舟渡国際法律事務所

平成19年・胎児認知で日本国籍を得た子を育てる母に在留特別許可|婚姻がなく父が服役中でも定住者1年が認められた事例(許可第10事例)

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平成19年・胎児認知で日本国籍を得た子を育てる母に在留特別許可|婚姻がなく父が服役中でも定住者1年が認められた事例(許可第10事例)

平成19年・胎児認知で日本国籍を得た子を育てる母に在留特別許可|婚姻がなく父が服役中でも定住者1年が認められた事例(許可第10事例)

2026/08/07

事例の概要

婚姻していなくても、日本国籍の子を育てていることが評価された例です。平成19年に在留特別許可をした10件のうちの第10事例で、東南アジア出身の31歳女性です。2003年に、かつて交際していた日本人男性と同居する目的で不法入国し、実際に同居しました。2004年に当該男性との子を妊娠し、胎児認知を受けて出産しています。もっとも当該男性は詐欺で服役しました。2006年に入管法違反で逮捕され、起訴猶予となっています。婚姻はしていないものの、日本人として出生した子を監護養育していると認定されました。入管法以外の法令違反はありません。結果は「定住者(1年)」です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成19年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の下での運用で、基準が公表された後の年です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の2(1)(イ):未成年の日本人の実子を相当期間同居して監護養育していること。胎児認知により子は日本国籍を有します。
  • 積極要素:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性。明示されたのは令和6年改定です。
  • 積極要素・その他:入管法以外の法令違反がないこと。
  • 消極要素・第2の5:3年前後の不法在留期間。長期化が消極要素と明示されたのは令和6年改定です。
  • 消極要素・第2の6:不法入国。出頭申告(第2の9)には当たりません。

結論を分けた一線はどこか

第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例では、婚姻がなく父が服役中という状況でも、日本国籍の子を現に育てている事実が決定的だったと読めます。同じ平成19年の不許可第1事例は、日本人男性と婚姻していた事案ですが、風俗店を経営して売春防止法違反で有罪判決を受け、その店で他の外国人を不法就労させており、夫婦の実態も認められませんでした。婚姻という形式ではなく、監護養育の実質と素行が結論を分けたと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、起訴猶予の意味です。入管法違反で逮捕されながら起訴猶予にとどまったため、有罪判決という消極要素は生じていません。不法入国それ自体は退去強制事由ですが、刑事処分をどこで止められるかは、その後の在留の評価に影響します。

第2に、子の側から組み立てることです。胎児認知に関する資料、出生と国籍を示す資料、日々の監護の状況、父の状況により母が単独で養育している事情を積み上げる必要があります。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。当時は職権発動による恩恵的措置で、令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)による申請手続の新設と考慮事情の明示(入管法50条1項・5項)を経た現在とは前提が異なります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後を抜粋したものにすぎず、しかも平成19年分で公表が終わっています。平成20年から平成25年までの6年分は本体が確認できないままです。6年間の記録がない資料を、可能性の有無を測る尺度にすることはできません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。本記事の事例と同じく、子の身分関係が要点となる場面です。

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性については、犯意の不存在等を総合的に主張して不起訴処分を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

日本国籍の子を育てている場合、その事実を資料でどう示すかが出発点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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