平成19年・入管法違反と銀行法違反で有罪、同居1週間で解消し不許可|日本人配偶者がいても許可されなかった事例(不許可第5事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻しても同居が続かなかった例です。平成19年に在留特別許可をしなかった10件のうちの第5事例で、南アジア出身の31歳男性です。2002年に「短期滞在90日」で入国した後、不法残留となりました。2007年に日本人女性と知り合って婚姻しましたが、その後、入管法違反及び銀行法違反で逮捕され、懲役2年6月、執行猶予5年、罰金30万円の判決を受けています(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。当該女性との同居は1週間で解消され、夫婦の実態も認められませんでした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成19年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の下での運用で、基準が公表された後の年です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ)には当たりません。婚姻はありますが共同生活が続かず、夫婦の実態が認められていません。
- 消極要素・第2の5:5年前後の不法在留期間。長期化が消極要素と明示されたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留に加えて2つの法令違反による有罪。全部執行猶予のため入管法24条4号リには当たらないと読めますが、事実の反社会性が評価されます。
- 出頭申告(第2の9)には当たりません。
- 子の記載はなく、子がいる事案であれば令和6年改定で明示された子の利益の要素が別途働く余地があります。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。同じ平成19年の許可第4事例は、婚姻から間もない段階での許可でしたが、婚姻の前年から同居が続き、刑事処分も受けていません。本事例は、婚姻はあるものの同居が1週間で終わり、加えて有罪判決という消極要素が加わりました。婚姻の届出があるかどうかではなく、共同生活が続いているかどうかが分かれ目と読めます。
弁護士のコメント
第1に、不起訴処分の余地です。2つの法令違反について起訴を避けられていれば、有罪判決という消極要素は生じませんでした。不法残留それ自体は刑事処分と無関係に退去強制事由となりますが、素行の評価は変わり得たと考えられます。執行猶予が付いたから在留できるという理解は、入管法24条各号の構造と合いません。
第2に、罪名の見極めです。本事例の銀行法違反の具体的な内容は事例集の記載からは判明しません。もっとも、行政法規に違反する類型では、許可や届出の要否について本人の認識が争点になることがあり、その争い方が後の入管手続にも影響します。当時は職権発動による恩恵的措置であり、申請手続と考慮事情が法定された現在(令和5年改正入管法・入管法50条1項・5項)とは前提が異なります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後で、平成19年分がその最後です。平成20年から平成25年までの6年分は本体が見つかっておらず、公表されなかった許可がどれだけあったかを知る手がかりもありません。手元にある資料の傾向は目安にすぎません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性については、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しました。複数の罪名で捜査を受ける事案では、どの点を争うかの選択が結論を左右します。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、依頼者本人のために動く立場で対応します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。
結語
複数の罪名が並ぶ事案では、起訴前の段階での組み立てが在留の可否に直結します。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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