舟渡国際法律事務所

平成18年・婚姻手続が未了でも子の難病治療の必要性で母子に在留特別許可|摘発が端緒でも定住者1年(許可第2事例)

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平成18年・婚姻手続が未了でも子の難病治療の必要性で母子に在留特別許可|摘発が端緒でも定住者1年(許可第2事例)

平成18年・婚姻手続が未了でも子の難病治療の必要性で母子に在留特別許可|摘発が端緒でも定住者1年(許可第2事例)

2026/08/07

事例の概要

婚姻が整っていない段階で摘発された母子にも、許可の道はあります。平成20年12月に法務省入国管理局が公表した資料の、平成18年の許可事例第2事例で、東南アジア出身の母(33歳)と子(6歳)が対象です。母は1996年に「特定活動(外交官家事使用人)1年」で入国後、稼働を続けて不法残留。1999年に生まれた同国人男性との子も不法残留です。母は当該男性と別居して日本人男性と同居し、2005年に摘発されます。離婚手続は進行中で、婚姻手続は未了でした。他方、子は難病で入院中で、本国の医療事情から本邦での治療の継続が必要とされ、母子とも定住者(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成18年10月に第一次ガイドラインが策定され、判断の要素が初めて公表されました。第3次出入国管理基本計画と規制改革・民間開放推進3か年計画(平成18年3月31日閣議決定)に基づくものです。同年の事例は公表の前後にまたがり、本事例がどちらかは判明しません。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の7(1):難病等により本邦での治療を必要とすること、及びその看護。子と母それぞれに当たり得ます。
  • 積極要素:家族とともに生活するという子の利益の保護の必要性(令和6年改定で明示)。
  • 第2の2(1)(ウ)には当たりません。日本人男性との法的な婚姻がないためです。
  • 消極要素・第2の5:1996年からの不法在留期間。第2の6:母子の不法残留。端緒は摘発ですので第2の9には当たりません。

結論を分けた一線はどこか

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可を検討するとします。摘発が端緒で婚姻も未了という不利な構図でしたが、子の治療の必要性という人道上の配慮が天秤を傾けたと読めます。同年の不許可第11事例は、2006年に短期滞在で入国し日本語学校への入学を希望したものの、受付期間の終了により稼働して不法残留となり摘発されました。在留を求める理由に実質的な裏づけがない事案です。人道上の配慮は、具体的な必要性が資料で示されるかどうかで重みが決まると考えられます。

弁護士のコメント

刑事処分の記載はありません。端緒が摘発であっても許可はあり得ます。出頭申告(第2の9)は有力な積極要素ですが、それがなければ許可されないわけではありません。資料は、診断書と治療の経過、本国の医療事情、監護の実態が中心です。令書発付後の事情変更は原則として考慮されません(注4)。なお当時の在留特別許可は職権発動による恩恵的措置でした。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。長期化が明示的な消極要素とされたのも令和6年改定です。当時許可されたから今も同じ結論になる、とは言えません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成18年の公表は許可25件(原典は事例7を欠番とし実際の掲載は24件)と不許可25件です。両側が並ぶ年でも掲載は抜粋です。似た事情の許可例が見つからないことは、可能性がないことの証明にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例で不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

在留資格を失った相談者について、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1回の申請で在留特別許可を獲得した事案があります。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下での資料収集も担いました。

国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があります。中国籍の方の重大事件にも多数対応しています。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

治療の必要性を主張する事案では、医療に関する資料をどれだけ早く揃えられるかが分かれ目になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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