舟渡国際法律事務所

平成27年・被退去強制歴1回、子の父は日本人でも法的父子関係は本国のみ|母子で出頭申告して定住者(1年)が認められた事例(C類型許可第3事例)

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平成27年・被退去強制歴1回、子の父は日本人でも法的父子関係は本国のみ|母子で出頭申告して定住者(1年)が認められた事例(C類型許可第3事例)

平成27年・被退去強制歴1回、子の父は日本人でも法的父子関係は本国のみ|母子で出頭申告して定住者(1年)が認められた事例(C類型許可第3事例)

2026/08/07

事例の概要

過去に退去強制を受けたことがある方でも許可された例です。平成27年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第3事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は母子での出頭申告です。母は在日約14年5月・違反約11年。子は本邦で出生し不法残留の状態で、在日約9年8月・違反約6年5月です。特記事項には、被退去強制歴が1回あること、子の父親は日本人であるが法的な父子関係は本国においてのみ存在することが記されています。刑事処分はありません。許可内容は母子とも定住者(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 積極要素・第2の2(1):日本人の実子であることは特に考慮する積極要素ですが、本事例の法的な父子関係は本国においてのみ存在すると記載されており、この要素に直ちに乗る構造ではありません。もっとも実父が日本人であるという関係自体は考慮の対象になり得ます。
  • 積極要素・第2の2(3):子は本邦出生で在日約9年8月です。就学の記載がないため同項に当たると断定はできません。
  • 積極要素:子の利益の保護の必要性(令和6年3月改定で明示)。
  • 積極要素・第2の9:母子での出頭申告。
  • 消極要素・第2の5:母の不法在留は約11年。令和6年改定で明示的な消極要素とされました。
  • 消極要素・第2の6:不法残留という退去強制事由と、被退去強制歴1回。一度退去強制を受けた後に再び不法な状態に至った点は重い消極要素です。

結論を分けた一線はどこか

被退去強制歴という重い消極要素がありながら許可されています。天秤を傾けたのは、子が本邦で生まれ約9年8月にわたり本邦で生活してきたことと、母子がそろって自ら出頭したことであると読めます。同じ平成27年C類型の不許可第2事例も被退去強制歴1回でしたが、子の在日期間は約4年10月でした。退去強制歴の有無ではなく、子が本邦で重ねた生活の厚みがそれを上回るかどうかが分かれ目であったと考えられます。

弁護士のコメント

刑事処分のない事例ですので、2点に絞ります。

第1に、父子関係の立証です。実父が日本人でも、日本法上の父子関係が成立していなければ第2の2(1)の評価には乗りにくくなります。認知の届出や身分関係を確定させる手続を先に整えることが、後の主張の土台になります。当事務所も、婚姻と認知が未了で一旦不受理とされた事案で手続を成立させております。

第2に、被退去強制歴がある場合の組み立てです。過去の歴は消せませんので、それを上回る積極要素を具体的な資料で示す必要があります。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進み、注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋です。被退去強制歴があるという一事で可能性がなくなるものでもなく、本事例はそれを示しています。当事務所が担当した不法就労助長の事案も、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

不法就労助長に問われて退去強制の危機にあった女性の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、あわせて退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を続けております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

身分関係に関する手続を先に整えておくことが、在留特別許可の主張を支えます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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