平成26年・夫婦間に子がなくても在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約4年1月・不法残留約6年11月・出頭申告の事例(A類型許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
夫婦間にお子さんがいない場合でも許可はあり得ます。平成26年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第1事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約8年9月・違反約6年11月です。日本人配偶者との婚姻期間は約4年1月で、夫婦間の子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。許可内容は日本人の配偶者等(1年)です。在留を希望する理由は原典の表に記載がなく判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2(1)(ウ):日本人と法的に婚姻し、相当期間共同生活をして相互に扶助し、婚姻が安定かつ成熟していること。同項は夫婦間に子があることを例示しますが必須ではなく、約4年1月の婚姻の厚みがその代わりを果たしたと読めます。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 消極要素・第2の5:約6年11月の不法在留。長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定で、従前は積極にも消極にもなり得るとされていました。
- 消極要素・第2の6:不法残留という退去強制事由。どの号に当たるかは事案ごとに条文で確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。天秤を傾けたのは婚姻期間約4年1月と出頭申告の組合せだと読めます。
同じ平成26年A類型の不許可第1事例も出頭申告でしたが不許可でした。在日約10年5月の全部が違反期間、婚姻期間は約11月で、被退去強制歴が3回ありました。子がない点は本事例と共通です。違いは婚姻の厚みと、過去に3回退去強制を受けていた事実にあったと考えられます。
弁護士のコメント
第1に、出頭申告という入り方の価値です。摘発や逮捕で発覚した場合には第2の9の積極要素を欠き、身柄を拘束された状態で家族関係の資料を集めることになります。
第2に、争う段階です。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出の順に進みます。在留特別許可は最後の段階の判断ですが、ガイドラインの注4は退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています。
第3に、子がない事案で準備すべき立証です。住民票や賃貸借契約書による同居の裏付け、家計の一体性を示す資料などを積み上げるほかありません。一般的な整理です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の判断の全体ではありません。自分と同じ事情の許可例が公表資料に見当たらないことを、結論と読み替える必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
子がないことは、婚姻の実体を示せないことと同じではございません。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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