舟渡国際法律事務所

平成19年・婚姻は成立しても住み込み就労で別居し不許可|過去の不法入国による退去強制歴もあった事例(不許可第10事例)

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平成19年・婚姻は成立しても住み込み就労で別居し不許可|過去の不法入国による退去強制歴もあった事例(不許可第10事例)

平成19年・婚姻は成立しても住み込み就労で別居し不許可|過去の不法入国による退去強制歴もあった事例(不許可第10事例)

2026/08/07

事例の概要

同居が途切れた後に婚姻の実態を問われた例です。平成19年に在留特別許可をしなかった10件のうちの第10事例で、東アジア出身の41歳女性です。2001年に船舶により不法入国し、翌年に日本人男性と知り合って同居しましたが、2006年にマッサージ店に住み込みで稼働するようになり、別居しています。2007年に入管法違反(不法在留)で懲役2年6月、執行猶予5年の判決を受けました(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。当該男性との婚姻は成立していましたが、夫婦の実態は認められませんでした。過去にも不法入国による退去強制歴があります。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成19年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の下での運用です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の2(1)(ウ)には当たりません。婚姻は成立していますが、別居により夫婦の実態が認められていません。
  • 消極要素・第2の5:6年前後の不法在留期間。長期化が消極要素と明示されたのは令和6年改定です。
  • 消極要素・第2の6:不法入国と不法在留。全部執行猶予のため入管法24条4号リには当たらないと読めます。
  • 消極要素:過去にも不法入国で退去強制となっており、被退去強制歴は重い消極要素です。
  • 子の記載はなく、子がいる事案であれば令和6年改定で明示された子の利益の要素が別途働く余地があります。

結論を分けた一線はどこか

第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。同じ平成19年の許可第6事例は、覚せい剤取締法違反で執行猶予判決を受けながら許可されています。婚姻の信憑性が認められ、妻の難病という人道的事情がありました。本事例は、刑が同じく全部執行猶予でも、別居によって婚姻の実態が失われ、被退去強制歴も重なりました。刑の内容ではなく、家族関係の実質と過去の経緯が結論を分けたと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、刑事処分と条文の関係です。本事例の刑は全部執行猶予で、入管法24条4号リには当たらないと読めます。もっとも不法入国と不法在留はそれ自体が退去強制事由です。起訴前に不起訴処分を得られていれば、有罪判決という消極要素までは重ねずに済んだ余地があったと考えられます。

第2に、就労の形と同居です。住み込みでの就労は、生活と家計の一体性を示しにくくします。事情があって別居する場合でも、生活費の授受や往来の記録を残しておくことが、後の立証を支えます。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続と考慮事情が法定された現在(令和5年改正入管法・入管法50条1項・5項)とは前提が異なります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成19年の事例はこれで20件目ですが、この年で公表は終わります。平成20年から平成25年までの6年分は、入管庁のウェブサイトにも当事務所の入手資料にも本体が見当たりません。6年もの空白は、公表事例が実際の判断のごく一部でしかないことの何よりの証拠です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。

観光目的で来日した相談者が在留資格を失った事案では、婚姻・認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで1回の申請で在留特別許可を獲得しました。公表事例の分析は、当事務所の入管手続の中心的な作業です。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

夫婦として暮らし続けられるかどうかが、この類型の分かれ目になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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