平成27年・婚姻期間14日・当局収容中に婚姻成立で不許可|技能実習先からの逃亡・警察逮捕の事例(B類型不許可第2事例)
2026/08/07
事例の概要
婚姻期間14日。その婚姻は当局に収容されている間に成立したものでした。平成27年分の事例集(出入国在留管理庁が公表)のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)不許可第2事例です。
違反態様は不法残留、端緒は警察逮捕。在日約3年3月のうち違反期間は約1年2月です。婚姻期間は14日で、夫婦間の子はありません。配偶者の在留資格は事例集に記載がなく、判明しません。刑事処分はありません。特記事項には、技能実習先から逃亡したことと、当局収容中に婚姻が成立したことが記載されています。判断は令和5年改正入管法の施行前、現行ガイドラインの改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(2):同号が特に考慮する積極要素は、別表第二の在留資格者との家族関係で第2の2(1)に準ずるものです。婚姻期間14日では、共同生活と相互扶助という実質を認める余地がありません。配偶者の在留資格の記載もないため、この積極要素が立つかを判断できません。
- 第2の9:端緒が警察逮捕ですので、自ら出頭したことによる積極要素はありません。
- 第2の5・第2の6(消極):約1年2月の不法在留期間と不法残留という退去強制事由。加えて技能実習先から逃亡した経緯は、在留資格の前提となる活動を自ら放棄したものと評価されます。どの号に当たるかは条文で確認を要します。
結論を分けた一線はどこか
婚姻の届出が退去強制手続の進行中に行われている点が、この事例の中心です。ガイドライン第2の2(1)(ウ)が偽装婚を除外し共同生活の相当期間を求めるのは、婚姻の形式ではなく実質を見る趣旨です。手続が始まってから届出だけが成立した場合、その趣旨に照らし積極要素として機能しにくいと読めます。
同じB類型の許可第5事例は、婚姻期間が約5月と短いものの、夫婦間に未成年の子がおり、配偶者が永住者と明記され、自ら出頭して許可されました。届出の前から家族生活が積み上がっていたかどうかが、分かれ目になっていると考えられます。
弁護士のコメント
第1に、時機の問題です。婚姻や認知は、退去強制手続の進行と競うように進めても評価につながりにくい面があります。ガイドライン注4は退去強制令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしており、手続の後半で作った事情は届きにくい構造です。関係が実際に始まった時点から資料を残しておくことが、結局は最善の備えになります。
第2に、逮捕による発覚の場合の初動です。身柄を拘束された状態では本人が資料を集められません。逮捕直後の段階で弁護人を選任し、依頼者本人のために動く立場の通訳を確保して、事実関係を正確に記録に残す必要があります。供述の訳出のニュアンスは、後の刑事手続と入管手続の双方を左右します。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋です。手続中に婚姻した事案の許可例が見当たらないことは、その事情での申請が一律に無意味という意味ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応しています。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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