平成26年・家族全員で出頭申告しても不許可|父母に被退去強制歴があり子が1歳であった事例(C類型不許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
自ら出頭しても許可に至らなかった例です。平成26年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のC類型(外国人家族の場合)不許可第1事例です。本人は不法入国で、在日約14年9月・違反約14年9月。配偶者は不法残留で、在日約10年11月・違反10年8月です。子は1歳で、本邦で出生した後に在留資格を取得していません。端緒は家族全員での出頭申告で、刑事処分はなく、父母ともに被退去強制歴が1回あります。不許可の事情として挙げられているのは、この被退去強制歴です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の9:家族全員での出頭申告。
- 積極要素:家族とともに本邦で生活する子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定です(参議院附帯決議14項)。
- 第2の2(3):本邦で相当期間の教育を受けた子とその監護養育者が対象ですが、子は1歳で就学の段階に至っておらず、この項は働きにくい場面です。
- 消極要素・第2の5:約14年9月の不法在留。令和6年改定で明示的な消極要素とされました。
- 消極要素・第2の6:不法入国という退去強制事由。どの号に当たるかは事案ごとに条文に当たって確認する必要があります。父母双方の被退去強制歴も重く働きます。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例は、家族全員での出頭という積極要素があっても、父母双方の被退去強制歴と不法入国という違反態様を上回るには足りなかったと読めます。同じ平成26年C類型の許可第1事例も家族全員での出頭申告で、母に被退去強制歴が1回ありましたが、子は12歳・在日約12年11月でした。子が本邦で積み上げた生活の長さの差が結論を分けたと考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分のない事例ですので、2点を述べます。
第1に、出頭の時期です。第2の9の出頭申告は積極要素ですが、時期によって手元の積極要素の量が変わります。本事例は子が1歳の段階での出頭であり、第2の2(3)が働く余地がありませんでした。他方、不法在留の長期化は消極要素です。出頭の時点は、この二つを見比べて決めるべき事柄です。
第2に、被退去強制歴の位置づけです。これは事後に消せない事情ですから、他の積極要素をどれだけ具体的に示せるかが勝負です。違反審査と口頭審理の各段階で、家族の生活状況、地域との関係、本国に生活基盤がないことを資料で積み上げるべきでした。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の許可の全部ではありません。同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を正面から問う訴訟を係争中です。この事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
被退去強制歴のような消せない事情がある場合、他の積極要素をどこまで具体化できるかが要点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------