平成27年・配偶者が永住者・未成年の子1人で在留特別許可|在日約3年10月のうち約3年9月が不法残留でも許可された事例(B類型許可第4事例)
2026/08/07
事例の概要
在日期間のほぼ全部が不法残留でも、家族関係の柱が立てば許可される場合があります。平成27年分の事例集(出入国在留管理庁が公表)のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)許可第4事例です。
違反態様は不法残留、端緒は出頭申告。在日約3年10月のうち違反期間は約3年9月で、適法な在留は1月ほどです。婚姻期間は約1年3月で、夫婦間に未成年の子が1人います。配偶者の在留資格は「永住者」です。刑事処分はありません。許可内容は「永住者の配偶者等(1年)」です。判断は令和5年改正入管法の施行前、現行ガイドラインの改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(2)(積極):配偶者の「永住者」は別表第二の在留資格ですので、同号が特に考慮する積極要素に直接乗ります。夫婦間に未成年の子が1人いることは、第2の2(1)(ウ)に準ずる評価を支えます。
- 子の利益(積極):本邦で家族とともに生活するという子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定によります。
- 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
- 第2の5・第2の6(消極):約3年9月の不法在留期間と、不法残留という退去強制事由。どの号に当たるかは条文で確認を要します。
素行不良(第2の3)に当たる記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
在日期間の大半が不法残留でしたが、積極要素の側に永住者との婚姻、未成年の子、出頭申告の3つがそろい、消極要素は不法在留の一点に絞られていました。ガイドライン第3の枠組みで見れば、積極要素が明らかに上回る配置と読めます。
同じB類型の不許可第4事例は、婚姻約2年3月で未成年の子も1人いるのに不許可でした。窃盗による実刑判決と前科があったためです。同じ子1人という条件でも、刑事処分の有無で結論が逆になっています。積極要素をそろえるだけでなく、重い消極要素を作らないことも重要だと分かります。
弁護士のコメント
第1に、出頭申告のタイミングです。本事例は違反期間が約3年9月の時点で自ら出頭しています。第2の9の積極要素は出頭という行為そのものに認められますが、不法在留期間は認知の時点までを終期として数えられますので、期間が伸びるほど消極要素も膨らみます。婚姻や出生といった積極要素が固まった段階で速やかに動く判断が、結果に影響します。
第2に、立証の段取りです。永住者である配偶者の在留カードや住民票、婚姻の届出書類、子の出生と養育に関する資料は、違反審査の段階までにそろえておくのが安全です。ガイドライン注4により退去強制令書発付後の事情変更は原則として考慮されません。必要な資料は事案により異なります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋にとどまります。掲載された事例の組合せに自分の事情が一致しないとしても、それは可能性の有無とは別の話です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、なお違反認定処分の取消しを争っています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務の在り方を正面から問う訴訟を現に続けています。この事案では在留特別許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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