舟渡国際法律事務所

平成27年・永住者の母と同居していても覚せい剤取締法違反で懲役1年6月執行猶予3年、不許可(D類型不許可第6事例)

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平成27年・永住者の母と同居していても覚せい剤取締法違反で懲役1年6月執行猶予3年、不許可(D類型不許可第6事例)

平成27年・永住者の母と同居していても覚せい剤取締法違反で懲役1年6月執行猶予3年、不許可(D類型不許可第6事例)

2026/08/07

事例の概要

特に考慮する積極要素があっても許可とは限らない例です。平成27年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)不許可第6事例です。違反態様は刑罰法令違反、端緒は警察による逮捕、在日約6年8月、違反期間の欄は原典で斜線(該当なし)です。刑事処分は、覚せい剤取締法違反により懲役1年6月、執行猶予3年です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留希望の理由は、本国の家族を養うため日本で働きたいというものです。特記事項には、永住者の未成年未婚の実子として在留資格「定住者」で入国した後、永住者である母と同居していた旨が記されています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 積極要素・第2の2(2):別表第二の在留資格を有する者との家族関係は特に考慮する積極要素で、永住者である母との同居はこれに当たり得ます。
  • 第2の9:端緒は警察による逮捕で、自ら出頭したことに当たりません。在留希望の理由も本国の家族の扶養で、本邦での生活基盤を示しません。
  • 消極要素・第2の6:入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予でも該当します。本事例の刑も同号の適用を免れません。
  • 現行法では、4号チに該当する場合、在留特別許可は50条1項ただし書により、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限られます。
  • 第2の5:在留資格の下での在留で、不法在留期間の記載はなし。

結論を分けた一線はどこか

永住者である母との同居という特に考慮する積極要素があっても不許可です。注4は、特に考慮する積極要素があれば必ず許可されるものではないとしています。同じ平成27年D類型の許可第6事例は、母の連れ子として来日した後に不法残留となった方で、くも膜下出血の後遺症による障害を理由に定住者(1年)が認められました。母との関係という共通点がありながら、薬物関係法令違反の有無が天秤を決めたと読めます。

弁護士のコメント

2点を挙げます。

第1に、4号チの構造です。薬物関係法令違反は執行猶予が付いても退去強制事由となります。弁護活動の目標を執行猶予の獲得に置くと、刑事裁判で望む結果を得ても在留を失います。不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。断定はできませんが、この類型では不起訴の獲得がほぼ唯一の分岐点です。

第2に、逮捕直後の対応です。薬物事件では所持や使用の認識が争点になります。勾留決定までの72時間で方針を定める必要があり、黙秘権の行使を含めた早期の判断が求められます。捜査機関が指定する通訳とは別に、ご本人のために動く通訳を確保することも、供述の正確さを守るうえで重要です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表事例は各年20件前後の抜粋です。薬物関係法令違反は4号チの構造から不許可が並ぶ類型ですが、当事務所が担当した不法就労助長の事案のように、公表事例で不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得た例がございます。傾向は出発点であって結論ではありません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。薬物事件では、所持や使用の認識をどこまで争えるかが在留の帰趨に直結いたします。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、執行猶予ではなく不起訴を目標に据えることが在留を守る道になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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