舟渡国際法律事務所

平成19年・覚せい剤取締法違反で執行猶予判決を受けても在留特別許可|日本人妻の難病と婚姻の信憑性が認められた事例(許可第6事例)

お問い合わせはこちら

平成19年・覚せい剤取締法違反で執行猶予判決を受けても在留特別許可|日本人妻の難病と婚姻の信憑性が認められた事例(許可第6事例)

平成19年・覚せい剤取締法違反で執行猶予判決を受けても在留特別許可|日本人妻の難病と婚姻の信憑性が認められた事例(許可第6事例)

2026/08/07

事例の概要

薬物事犯の有罪判決後も在留が認められた例です。平成19年に在留特別許可をした10件のうちの第6事例で、西南アジア出身の40歳男性です。1992年に「短期滞在15日」で入国した後に不法残留となり、2000年に日本人女性と婚姻して在留特別許可を受け「日本人の配偶者等」となっています。2005年に覚せい剤取締法違反で懲役1年6月、執行猶予4年の判決を受けました(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。日本人妻との婚姻の信憑性が認められ、妻が難病に罹患しているとの事情もあり、結果は「日本人の配偶者等(1年)」です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

平成19年は第一次ガイドライン(平成18年10月策定)の下での運用です。以下は現行ガイドライン(令和6年3月改定)による整理です。

  • 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人との婚姻。信憑性が認められています。
  • 積極要素・第2の7(1):難病等により本邦での治療を要する親族の看護の必要性。妻の療養を支える立場です。
  • 消極要素・第2の6:薬物関係法令違反による有罪は、執行猶予でも入管法24条4号チに当たります。
  • 消極要素・第2の5:1992年から2000年までの不法在留期間。長期化が消極要素と明示されたのは令和6年改定です。
  • 夫婦間の子の記載はなく、令和6年改定で明示された子の利益の要素も働きません。

結論を分けた一線はどこか

第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例では、薬物事犯という重い消極要素があるにもかかわらず、婚姻の信憑性と妻の療養という人道的事情が上回ったと読めます。同じ平成19年の不許可第10事例も執行猶予判決の事案ですが、日本人男性との婚姻は成立していたものの別居して夫婦の実態が認められず、過去に不法入国での退去強制歴もありました。刑の重さではなく、家族関係の実質と人道的事情の有無が結論を分けたと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、不起訴処分の意味です。薬物関係法令違反による有罪は、執行猶予でも入管法24条4号チに当たり、退去強制事由となります。起訴前に不起訴処分を得られていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。

第2に、現行制度との距離です。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設されて考慮事情も明示され(入管法50条1項・5項)、同項ただし書は、一定の場合に「在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情」があるときに限り許可するとします。本事例は旧運用下の判断で、ただし書の解釈を示すものではありませんが、配偶者の療養を支える必要が事犯の重さと並べて検討された先例として参照する余地はあります。同じ事情なら現在も許可されるとは限りません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成19年分は許可10件と不許可10件の抜粋にとどまり、しかもこの年で公表が止まります。平成20年から平成25年までの6年分は本体が確認できず、その間に何件の許可があったのかは分かりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。裁判員裁判の対象事件や広く報道された重大事件にも多数対応しています。

観光目的で来日した相談者が在留資格を失った事案では、婚姻・認知を成立させた上で過去の許可事例を分析し、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制となるため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標とします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐します。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携行政書士とワンストップで対応できます。

結語

薬物事犯では、執行猶予ではなく不起訴を目標に据えるところから方針を立てる必要があります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。