平成27年・日本人配偶者と死別した後に出頭申告して定住者(1年)|在日約26年5月・成人の日本人実子がいた事例(D類型許可第2事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者を亡くしたことで在留資格の土台を失った方の例です。平成27年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)許可第2事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約26年5月・違反約4年8月です。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があることです。特記事項には、日本人配偶者と死別した後に出頭申告したこと、日本人実子(成人)がいることが記されています。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。許可内容は定住者(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2(1):日本人と法的に婚姻して相当期間共同生活をしていたことは積極要素ですが、本事例の婚姻は死別により終了しています。また同項が挙げる監護養育の対象は未成年未婚又は障害により監護を要する実子であり、実子が成人している本事例は直ちに当たりません。もっとも日本人実子がいるという家族関係自体は考慮され得ます。
- 積極要素・第2の9:出頭申告。
- 積極要素・その他:在日約26年5月に及ぶ生活の蓄積、地域社会との関係、税の納付状況などが考慮され得ます。
- 消極要素・第2の5:不法在留は約4年8月。令和6年改定で明示的な消極要素とされました。
- 消極要素・第2の6:不法残留という退去強制事由。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
ガイドラインの家族関係の要素にきれいに当てはまる事情がなくても許可されています。天秤を傾けたのは、26年を超える在日期間に築かれた生活の基盤と、自ら出頭したことであると読めます。同じ平成27年D類型の不許可第2事例は、在日約23年6月と期間は近いものの、日系3世であると身分を偽って在留していた事案で、端緒も当局の摘発でした。期間の長さそれ自体ではなく、その期間が正確な身分の申告の上に積まれていたかどうかが分かれ目と考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分のない事例ですので、2点を挙げます。
第1に、配偶者を亡くした後の初動です。日本人の配偶者等の在留資格は婚姻を前提としますので、死別により更新の基礎が失われます。放置すれば不法残留となりますが、本事例のように定住者への道が残る場合もあります。事情が変わった時点で在留資格を見直す意味は大きいところです。
第2に、生活基盤の立証です。在日期間の長さは、それ自体では積極要素とも消極要素ともなり得ます。居住や就労の継続、納税、地域との関わり、支援者の存在を具体的な資料で示して初めて積極要素として機能します。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進み、注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後にとどまります。自分と同じ経緯の許可例が見当たらないとしても、可能性がないという結論にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して手続を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
国際刑事事件や裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件にも対応してまいりました。多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
在留資格の土台となっていた身分関係が変わったときこそ、早めのご相談が結果を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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