等1年(許可第17事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者が永住者である場合の見通しを示す事例です。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成18年の許可事例第17事例です。本人は東アジア出身の39歳男性。2000年に「短期滞在90日」で入国し、稼働目的で不法残留となりました。「永住者」の同国人女性と2005年に同居して婚姻し、その後に入管法違反(不法残留)で逮捕され、処分は起訴猶予です。同居の事実が確認され、婚姻の信憑性が認められて永住者の配偶者等(1年)が許可されました。婚姻から逮捕までの期間は短く、同居の実態が確認されたことが評価の中心にあると読めます。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
積極要素と消極要素が初めて例示されたのは、平成18年10月の第一次ガイドラインです。第3次出入国管理基本計画と規制改革・民間開放推進3か年計画(平成18年3月31日閣議決定)に基づきます。本事例が策定の前か後かは資料から分かりません。当てはめは現行ガイドライン(令和6年3月改定)によります。
- 積極要素・第2の2(2):別表第二の在留資格である「永住者」との家族関係。この積極要素に直接当たります。
- 積極要素:同居の事実の確認と、婚姻の信憑性の認定。
- 消極要素・第2の5:2000年からの不法在留期間。第2の6:不法残留。
- 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は逮捕です)。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3の判断手法では、積極要素が消極要素を明らかに上回るかが問われます。本事例では、配偶者の在留資格が別表第二であることに加え、同居の実態が確認された点が効いたと読めます。同年の不許可第6事例は、2000年に入国して日本人男性と婚姻し「日本人の配偶者等」で在留していたところ、2002年に窃盗と暴行で懲役2年執行猶予4年、猶予期間中の2004年に入管法違反と窃盗で懲役1年となって執行猶予が取り消され服役しました(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。同居は約4か月にとどまり、婚姻の実体の喪失も指摘されています。
弁護士のコメント
起訴猶予は不起訴処分の一種で、有罪判決という消極要素を生じさせずに済んでいます。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、全部執行猶予は除かれます。号ごとに構造が異なりますから、当該事件で問題となる号を特定して考える必要があります。同居の立証は、住民票や家計の一体性など客観的な資料を中心に組み立てます。当時は職権発動による恩恵的措置で、現在は申請手続(入管法50条1項)と考慮事情(同条5項)が法定されています(令和5年改正入管法・令和6年6月10日施行)。長期化を明示的な消極要素とした令和6年改定も踏まえると、当時の結論が今も同じとは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成18年分の公表は許可25件(原典は事例7を欠番とし実際の掲載は24件)と不許可25件で、抜粋です。配偶者が永住者という組合せの許可例が公表資料に少なく見えても、それは可能性の否定ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性について、指示役からの欺罔と脅迫的な状況、犯意の不存在を主張して不起訴処分を獲得しています。起訴前の段階で処分を止めることが、在留資格を守る道筋になる場面があります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
配偶者が永住者である事案でも、判断の中心は同居の実態と素行です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------