平成26年・売春防止法違反で罰金5万円の略式命令でも在留特別許可|本人は永住者・婚姻約6年1月・未成年の子2人の事例(B類型許可第5事例)
2026/08/07
事例の概要
素行に消極要素があっても許可はあり得ます。平成26年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のB類型(配偶者が正規在留外国人の場合)許可第5事例で、結論は許可です。違反態様は売春従事による刑罰法令違反、端緒は警察による逮捕、在日約14年10月です。違反期間の欄は原典では斜線(該当なし)です。本人は永住者、配偶者は定住者、婚姻は約6年1月で、未成年の子が2人おり、いずれも永住者です。刑事処分は売春防止法違反(勧誘等)による罰金5万円の略式命令、許可内容は定住者(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 消極要素・第2の3(エ):自ら売春を行う等の行為。本事例の違反態様が当たります。
- 積極要素・第2の2(2):配偶者の定住者、子の永住者はいずれも別表第二です。婚姻約6年1月と未成年の子2人は、第2の2(1)に準じる家族関係として厚いです。
- 積極要素:家族とともに本邦で生活する子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定です。
- 第2の9:端緒は警察による逮捕で、出頭申告には当たりません。
- 入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑が対象で罰金は当たらず、4号チは薬物関係法令違反による有罪ですので本事例には当たりません。どの号かは条文で確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
同年A類型(配偶者が日本人)不許可第2事例と比べます。そちらも売春従事で警察に逮捕されましたが、婚姻約1年2月、被退去強制歴1回、同居・婚姻の実態に疑義がもたれ不許可でした。
違反態様も端緒も共通で、分かれたのは家族関係の厚みと実態が疑われなかったことです。本事例は婚姻約6年1月に未成年の子2人が加わり、家族の在留資格も別表第二にそろっており、素行の消極要素を上回る積極要素があったと読めます。
弁護士のコメント
第1に、刑事段階です。罰金の略式命令ですので24条4号リには当たりませんが、有罪の事実は消極要素として残ります。不起訴処分を獲得できていれば、この消極要素は生じずに済んだ余地があります。略式命令に応じる前に退去強制手続への影響を検討すべきです。
第2に、事案の見立てです。本人が被害を受けた立場にあるかで評価は大きく異なります。同年D類型許可第5事例は人身取引の被害者として公的機関に保護された事案で許可に至っており、被害者性が認められる場合の評価はまったく別になります。
第3に、本人が永住者でも、退去強制手続に入れば許可される在留資格は別途判断されます。本事例は定住者(1年)でした。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
素行の消極要素がある事案でも、この事例のように許可はあり得ます。事例集は各年20件前後の抜粋ですので、傾向を結論と取り違えないことが大切です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
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結語
罰金であっても、在留への影響は必ず確かめておく必要がございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
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