平成27年・技能実習先から逃亡した経緯で不許可|出頭申告・刑事処分なし・婚姻約11月でも許可されなかった事例(B類型不許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
自ら出頭し、刑事処分もない。それでも不許可となった事例です。平成27年分の事例集(出入国在留管理庁が公表)のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)不許可第1事例です。
違反態様は不法残留、端緒は出頭申告。在日約10年2月のうち違反期間は約7年2月です。婚姻期間は約11月で、夫婦間の子はありません。配偶者の在留資格は事例集に記載がなく、判明しません。刑事処分はありません。特記事項には、技能実習先から逃亡したことが記載されています。判断は令和5年改正入管法の施行前、現行ガイドラインの改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(2):同号が特に考慮する積極要素とするのは、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者等の別表第二の在留資格者との家族関係です。本事例は配偶者の在留資格の記載がないため、この積極要素に乗るかを判断できません。
- 家族関係:婚姻期間は約11月で子もなく、相当期間の共同生活という要素を欠きます。
- 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
- 第2の5・第2の6(消極):約7年2月の不法在留期間と、不法残留という退去強制事由。期間の長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定です。加えて技能実習先から逃亡した経緯は、在留資格の前提となる活動を自ら放棄したものと評価されます。
結論を分けた一線はどこか
積極要素として明確に立っているのは出頭申告のみで、婚姻は約11月・子なし、配偶者の在留資格も記載がありません。他方、消極要素の側には約7年2月の不法在留と技能実習先からの逃亡が並びます。ガイドライン第3の枠組みでは、この配置で天秤は動かなかったと読めます。
同じB類型の許可第1事例は、同じ出頭申告・刑事処分なしですが、配偶者が「定住者」と明記され、婚姻期間は約5年5月でした。分かれ目は、別表第二の在留資格者との家族関係を示せたか、婚姻の期間と実質が積み上がっていたかと考えられます。
弁護士のコメント
第1に、技能実習の在留資格で来日した方の事案では、実習先を離れた経緯そのものが判断の対象になります。事例集から背景は分かりませんが、離職を余儀なくされる事情があった場合には、それを裏づける記録が残っているかで見え方が変わります。経緯を時系列に整理し、客観的な資料の有無を確かめる作業が出発点です。
第2に、配偶者の在留資格の確認です。別表第二であれば第2の2(2)の足場に直接乗りますが、別表第一では直接は当たりません。その場合は、本人の在留資格該当性(第2の9)や人道上の配慮、子の利益といった別の柱で組み立てます。どの柱で戦うかを違反審査までに決めておくのが要点です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集の掲載は各年20件前後にとどまります。技能実習先を離れた経緯がある事案の許可例が見当たらないとしても、それは抜粋の中の傾向です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、なお違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務の在り方を正面から問う訴訟を現に続けています。この事案では在留特別許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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