平成18年・婚姻も同居もない父から認知された子と母に在留特別許可|出頭申告で母は定住者1年・子は日本人の配偶者等1年(許可第8事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻も同居もない関係でも、認知と扶養の実態が評価されることがあります。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料の、平成18年の許可事例第8事例です(原典は第7事例を欠番とします)。対象は東南アジア出身の母(44歳)と子(17歳)。母は1988年に「4-1-4・15日」(平成元年改正前の在留資格の表記です)で入国し、不法残留となりました。日本人男性と交際し、平成元年に子が出生。同居はありませんが生活費の支援を受け、2001年に子が認知され、2004年に出頭申告をしています。母は稼働し、子も義務教育後に稼働して生計を支えます。結果は母が定住者(1年)、子が日本人の配偶者等(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成18年10月に第一次ガイドラインが策定され、判断の要素が初めて公表されました。第3次出入国管理基本計画と規制改革・民間開放推進3か年計画(平成18年3月31日閣議決定)に基づくものです。同年の事例は公表の前後にまたがり、本事例がどちらかは判明しません。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ア):子は日本人男性の実子で、2001年に認知されています。母はその監護養育者です。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 第2の2(1)(ウ)には当たりません(婚姻も同居もありません)。もっとも扶養の実態が評価されています。
- 消極要素・第2の5:1988年からの不法在留期間。第2の6:母子の不法残留。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可を検討するとします。天秤を傾けたのは、認知と扶養の継続、そして自ら出頭したことと読めます。同年の不許可第21事例は、2000年に「短期滞在15日」で入国して不法残留となり、2004年に日本人男性と婚姻して出頭申告したものの、調査で別居が判明し、合理的な理由もなく、本人が自宅から離れた場所で週の大半を泊まり込んで稼働していると認めた事案です。形式があっても実質がなければ傾かず、形式がなくても実質があれば傾き得ると考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分の記載はありません。第1に、何を揃えるかです。認知届の記載、生活費の負担を示す資料、子の就労と生計の状況です。第2に、争う段階です。違反調査から違反審査、口頭審理と進む中で、扶養の実態を早い段階で示すことが要点です。令書発付後の事情変更は原則として考慮されません(注4)。なお当時の在留特別許可は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。長期化が明示的な消極要素とされたのも令和6年改定です。当時許可されたから今も同じ結論になる、とは言えません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成18年分は許可25件(原典は事例7を欠番とし実際の掲載は24件)と不許可25件の公表で、抜粋です。婚姻のない親子関係の許可例が見当たらないとしても、可能性がないことにはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
特殊詐欺の受け子で複数回の再逮捕を受けた依頼者について、取調べへの徹底した対応と不当な取調べへの抗議を積み重ね、全件不起訴処分を獲得した実績があります。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
婚姻の形式がない事案では、扶養と監護の実態をどう資料化するかが要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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