平成27年・人文知識・国際業務で在留しながら配偶者の店で稼働し罰金30万円、婚姻関係も破綻して不許可(D類型不許可第4事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者との生活を求めつつ、婚姻関係の実質が否定された例です。平成27年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第4事例です。違反態様は資格外活動、端緒は警察による逮捕、在日約10年・違反約1年7月です。刑事処分は、入管法違反(資格外活動)により罰金30万円の略式命令です。在留希望の理由は、配偶者とともに生活したいというものでした。特記事項には、在留資格「人文知識・国際業務」で在留しながら配偶者の経営する飲食店の従業員として稼働していたこと、配偶者は不法就労助長により退去強制手続中で婚姻関係は破綻していることが記されています。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2(1)(2):配偶者の在留資格は記載がなく、婚姻関係も破綻しているとされていますので、家族関係を理由とする積極要素は働きませんでした。
- 第2の9:端緒は警察による逮捕ですので、自ら出頭したことに当たりません。
- 消極要素・第2の6:資格外活動という退去強制事由と、罰金の略式命令を受けた事実。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますので、罰金はこれに当たりません。
- 消極要素・第2の5:資格外活動の期間は約1年7月。
結論を分けた一線はどこか
在留希望の理由は配偶者との生活でしたが、その配偶者自身が退去強制手続中であり、婚姻関係も破綻しているとされました。同じ平成27年D類型の許可第1事例は、児童相談所に保護されていた方が未成年後見人に確定した親族との同居を予定していた事案で、受入れの体制が法的に固まっていました。ともに同居を求める事案でありながら、相手方の法的な地位と関係の実質が備わっていたかどうかが結論を分けたと読めます。
弁護士のコメント
2点を挙げます。
第1に、略式命令に応じることの意味です。罰金は在留資格に直接影響しない印象を持たれがちですが、有罪の事実は残り、退去強制手続では消極要素として働きます。刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、この消極要素を生じさせずに済んだ余地があります。略式手続に同意する前に、入管手続への影響を検討しておく意味は大きいところです。
第2に、資格外活動の認識です。本来の活動に加えて別の業務に従事した場合、在留資格の範囲を超えるかどうかの判断は必ずしも容易ではありません。退去強制事由の判断に故意や過失を要しないとする運用の当否は、松村大介弁護士が現に係争中の論点でもあります。断定はできませんが、認識の内容と経緯は記録に残す価値があります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋で、その年の判断の全体像ではありません。似た事情の不許可例があることは、自分の事案の見通しを決めるものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の事案では、在留特別許可を獲得したうえで、退去強制事由に故意・過失が不要とする従来の実務を覆すべく、責任主義の射程を問う訴訟を続けております。就労に関わる違反では、どこまでの認識があったのかが争点になり得ます。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
罰金であっても入管手続には影響が及びますので、処分に応じる前のご相談をお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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